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#ゴルフ 上田のゴルフ物語が始まりますNo2

◉【妻の考えは何?】
みんな、「掃除かあ〜!、どういう風に、今日から鍛われるのかなあ?最初からこれじゃ、先が思いやられるよ」
尼僧が、号令をかける。
「次は、本堂で、座禅です。4時に集合です。遅れない様願います。」
誰かが、言った。「後、3分しかねぇじゃねーか、やば!」
皆、遅れず集合した。が、これから始まる出来事に、ビックリし度肝を抜かれることとなる。
皆が揃い座禅を組み、約1時間が経過した。そろそろ痺れがくる頃だ。少し、誰かが揺れた気がした。尼僧は知らない振りをした。別の一人が、明らかに動いた。それでも、尼僧は知らない振りだった。9人中、微動だにしない人が3人いた。尼僧は何を思ったか、その3人を「失礼します。」と、あの棒で3回づつ叩いていった。その3人は、自分が少し動いたのだろうと、頭を下げた。また、少し時間が過ぎた。その3人は、微動だにしなかった。また、尼僧がやって来た。叩かれたのは、その3人であった。目を閉じていたので自分が動いたのだろうと、今回も思った。
いや、叩かれたのは、動かなかった人だったのである。
やっと朝食である。何やらヒソヒソ話が始まった。さっきの座禅の事である。「あのさあ、俺、痺れを切らして、動いたと思うんだけど、叩かれ無かった。どっかで、誰か叩かれている音がしたよね。俺より激しく動いたんだろうか?」「いや、違うよ!薄目を開けてたんだけど、どうも、動いてなかったらしい。」「えっ、それじゃどうして?」「どうも、動いて無い者だけが、叩かれたような、、、」「そんなばかな。」
打たれた3人が、話している。「おい、お前叩かれたよなあ。」「ああ」「痺れきれたんかい?」「痺れは切れたけど、動かなかったと思ったんだけど、やっぱり動いたんだろうなと思って」「あーそう。俺も、痺れは切れたけど、動かなかったと思ったんだけど、ダメだったのかなあ?」
「他の皆は、どうだったのかなあ?」「まあ、いいか、早くたべよう」
その日は、何事も無く終わった。が、凄い事が起こるとは、誰も知る由もなかった。
また、午前3時起床の掛け声から始まる。「起床!起床!」皆、昨日より要領を得たのか、揃って集合は出来た。掃除は終わり、例の座禅である。
尼僧が、皆の周りを回って来る。静かにしていると、「ばし!ばし!」と2回音がした。「誰だ、叩かれたのは?」皆が心の中で思った。また、「ばし、ばし!」と音がした。動いたのは、別の者である。皆が、薄目を開けて誰しもが、確信を得た。そう、動けば、叩かれない!じっとしていれば、叩かれる?何故だ!?不思議であった。見れば、動いたの隣の者を叩いている。何故だ!何故だ!
座禅が終わった。
皆が、ヒソヒソ話に、花が咲いた。
ただ一人、総務部の✖️△課長は、座禅を真剣取り組んでいた。なので全て叩かれたのだ。✖️△課長は、別に叩かれようが、叩かれまいが、良かった。不祥事を社長に見逃して貰い。罪無き事にしてもらった上に、そのまま雇って貰うなんて、夢にも思っていなかったからだ。「また、一からやり直そう」と、心に固く決めていたのである。

だか、彼も何故打たれたのかは、直ぐには、分からなかった。「動いていないはずなのに。」と。ただ、社長のする事だから何かあるとは思っていた。後でその意図がわかる事となる。


3日目の座禅が始まった。皆、馬鹿らしくなり、暫くすると痺れが切れた者から、身体を動かし始めた。✖️△課長だけは、動かなかった。他の8人は、明らかに動いた。すると、尼僧は、✖️△課長を叩いた。他の数人が動くと、また、叩かれた。集中攻撃だった。何処か、総務と経理の諍いに似ていた。8人が、全員、「はっ、」と感じた。
そして、「もしや、✖️△課長は、自分の代わりに叩かれているのでは!」と慌てたのである。
誰かが叫んだ。「お坊さん、やめて下さい」「叩くなら、私を叩いて下さい。私が動きました。」と。
「いえ、私が先に動いてました。私です。私を先に叩いて下さい。」

✖️△課長は、社長の意図するところが、今分かったのです。

尼僧は、思わず。「分かりました。何時気付いて頂けるか不安でした。御社の社長様から言われた時は、受ける事を考えました。でも、事の理由から受ける事にしたのです。ハッキリ言って、心苦しくて大変でした。今までやった事がなかったもので。安心しました。早く気付いて頂けて、、、」
「改めて、今度は、本当の座禅を願います。今度は、本当に叩きます、あっ、いや、心を込めさせて頂きますので、宜しく。」
そして、晴れて、9人は座禅を組んだのであった。
田中監督は、あえて何も言わなかった。自分が出る幕では無いと思ったからだ。もし、これが、部が2つに喧嘩別れにでもなれば、責任問題だから。静かに見守っていた。


2週間のお寺研修も終わり、会社に集合した。社長と面談し、9人自ら御礼を伝えた。それに、些細な事での諍いを、恥ずかしいと伝えたのだ。「分かってくれればいい」と照れ臭そうにしていた。空かさず、社長の奥さんは言った。「今から、本当の実力を発揮して下さい。期待しています。」総力を上げる事の意味を分かってほしかった。罪を叱責しても、一銭の得にもならないと、思っていたのである。

それからと言うもの、総務部と経理部との連携により、経費削減に取り組み、前年比減の5百万円の実績を叩き出した。まさに、「叩き」の成果である。

噂を聞きつけた、広報部となった✖️✖️部長代理は、一つのアイデアが浮かんだ!あの、ゲーム野郎を使おうと。
「待ってろよ、会社の名を売って、名声を上げる。」そして、社長への恩返しをするんだと強く心に刻むのであった。
その、「ゲーム野郎」は、名前を「翼」と言った。珍しい苗字である。
✖️✖️部長代理は、彼を自分の部屋へ呼んだ。「なあ、翼くん相談なんだけど」「あっ、はい何でしょう」
「総務部と経理部が協力して名を売ってるって聞いてる?」「あー、噂になってますね」
「君にも、一旗上げてもらいたくてね。協力してくれないか?」「はあ、私がですか?私にそんな事が、できるんでしょうか?」「君は、世界に名を馳せた、逸材!今も尚現役。君の力で、当社の名前を世に、知らしめて頂きたい。」「そんな事が出来ますか。こんな私に!でっ、どうやれば良いのでしょう」

そこで、✖️✖️部長代理は、自分の案を彼に伝えた。そこに、彼の意見を交える。
「うん、それもありだなあ。」と言った後、

「今度、広報部のメンバーと貴方と当部長を交える、プロジェクトを組む。後で、日程は連絡するので、貴方は、ゲームの腕を磨いておして」と伝えた。
その後、2人は、部屋を後にした。

広報部の会議が始まった。イベントを開催する計画。企画内容はこうだ。
彼に、挑戦と題し、対抗戦を開く。そう世界第4位とは誰も知る由も無いはず。新聞や雑誌、テレビなんか来れば、バンバンザイ。建設業が、ゲーム大会なんて今までかつて無い。また、賞金を出す事で更にヒートアップを呼ぶ。人が集まれば、何かと人が騒ぐ。
で、日程!そう、今は、夏!子供連れ!益々、良いイベント企画となりそうだ。
2週間後の、8月20日の土曜日。決まり。

2週間は、早いもの。明日がそのイベントだ。準備万端。明日、10時スタート。✖️✖️部長代理は、胸弾ませていた。

✖️✖️部長代理は、驚いた!イベント会場には、長蛇の列が永遠と続いていた。会場前の駐車場も満杯であり、入り切れないくらい人で溢れている。テレビも数社来ているらしかった。✖️✖️部長代理は、思わず「よし!」と意気込んでいた。
世界第4位の「翼」くんも、現地入りした。イベント司会は、✖️✖️部長代理である。彼の声が、会場内に響き渡る。「皆様、本日は、、、、、、、。」と開演の挨拶を終える。
全国からゲームの強者どもが来ている様に見える。予め参加者を募り、エントリーが、50名選出されていた。勝ち抜き戦で、上位4名が、当社の「翼」くんに挑戦出来ることとなっている。まだ、世界第4位の事は、知らされていない。気付いている者がいるだろうか?✖️✖️部長代理は、そこが一番きになっていた。試合は、昼過ぎて終わり、4人は決まった。昼食を挟み、4人との対決は、3位の2名から行われていった。
まず、北海道から来た、北村君と対戦だ。会場の各場所の数カ所スクリーンに映しだされる。7回戦で、4勝先取で行われた。北村君が会場に「凄い!」と、物言いわせたのは、ほんの、5秒間だけであった。あっさり、30秒で、決着が着く。2回戦〜4回戦まで、2分かからなかった。北村君は、ガッカリより余りの凄さに、拍手して去っていった。
次は、九州福岡から、西尾くんだ。先程の対戦を観戦していた西尾くん、少し、作戦を練ってきた。
第一回戦、少し手強かった。が、テクニックの違いは、会場の皆が分かった。会場から「あー、あ〜あ、あ、、、」声が漏れる中、3分で終わってしまった。

次の対戦相手は、大阪から南部くんであった。彼は、積極的に攻める性格であった。攻撃は、最大の防御である。の精神。
たが、しかし、攻めの姿勢が、「あだ」となり、3分30秒の命であった。

最後は、東京から、東出くんである。ゲーム界の中では、ちょっと名が知れていた。
彼には、決定的な欠点があった。これがなければ、世界へ翔けたかも知れない。

超、上がり性なのであった。

時は、来た。対戦が始まった。当社がヒーローの「翼」くんは、落ち着いたもので、全然緊張のカケラもなかった。対して、東出くんは、くちびるが渇き、手が震えていた。これでは、試合にならない。
テレビスクリーンに、映しだされる東出くんは、北村くんより実力を出せない。と思われた。皆が、そう思った。
次の瞬間、「翼」くんが、一瞬、隙を見せた。鷹を括るったのである。東出くんの、瞳が、キラリと光った。と言うふうに、見えたのである。
体勢逆転。「翼」くんが、焦った。汗が額から落ちた。こうなると、テレビアナウンサーが黙っていない。
「誰でありますか、あの若い少年!東京から東出くんというそうです。」力がこもった。
「翼」くん、もう後がない。パワーが、パワーが、無くなる、、、。
幾つもの修羅場を潜り抜け、勝ち抜き、勝ち抜き来た人生、ゲーム一筋。
東出くんに、安心したのか空きが出来た。「翼」くんは、これを逃さなかった。一瞬であった。倒すのに、10秒はかからなかった。形勢逆転、「翼」くんが勝利した。世界第4位は、伊達じゃなかった。
テレビアナウンサーは、あっけにとられた。そんな、場合では無い。これをアナウンスしなくてどれをする。今の内容を流暢に語った。また、破れた4人への、賞金も凄かった事やテレビが取り上げて、別の日にも、テレビ放映があったこともあり、当社の名「昇建設」が、全国に知れ渡ったのである。

✖️✖️部長代理の目論みは、こうして、上手く行ったのであった。

社長は、✖️✖️部長代理と、「翼」くんを呼んだ。「有難う、こんなにも反響があり、有名に成るなんて、まるで夢のようだ。工事依頼が殺到してるよ。電話がひっきりなしにかかって来て、みんなが対応に追われているよ。」
✖️✖️部長代理が、申し訳なさそうに口を開いた。「私は、一度犯罪を犯した身です。今後も、社長のお役に立ちたいと考えております。宜しくお願い致します。」
空かさず、「翼」くんが言った。「犯罪ですか?」社長が、慌ててフォローした。「✖️✖️部長代理はね、そう言う気持ちでと言う事だよ。会社へ、赤字の工事受注なんかそう考えるじゃないか!」
「あー、そう言う事ですか、テッキリ私は、警察にお世話になる様な事かと思いました。」
✖️✖️部長代理は、内心「正に、そうなのだ」と思った。


社長の妻は、その事を聞き、「社長の思いが伝わり、事が進んでますね」と言った。「いや、お前の思う通りにだろ?!」彼女は、思わず「くすっ、」と笑った。

営業部でも、色々な改革が話題を読んでいた。広報部の部長であった〇〇部長代理は、営業部での活躍が、目覚ましかった。採用した、色々な資格を持った、そう「霜田」くんだ。
営業部では、まず中身の見直しから始まっていた。製造原価、適正な材料仕入、後は大切な大切な、入札価格だ。今は電子入札なので指定の価格内で、中身がどれだけ濃い物なのかが、問われる。しかし、儲けが無くてはならない。そしてまた、工事期間が、より短い無ければ利益確保は出来ない。
「霜田」くんの出番であった。採用後、数多くの工事を落札し、大きく利益を上げていた。
そんな中、少し厄介な事が起ころうとしていた。地元の有力企業の「神田組」の動きである。ここ最近、多くの落札を上げている為、同業他社は、面白く無かった。潰しにかかろうと、口裏合わせなどで、嫌がらせを屡々行って来たのである。
営業部長代理と「霜田」くんは、例の如く、適正な価格で儲けも加味し、入札へ臨んだ。しかし、いつもの入札とは、違ったのだ。
そう、「談合」だ。それも、当社を潰しに係る口裏合わせ。
それに一早く、気付いたのは、〇〇部長代理だった。「何かおかしいぞ、霜田くん」

「神田組」は、区の工事担当と食事会や裏金などで、予め入札価格を聞き出し、札を入れていたのである。
「霜田くん、この落札価格を見てみてろよ!105,458,695円だ。内の金額は、105,455,000円。この、微妙な金額は何だ。前回の価格が、正にそうだ。予め入札価格を知っていたかの様な金額提示だ。515,604,723円だぜ。723円のこの微妙な端数金額!しかも、千円の位が「4」。この入札の仕方は、金額を知っていなければ出来ない。金額について、最高と最低価格が決まっている限り、この千の位を「4」と書き、しかも端数金額を723円にする。しかも、落札をする。これは、当社を除いて他の工事業者に回している。それも、仲の良い工事業者ばかりだ。また、均等に受注をしている。うちを除いて、まわりは、均等受注し、特定の企業に集中していない。正に「談合」としか言いようがない。

さて、どう対策を練り直すか。「霜田」くん何か良い考えは無いかね?「う〜ん、多分、区の担当者と仲が良いと思われます。情報を漏らしているのだと思います。」「うん、私もそう思う。でだ。この事を突き止めるか、区の上役に訴えるか、マスコミを使うか。色々考えたんだが、どうしようかと。」

〇〇部長代理は、何やらパソコンで、資料を作り始めた。過去、50回の入札価格と落札価格との比較した表を作った。その表を見て明らかに、価格を知らなくては、提示できない事は明らかだった。談合を暴く考えだ。一体誰に、どの様な手を使うのだろう。区の建設課を統括する、部署は、区役所のコンプラ機能を兼務している、総務課へ市民の声として届ける事とした。

区の総務課に、朝佐明男と言う課長がいた。郵便の中身を見ると、区長と副区長に集まって貰い、調査委員会を内々に立上げることを相談した。「これが、本当なら一大事です。一刻も早く調べましょう」と切り出した。区長も、副区長も、口を揃えて「うん、大事にならない内に明らかにしよう。」

会社では、別の動きが発足していた。それは社長の妻であった。その、友人にジャーナリストがいたのである。名前を、「直似飛着」と言った。名の如く、行動が素早かった。彼は、話を妻から聞くと、「うん、悪と金の匂いがプンプンするぞ!」とワクワク感を募らせた。
「分かりました。トクダネスクープを待ってて下さい。雑誌の一面を飾りますよ」と、直ぐにでも行動を起こす素振りであった。

行動を開始した「直似」は、先ず、区役所の建設課職員と「神田組」との繋がりである。「直似」は、まだ、油断があるに違いないと確信していた。だから接触の決定的瞬間を狙おうと考えた。
案の定、区の下田課長が動いた。「直似」は後をつけた。刑事が行う張込みに似ていた。

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