鳥瞰

青放つ無数の粒を
この両掌ですくいあげ
千々に乱れた多くの心へと奮う
雲がちぎれ
かの粒と共に舞い散り
踏みしだかれた足跡もおぼろげ

事実、木々は揺れている
小鳥が飛び立てば揺れる
風が吹けば揺れる
人が揺すれば揺れる
猫が上れば揺れる
雨が打ちつければ揺れる
あなたが泣けば揺れる
皆が笑えば揺れる
誰かが怒れば揺れる
事実、木々は揺れている
けれども驚かないで
ただ見ていれば直にわかるから
なぜだかなんて

赤放つ無数の粒が
この身を焦がし彩る
とうに離れてしまっていたふたりが
天を仰ぎ息をのんで繋がる
鋭利に尖った月の端から
金の粉が崩れ落ちて闇に散らばる

爪の先に
鼻先に
喉元のくぼみに
くるぶしに
毛先に
張りつき、とどまり、きらめく星屑の残骸