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冒険教育との出会い

僕は大学生ですが、大学で行われている冒険教育のプログラムに指導者の見習いとして現場に出ています。2023年の総プログラム件数は131件でした。まだまだ見てきた団体は多くはないのですが、他にここまでの件数をこなしている団体は多くないのではないでしょうか。授業がほとんど無かった今年は、毎日のようにプログラムの現場を踏んでいました。

そんな僕が冒険教育と出会ったのは、大学1年生の終わりです。コロナ禍でほとんど何もできなかった1年間でした。そんな中、大学の学生専用のWebサイトで、オンラインでの冒険教育の体験会を見つけました(僕の大学で行われているものはProject Adventureの影響を強く受けていることもあり「アドベンチャー教育」と冒険教育のことを呼称します)。何をやるのかも、コロナ禍の前まではどんなことをしていた団体なのかも知らないのに、どうして申し込んでしまったのかは最早覚えていないけど、今思えばあれが、最初のターニングポイントで、”アドベンチャー”の瞬間でした。

オンラインで行われた体験会は、学生の先輩方がファシリテーターを務めてくれました。そこで出会った先輩たちは、今まで体育会で生きてきた僕にとっては完全に異世界の住人たちでした。そこにいた先輩たちは、ほとんどが女性でしたが、みんな優しいんです。誰が、どんなことを言っても許してくれる雰囲気がそこにありました。また、みんな明るいんです。声の出し方や表情の動きはもはや教育テレビのお姉さんのようでした。
 僕は、中学高校の6年間を男子校の運動部で過ごしました。そこでは、とても何を言っても許されるような雰囲気や、活動中の笑顔はほとんどありませんでした。高校時代は、一人で自主練をする時間のほうが多かったです。そんな僕にとって、体験会が楽しかったのかは、もうあまり覚えていません。ただ、さらに話を聞きたい人は残るようにと言われたとき、右下のボタンを押してしまえばすぐに出れるのに、「このままじゃ今までと一緒だ」と思い残ってしまいました。
 
 これは、僕が年間100件以上のプログラムに参画する程の熱量を持つようになったきっかけではありません。しかし、そこに向かうための動機は決して大きなものではありませんでした。まして、そこを目指して大学を決めたわけでもないです。ただ、なんとなく面白そう。こんなことができるようになったら楽しそう。なんか、この人たちヤバい!といった感情で始めてしまったものです。
 それで、数年たてばたまにお金をいただけるようになるのですから案外、日常から飛び出してみるきっかけは、小さなものでもいいのかもしれませんね。ただ正直、大学外の友人に今取り組んでいる冒険教育のことを説明しても理解してくれる人は少ないです。でも、それでもいいんです。なぜなら、冒険教育に多くの人を引き込むことが僕の目的ではないからです。冒険教育を使って、『好きに生きれて好きに生きてもらえる社会を作る』ことが僕の夢なんです。
 

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