離別

離婚という言葉が好きでない。
多分、マスコミや週刊誌がこぞって人の不幸をおもしろおかしく取り沙汰して、下品極まりないという印象が強いからだ。
だから、私は離婚したが、離別という言葉をここで使うことにする。

2名の人間が惹かれ合うとき、その2名は、どこかしらなにかしらが似ているのだと思う。顔がとかそういうことでなく、心のあり方やこれまでに培われた考え方、今後の見通しその他。なにかしら通ずるものがあって、共感して、生活を共にすることができるのだと思う。
それがいつしか、年月を過ぎて、それぞれが変化する中で、似通うことがなくなっていったら、それぞれ別の道を歩んでいくために、離れていくのだろう。

私は望まない離別を泣く泣くのんだ。
相手の心が離れているから、手の施しようがなかった。いつしか、「早くこの人を解放してあげなくちゃ」とさえ思うようになった。
離れたくないのに、だ。
矛盾しているが、人の心は不条理がいっぱい。
筋など通らなくて当たり前。
だから今でも苦しんでいるが、私は私で、この離別でだいぶ変わった。考えなり、行動なりが変化した。
それでいいと思う。

働いて、旅をして、それで人生が暮れてゆく。
それでいいと思う。
あの人は、私とではできなかったことをしたり、得られなかったものを得たり、きっとどこかでしていると思う。
それでいいと思う。

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