1.挨拶、物語【挨拶】
前作に引き続きこのページを閲覧して頂き誠にありがとうございます。1作目以降長く間が空いてしまいましたが、本来は1作目にしようと思っていたものがこのCharonです。製作中に案が湧き出てきて勢いで先に作ってしまったのがDOLLという背景があります。イラスト、視聴者の方々全てに心より感謝申し上げます。お時間の許す限りお付き合い頂けますと幸いです。
【物語】
少女は真夜中のとある丘の木の下で、昔のことを思い出していた。
毎日毎日のように今とは違う過去のことを考え続けている日々。度々ここに足を運んでは少し肌寒い夜風に当たっていた。(以降過去の話)
これはエルフの少女と人間の少年が出会った過去のお話。
少女はいつも丘の上にある木の下で風に当たるのが好きだった。
その日もいつものようにそうしていた。そこへ一人の少年が声をかけてきた。人と関わることを避けてきた少女は最低限の返事だけし、少年には素っ気なかった。今までも多くの人が興味本位でエルフの彼女に声をかけてきたが、大体はその態度や振る舞いから離れて行った。また一部の物好きは少女とある程度の時間を過ごす者はいたが、人の命は短く彼女を置いて居なくなってしまっていた。その繰り返しののち少女は人と関わらないようになった。いずれ別れが来るなら初めから仲良くなんてならないほうがいい。そういう考えだった。
この日もいつものように人間の少年が声をかけてきたが、いつものように振舞った。ただ、少年はそのあとも何度も何度も丘の下に来ては少女に話しかける日々が続いた。少女はいつものように心は閉ざしたままだった。
あまりにもそのような日々が続き、少女はその少年に興味を持つようになった。ただ己の中で超えないように一線は敷いていた。少女は常に愛想悪く少年に接していたが少年の対応は一切変わらない。
そして、長い歳月が過ぎとうとう少女はその少年のことが気になり始めるようになった。今まではいずれ別れることになるくらいなら近づかないほうがいいと思っていたが、相手は限られた命の中で自分との時間を共有しようとしてくれている。次第に少女の中で何かが少しずつ崩れて行った。
少しでも一緒に居たい。もっとたくさん話したい。その人の事がもっと知りたい。次第に気持ちも変化していった。
お互いに気持ちが通じ合い、想い合い二人は結ばれた。ともに過ごす時間はかけがえのないものだった。駄目だと分かっていてもその人との限られた時間を優先する以外に彼女に選択肢はなかった。
そして、二人は別れの時を迎えた。初めから分かっていた結末とはいえ心はずっと苦しいままだった。枯れるまで涙を流した。しばらくは胸に穴が開いたような感覚に彼女は陥った。
その後、数十年、数百年が過ぎ彼女は丘の上でずっと昔の日々を思い出している。真夜中に光る星を見上げ、手の届かないほど遠くへいってしまった彼を想いながら。
【一言】
近い未来には離れ離れになることが分かっていても、限られた時間の中でその時一緒にいられることを選んだ、寿命の大きく異なる二人が恋する物語です。
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