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パパのいない朝がきた②

タクシーに乗って、街を眺める
普段と変わらないように見えるこの人たちも、わたしたちみたいにいろんなことを抱えているんだろうな~、なんて考えてた

タクシーに乗ってしばらくすると、持ってきていたパパの携帯が鳴り始める
予測していたが、仕事の電話が入り始めたのだ

「○○の家内でございます。実は・・・・・」
皆さん一様に驚き、電話の向こうで涙声になる人、何も言えなくなる人、様々な反応だった
パパの仕事は複雑すぎて、とても一言では語れないのだけど、突然の彼の死によって慌てる人がいることがとても申し訳なく、それでも皆さん気づかってくれて、とてもありがたかった

並行して、私自身の仕事の電話も掛ける
仕事の割り振りはおおむね深夜のメールで済ませていたが、お客様への直接の変更のお願いは自分自身でかける
「突然の私事で、、、」としか言えないが、皆さん快く代役での対応や日程の変更に応じてくださる
それもまたありがたい

そうこうしているうちに、自宅に到着
ひと足先に自宅に帰ったパパは、弟さんたちが二階の寝室から降ろしてくれたいつもの寝具の上に、葬儀屋さんの手によってきれいに寝かされていた
和室に寝ているパパは、やっぱりいつもと変わらない様子で、今にも起きだしてきそうな姿
すでにパパの弟たち(とその家族も数人いたような)が集まっており、村の人たちもすでに来ていた

落ち着く間もなく、家族から、また村の役員さんからの質問攻めにあい、村の人はパパの年齢と死因を確認すると【村への連絡】を始める
そうこうしているとお寺さんが来て、枕経を上げてくださる

そんな中でもパパの仕事携帯が鳴る
フリーランスであったパパの死は、誰に伝えれば皆さんに連絡していただけるのか?
わからないまま電話を受けていたが、やっとそれっぽい人につながった!
「元請けさんに伝えておきます!」というひと言で、ちょっと肩の荷が下りた

そんな電話を受けているのに、義母が私のところにやってきて
「よろしく頼むな、よろしく頼むな」とすがってくる
(ああ、わずらわしい・・・)←義両親とのことはまたいつか
義母の相手もそこそこに、今度はパパの死を知った近所の人が(地域の習わし通り)早々にお悔やみに訪れるため、その応対に出る
わたしがこの地に来て同居を始め、まず初めにやらなくなったことがこの(悔やみ)という行為
*悔やみとは
 その家の不幸を知った近隣の人が「悲しい気持ち」を伝えるために、その家をなるべく早く訪れる行為

 私の価値観では(ただでさえ家族を亡くして大変な時、葬儀の準備もだけれども、限られた家族の時間を邪魔する行為)にしか思えず、姑の「行ってきて」の指示に「行きません」ときっぱり断って以来、一度も行っていない
そしてこの度、わたし自身がこの(悔やみ)を受けてみて、改めて苦痛でしかないと思った
(ああ、やっぱり思っていた通り、この(悔やみ)は絶対わたしはやらない!)
そんな思いを抱きながら、わたしはやらねばならないことを淡々とこなしていく

まもなく葬儀屋さんが式のことを決めにくる
喪主はわたしである

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