スケールに入る前に、ボーイングのお話

【藍原ゆきのヴィオラダガンバレッスン11】

今は、ファーストポジションで
1〜6弦まで確認したタイミングである。
ボーイングについて、
学ぶことは多いので
ここでもう一度、ボーイングについて
触れてみたい。

ファーストポジションシリーズで
「弾きながら内観して」とか
「楽器と対話して」といった
抽象化した表現になってしまったが
そのために、大切なポイントを
整理してまとめる。

①弓圧
②弓のスピード
③弓幅

この3つの視点から分析するとわかりやすい。

②と③は相互関係にある。
同じ長さの音がある時
弓のスピードが早ければ
使用される弓幅も広く
スピードが遅ければ、幅も短い。
そこに、弓圧が関わってくるイメージ。

いい音が出た時に
どの様な弓圧、スピード、幅だったのか
ボーイングを知る手立てになる。

ただ、これらを数値化したり、
固定化して把握することには意味がない。
なぜなら、楽器は常に呼吸し、
変化し続けるため
気圧、湿度、弦の消耗具合、部屋の気温、
奏者の体温、風の向きに至るまで
すべて数値化しなければならず
楽器の状態は
まだ、私達が知らない要因で変化する可能性もあるので
実際に、不可能であると思う。

また、固定化した知識を持って
安心していくのではなく
常に、探っていく謙虚な姿勢が
素敵な演奏に繋がるのではないかと
個人的には思う。

そして、弾いていく中に
出てきた音とイメージが合致しないことも
多々あるかと思うが
安易に否定することは
逆に学習の妨げになると思う。

そうではなく
出てきた音を経験として受け止めて
自分の「持ち札」として行くことが
豊かな演奏表現には
不可欠なのではないだろうか。

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