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蛍と、温泉(日記)

箕面へ蛍を見に行ってきた。

蛍は夜にならないと光るところが見えない。
そのため暗くなるまで近くの温泉レジャー施設にいた。大江戸温泉物語箕面温泉スパーガーデンである。

温泉に入れるだけでなく、食事ができる、卓球ができる、演劇が見れる、縁日みたいな屋台で遊べる、と盛りだくさんな施設だ。すごいとしか言いようがない。創作物に出てくるような、人間を誘惑し閉じ込め甘やかしつくすための場所かと思ってしまう。

大浴場へ続く階段を下りると今ではレトロなゲーム筐体がずらっと並んでいて、若者たちや家族連れが夢中になっていた。

サウナは想像通り暑かったが、サウナハットを被ったおかげか少し楽だった。それでも意識を失うのが怖い暑さだったので、ぼーっとしているな、と思った瞬間外に出た。自分が”整う”日は来ない気がする。

漫画のみっちり詰まった棚で四方を囲まれた空間もあった。一か月ここにいても全部は読み切れないほどある。
ごろ寝スペースで、寝っ転がりながら好きな漫画を読むことができる。家よりくつろげるのではないか……
浴衣を着てごろごろと漫画を読む人々が去ったあとには、人間をダメにしそうなビーズクッションが散らばっていた。強い誘惑である。

フードコートで食事を取った。
最近美味い魚を食べてなかったから、魚介類が5種類ほど乗った小さめの丼とうどんを食べた。流石の美味しさであった。
人がまばらなので、誰に急かされるでもなくゆっくりと食事ができる。しかもごろ寝スペースであれば食べている途中で横になることさえできる。凄まじい甘やかしぶりである。

その後腹が減ったのでたこやきを食べたが、これも美味かった。

岩盤浴利用時に着る作務衣が心地よかった。夏の部屋着を作務衣にしようと思ったこともあったのを思い出した。真面目に考えるときかもしれない。
岩盤浴は5種類もあって、ロウリュのある部屋を除いて42~48度と居心地のいい温度である。大判のタオルを敷いて横になっているといつの間にか寝てしまいそうなほど気持ちがいいし、実際合計1時間ほどは寝ていた。水を飲んで涼冷房で休憩して、またうとうとしに行くというのをやっていた。
温められてぼーっとしたあとは、ごろ寝房で休憩する。ここには枕タイプの座椅子やストレッチポールやマッサージチェアがある。布団さえある。当然横になりすやすやと眠った。好きなだけ静かに寝ていられる。甘やかされている。

マッサージチェアも全コースを試した。
マッサージチェアに座ると、いつも思うことがある。
足をこれでもかと縦横から潰されるのである。
挙句足の裏のよく分からない場所を揉まれるので身悶えする。 
手足を潰されながら尻や肩を揉まれている状態のとき、人間は機械の力に勝てないんだなと無力を感じる。
今回は「足裏もみ強さ」をゼロに設定できたので、した。しかし潰されるのは変わらなかった。自分の足が大きいからなのか。

スカイガーデンという屋外の場所があった。プールがあって、水の流れる音が絶えずしていた。風が気持ちよいし、かなり高い場所にあるので街を一望できる。

暗くなったので蛍を見に行こうと出口へ向かうと、一角でジャズコンサートが開かれていた。
夜景を見ながら音楽に酔いしれることもできるとは。恐るべし箕面温泉スパーガーデン。

蛍はよく飛んでいた。幼虫も成虫も昼間に見るとぞわっとするような造形をしているが、夜に儚く光りながら行きかっているところを見ると綺麗だと思う。
幼い頃にホタルブクロに蛍を入れてもらった記憶があるが、持っているのが怖くてすぐに花ごと虫かごに入れてしまった気がする。もう少し愛でれば良かったと、そう思いながら気の済むまで棒のように突っ立って眺めた。
一年はあっという間だ。また来年も見に行きたい。



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