見出し画像

お気に入りの白ビールを成城石井で発見

 ドイツへ度々出張していた頃、現地サイドとのタフな話合いをなんとか乗り切って日本へ帰国する日は、身も心もホッとして朝からウキウキ気分。

 フランクフルト空港へ向かう高速鉄道の中で提供されるのが、このビショップのラベルのヴァイスビア(白ビール)と簡素なスナックだった。これが楽しみと言わずして何と言う、とばかりに、毎回朝から一人至福の時間を過ごしていた。

 ある時、いつもの様にビール片手に流れ去る田園風景を眺めていると、近くの席の乗客から声を掛けられた。”日本の方ですか? 朝からビールとは旅慣れているんですね”

 ”いえいえ、キツ~イ出張帰りにここでこれを飲むのが唯一の楽しみなんですよ”と私。

 聞けば、彼も同様にドイツの親会社に時々出張している同じ業界の人で、今回は特にタフだったらしい。空港までのしばしの時間、共通の経験談で結構盛り上がった記憶がある。

成城石井の店頭で偶然に発見

 その後ドイツへ出張しなくなって暫く経ってから、そんな思い出のビールを日本で見つけた時の驚きと喜び。現地で買うよりかなり高いよな〜、とは思ったが、迷わず買い占めた。

本場ドイツの味を楽しめるソーセージ屋さん

 そして、ヴァイスビアにはやっぱりソーセージ!

 帰りにお気に入りのソーセージ屋さんへ寄って、夏季限定の枝豆入りソーセージなどいろいろ購入。ここのマスターもドイツで長年修業したと聞いて、多分色々と苦労したんだろうなと勝手にシンパシーを感じている。

 ちょっと酸っぱいザワークラウトや少々濃い味のソーセージが並んだ食卓で、懐かしのヴァイスビアを飲む。しっとりとした深い味わいと発酵途中の麹のような風味と共に当時の思い出が蘇る。

 これまでの人生、当然の事ながら、楽しいことよりも、きつかったことの方が沢山あった様に思うが、なんとか乗り越えてきた。

 更に時を味方につければ、その後それはまた違う状況に感じられ、或いは素晴らしい体験として思い出せるものなのかも知れない。

 今になると不思議と良い思い出中心に蘇る。これ、私の実感であり、かのフロイト先生も同じようなことを言ってた気がする。

 話題を戻して…このヴァイスビアに再会できて、あまりに嬉しくて周りの知り合いに広めすぎたのか、このところ品切れしていることが多くなったのが、今の悩み。

 たまに地下の催し物会場に出店するドイツパン屋さん・・ここのマスターもやはり現地で修業したらしい・・に出くわした日の食卓は、当時彼の地での打ち合わせ後のディナーのようになる。これもまた、いいものだ。

 あの頃の自分へ心から、"ご苦労さまでした💗💗"


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?