髭はないけれど、髭だし、髭あるけど、髭ではない。

めっきり本も読まなくなり、音楽も自分が好きなアーチストの過去の作品ばかり聴いていた。
小説に出てくる主人公になったかのような胸の高ぶりや、心を揺さぶられることはなくなり、新鮮な気持ちで高揚することもなくなった。

4年前の外出自粛で、インドア派の私ですら気が滅入ってしまった。
好きな音楽を聴いてもそわそわ落ち着かない。
たまたまテレビを付けたら音楽番組がやっていて、そこに出ていた男性4人グループの2組を見た。以前から人気のあるアーティストだったが、あまり冒険したくない私は関心がなかった。たまたまつけたテレビから流れていた曲に、鬱々とした気持ちが少し光が射したような気がした。
『乗り越えられそう』そう思った。

いまもこの2組のアーチストたちの新曲が出ると必ずチェックして、繰り返し繰り返し聴いている。
ふとしたときに思い出されるメロディーと歌詞のフレーズに、やはりすごいなぁと簡単な言葉しか出てこない。

朝目が覚めて、家族を送り出してから、家のことをする。洗濯を干して、浴室を掃除し、掃除機をかける。新聞を読みながら水を飲んで、買い出しに出かけ、値引きシール付きのパンを昼食にする。見られなかったドラマを観て、お夕飯なににしよう?とスマホでレシピ検索しようとしたのに、別のことを検索しているとあっという間に子どもが帰宅する。宿題をみて、おやつを食べている間にお夕飯の下準備をする。お風呂に入れてお夕飯を食べさして、後片付け。その間に夫が帰宅。子どもを寝かしつけた後、夫が食べたものを後片付けして、夫の話を聞いて眠る。

そんな毎日の私には、歌詞の世界は別世界なのだ。社会との繋がりもさほどなく、ひょっとしたら『ひきこもり』なんじゃないかと思うほど。
以前は自宅警備員です、と答えたりしたが、限界が来ている。新しいことを歌詞から教わっている。

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