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働くということ。

この前、学習参観があった。
活動が終わるとご近所のママに『いっしょに帰りませんか?』と声をかけられた。
『いいですよ』と答えた。
外は秋の冷たい雨が降っていた。

以前話したときに学習面が心配と言っていたが『テストをみてみると大丈夫そう』とのこと。
うちの子は句読点の使い方も怪しい。

ママは自分のことを話し始めた。人となりは耳にしていたので、ふんふんと頷いていた。
『以前はどんなお仕事を?』と今度は私が話す番になってしまった。

『前は通級指導教室という所で働いていて…』と私は答える。そういっても、知っている人は少ない。子どもが通っていないとピンとこないらしい。こんな子が通ってます、などの説明は毎度のこと。

それからなぜいま働いていないのかも説明しないといけないので、厄介である。
子どもが長い間できなくて、フルタイムで働くのを辞めたこと。子どもが生まれてきても、育児が大変だったことを伝えた。

あ、でも彼女はシングルだった。
子どもを産んでひとりで育てるために、東京から地元に帰ってきたんだった。

彼女は進学校に通い、世界で活躍できるキャリアウーマンに、と言った校風で、有名な大学に進学した。
対して私は田舎の女子高に通っていた。H高雑巾というものがあって、昔、その丈夫な雑巾を作る授業もあったらしい。

彼女は都内で働いていたが、子どもができて、地元で仕事を探したが、条件に一致するものがなく、個人事業主となり、バリバリ子育てと仕事を両立している。
彼女はいつも『働かないんですか?』と訊いてくる。なんだか働いていないのが、悪いように思えてしまう。
『子どもが本当に好きなら』と2度前置きされ、ベビーシッターとか、以前働いていたようなことをしたらとアドバイスされた。
『好きなことを仕事にすればいいですよ』と言われても、私は能力もないし、勤勉でもないので、やるぞー!とはならない。

周りをみれば、専業主婦は私ぐらいで、他のママはパートに出てて、社会でも家庭でも能力を発揮している。

子どもを言い訳に仕事をしないのは、申し訳ないけれど、要はいまの生活ペースを崩したくないのだ。
外に出ることでストレスにさらされて、心地よいリズムが崩れてしまうのが怖い。

実家が農家だったので、両親が朝早くから仕事に出てしまい、中学生の頃は毎朝親がいない食卓で白米と漬物だけを食べる生活だった。
いま思うだけでも虚しく感じる。なーんにも味がしないモノクロの朝みたいな毎日だった。
パートナーとご飯を食べるようになり、誰かと食べるあったかいご飯がおいしいことが嬉しかった。
子どもにはこういう誰かと食べるおいしいご飯を毎食感じてほしい。しっかり出汁をとったお味噌汁も。ホーロー鍋で炊いたご飯も。

私は家で働いている。
家は私の基地(ベース)だ。
自宅警備員ともいう。
給与はないけれど、それなりに自信とやりがいがある。
胸をはってやる。


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