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イキりの福姫15 補遺01-雀魂2024夏の四半期

雀魂のキャラ「福姫(フージー)」でイキった対戦を振り返っている。初心者向けの技術解説に適した内容なので、いくつかnote記事にしたい。

イキりの福姫15で、私は読者を挑発した。

「おまえに牌理が分かるか? テンパイする有効牌は何で、何種何枚あるか? そしてテンパイの待ちは何になるか?」

美味しんぼの海原雄山を気取ってイキったのだが、種明かしもしなければ雄山らしくない。そこで補遺を以下に述べよう。

<東3局>

<1巡目>

ツモ6p(→ 打1m とした)。

メンツ→トイツ→ターツの順に手牌を切り分ける。

12m + 46m + 7m + 99m + 33s + 789s + 南(+ツモ6p)

1m + 24m + 67m + 99m + 33s + 789s + 南(+ツモ6p)

メンツが1個ある。トイツが2個ある。ターツが2個ある。この手牌はリャンシャンテンだ(8 -(2 + 1 + 1 + 1 + 1)= 2)。

「配牌時の向聴数(あらの(一人)麻雀研究所)」のページによると、配牌のシャンテン数は平均3.58なので、恵まれた配牌だ。配牌にメンツがあれば、先制リーチを打てる可能性が高まる。

さて、リャンシャンテンの手牌で、何を切るかに迷わない形は何だろうか。

メンツ+リャンメン+リャンメン+リャンメン+トイツ
(例、23m + 67m + 99m + 34s + 789s + 南 + 西)

これなら文句なしだ。リャンメンターツが次々シュンツになればよい。

リャンメンターツ×3(リャンシャンテン)→6種24枚の受け入れ
リャンメンターツ×2(イーシャンテン)→4種16枚の受け入れ
リャンメンターツ×1(テンパイ)→2種8枚の受け入れ

イーシャンテンやテンパイに進んでも受け入れが多いほうだ。

では、現状の手牌からリャンメンターツが生まれるだろうか。

12m + 46m + 7m + 99m + 33s + 789s + 南

1m + 24m + 67m + 99m + 33s + 789s + 南

→ツモ6p、打1m(打南も可)

→ 24m + 67m + 99m + 33s + 789s + 6p + 南

→(次巡にツモ2s、4s、5p、7pの場合)
24m + 67m + 99m + 23s + 3s + 789s + 6p(+ 打南)
24m + 67m + 99m + 3s + 34s + 789s + 6p(+ 打南)
24m + 67m + 99m + 33s + 789s + 56p(+ 打南)
24m + 67m + 99m + 33s + 789s + 67p(+ 打南)

ツモ2s、4s、5p、7pでリャンメンターツが発生する。いずれのツモでも打南とできる。南がメンツになるには残り3枚の南をツモるのみなので、切っても無駄が少ない(裏目のツモが少ない)。

今回、役牌の南を重ねてポンする可能性がある。そのため打1mとした。

(打1m)+ 24m + 67m + 99m + 6p + 33s + 789s + 南

24m、67m、99m、33s、6pで3メンツを見込む。最も欲しいのは受け入れだが(ターツやトイツからメンツが発生する牌)、変化(愚形ターツやトイツからリャンメンターツが発生する牌)は次点として残したい。

<2巡目>

ツモ2m → 打南。

南が2枚切れたので見切った。

メンツ→トイツ→ターツの順に手牌を切り分ける。

22m + 4m + 67m + 99m + 6p + 33s + 789s

22m + 46m + 7m + 99m + 6p + 33s + 789s

メンツが1個ある。トイツが3個ある。ターツが1個ある。この手牌はリャンシャンテンだ(8 -(2 + 1 + 1 + 1 + 1)= 2)。

さて、リャンシャンテンの手牌で、何を切るかに迷わない形は何だろうか。

メンツ+リャンメン+リャンメン+リャンメン+トイツ

これなら文句なしだ。リャンメンターツが次々シュンツになればよい。では、現状の手牌からリャンメンターツが生まれるだろうか。

22m + 4m + 67m + 99m + 6p + 33s + 789s

22m + 46m + 7m + 99m + 6p + 33s + 789s

→(次巡にツモ5p、7p、2s、4sの場合)
22m + 4m + 67m(+ 打9m)+ 9m + 33s + 789s + 56p
22m + 4m + 67m(+ 打9m)+ 9m + 33s + 789s + 67p
22m + 4m + 67m + 99m + 23s + 3s + 789s(+ 打6p)
22m + 4m + 67m + 99m + 3s + 34s + 789s(+ 打6p)

ツモ5p、7p、2s、4sで、リャンメンターツが1組から2組に増える。とりあえず南を見切って、リャンメンターツの発生機会を維持した。4メンツ1雀頭の候補がちょうど5個揃う(いわゆる5ブロックの手牌)。まだテンパイに近づいていない。

<3巡目>

ツモ6m(→ 打9m とした)。

メンツ→トイツ→ターツの順に手牌を切り分ける。

22m + 4m + 66m + 7m + 99m + 6p + 33s + 789s

メンツが1個ある。トイツが4個ある。ターツが0個ある。この手牌はリャンシャンテンだ(8 -(2 + 1 + 1 + 1 + 1)= 2)。

さて、リャンシャンテンの手牌で、何を切るかに迷わない形は何だろうか。

メンツ+リャンメン+リャンメン+リャンメン+トイツ

これなら文句なしだ。リャンメンターツが次々シュンツになればよい。では、現状の手牌からリャンメンターツが生まれるだろうか。

22m + 46m + 67m + 99m + 6p + 33s + 789s

22m + 4m + 66m + 7m を 22m + 46m + 67m に組み替えて、リャンメンターツが1組取り出せる。

ここで、2巡目とは手牌の構造が変わった。4メンツ1雀頭の候補が6個になり、余剰が1個生まれた(いわゆる6ブロックの手牌)。

未完成部分を1個落とす必要がある。22m、46m、67m、99m、33s、6pからどれを落とせば、リャンメンターツが生まれやすいか。

とりあえず99mを落とせば、33s、6pからリャンメンターツの発生機会を維持できる。

22m + 46m + 67m(+ 打9m)+ 9m + 6p + 33s + 789s

→(次巡にツモ5p、7p、2s、4sの場合)
22m + 46m + 67m(+ 打9m)+ 56p + 33s + 789s
22m + 46m + 67m(+ 打9m)+ 67p + 33s + 789s
22m + 46m + 67m(+ 打9m)+ 6p + 23s + 3s + 789s
22m + 46m + 67m(+ 打9m)+ 6p + 3s + 34s + 789s

ツモ5p、7pで、リャンメンターツが1組から2組に増える。この後ツモ2s、4sで、リャンメンターツが2組から3組に増える。

ツモ2s、4sで、リャンメンターツが1組から2組に増える。この後ツモ5p、7pで、リャンメンターツが2組から3組に増える。

では、3巡目のツモ直後を見直そう。

22m + 4m + 66m + 7m + 99m + 6p + 33s + 789s

リャンシャンテンの手牌で、何を切るかに迷う形は何だろうか。

メンツ+トイツ+トイツ+トイツ+トイツ

これなら文句なしだ。トイツが次々暗刻になればよい。

トイツ×4(リャンシャンテン)→4種8枚の受け入れ
トイツ×3(イーシャンテン)→3種6枚の受け入れ
トイツ×2(テンパイ)→2種4枚の受け入れ

イーシャンテンやテンパイに進むと、受け入れが絶望的だ。現状ではトイツばかりが4組揃って、メンツを作りにくい。

一応、見方を変えることはできる。七対子を狙えばよい。

メンツ+トイツ+トイツ+トイツ+トイツ+孤立牌+孤立牌

(注、既存のメンツは孤立牌×3とみなし、トイツの増加を狙う)

トイツ×4+孤立牌×5(リャンシャンテン)→5種15枚の受け入れ
トイツ×5+孤立牌×3(イーシャンテン)→3種9枚の受け入れ
トイツ×6+孤立牌(テンパイ)→1種3枚の受け入れ

七対子狙いがまだマシになることもあるだろう。トイツが幺九牌(ヤオチューハイ、1・9・字牌の総称)や28牌だらけだったり、トイツ同士の距離がいずれも3以上の場合だ(例、11m + 44m、いわゆるスジトイツの関係。22m33m(並びトイツ、距離は1)、22m44m(飛びトイツ、距離は2)よりもシュンツを作りにくい)

トイツばかり増えるとテンパイが難しくなる。アガリは半ば諦めるのが無難だ。運のアヤを期待して、七対子への転換を見るか、細る一方の受け入れよりも好形変化を残していく。幸い内寄りの数牌が多く、リャンメンターツが生まれやすい。4メンツ1雀頭の可能性をまだ残していく。

<4巡目>

ツモ6p(→ 打9m とした)。

メンツ→トイツ→ターツの順に手牌を切り分ける。

22m + 4m + 66m + 79m + 66p + 33s + 789s

メンツが1個ある。トイツが4個ある。ターツが1個ある。この手牌はリャンシャンテンだ(8 -(2 + 1 + 1 + 1 + 1)= 2)。

さて、リャンシャンテンの手牌で、何を切るかに迷わない形は何だろうか。

メンツ+リャンメン+リャンメン+リャンメン+トイツ

これなら文句なしだ。リャンメンターツが次々シュンツになればよい。では、現状の手牌からリャンメンターツが生まれるだろうか。

22m + 46m + 67m + 9m + 66p + 33s + 789s

22m + 4m + 66m + 7m を 22m + 46m + 67m に組み替えて、リャンメンターツが1組取り出せる。

3巡目と同じく、4メンツ1雀頭の候補が6個になり、余剰が1個生まれた(いわゆる6ブロックの手牌)。

未完成部分を1個落とす必要がある。ここでは9mを落とそう。

22m + 46m + 67m(+ 打9m)+ 66p + 33s + 789s

→(次巡にツモ5p、7p、2s、4sの場合)
22m + 46m + 67m + 56p(+ 打6p)+ 33s + 789s
22m + 46m + 67m(+ 打6p)+ 67p + 33s + 789s
22m + 46m + 67m + 66p + 23s(+ 打3s)+ 789s
22m + 46m + 67m + 66p(+ 打3s)+ 34s + 789s

ツモ5p、7pで、リャンメンターツが1組から2組に増える。この後ツモ2s、4sで、リャンメンターツが2組から3組に増える。

ツモ2s、4sで、リャンメンターツが1組から2組に増える。この後ツモ5p、7pで、リャンメンターツが2組から3組に増える。

4メンツ1雀頭の候補が6個になり、余剰がまだ1個ある。ただし、リャンメンターツの発生機会は減っていない。

今後余剰な1個のうち何を切るかだが、リャンメンターツ以外のいずれかでよい。ドラのトイツの22mを残し、46m、66p、33s、のいずれかを落とすとよいだろう。

試しに66p → 6p、33s → 3s、とトイツを崩しても、リャンメンターツの発生機会は減らない。

一方、46mはまだ残したい。その理由は・・・

224m + 667m + 56p(+ 打6p)+ 33s + 789s
224m + 667m(+ 打6p)+ 67p + 33s + 789s
224m + 667m + 66p + 23s(+ 打3s)+ 789s
224m + 667m + 66p(+ 打3s)+ 34s + 789s

マンズのメンツ候補を3組から2組に集約できるからだ。4メンツ1雀頭の候補が5個になり、無駄が少ない。

224m → 222m、234m(この後も、667m + 33sが雀頭候補に残る)
667m → 666m、567m、678m(この後も、224m + 33sが雀頭候補に残る)
33s → 333s(この後も、224m + 667mが雀頭候補に残る)

トイツがまだ3組ある。そのため、メンツが完成する代わりに雀頭が崩れる進行はまだ発生しない。

<5巡目>

ツモ6p → 打6m。

メンツ→トイツ→ターツの順に手牌を切り分ける。

22m + 4m + 67m + 666p + 33s + 789s

メンツが2個ある。トイツが2個ある。ターツが1個ある。この手牌はイーシャンテンだ(8 -(2 + 2 + 1 + 1 + 1)= 1)。運良くトイツが暗刻になった。やっとテンパイに近づいた。

224m + 67m + 33s、カンチャントイツ+リャンメン+トイツが残った、余剰牌のないイーシャンテン形だ(テンパイに無関係な牌が存在しないイーシャンテン形)。完全イーシャンテン形の弱化版になる。

ツモ → 打 → テンパイの待ち

3m → 2m → リャンメン58m

2m → 4m → リャンメン58m

3s → 4m → リャンメン58m

5m → 4m(7m)→ シャンポン22m+33s
(5m → 2m → カンチャン3mも可)

8m → 4m → シャンポン22m+33s
(8m → 2m → カンチャン3mも可)

有効牌は5種16枚。リャンメン×2のイーシャンテン形と同等の枚数だ。好形テンパイ:愚形テンパイ=1:1になる。

224m + 33sの、カンチャントイツ+トイツの構造には3種8枚の受け入れがある。リャンメンターツと同等で、雀頭+1メンツが完成する。

224m + 33s(カンチャントイツ+トイツ)→ 3種8枚の受け入れ

24m + 33s(カンチャン+トイツ) → 1種4枚の受け入れ

22m + 33s(トイツ+トイツ) → 2種4枚の受け入れ

122m + 33s(ペンチャントイツ+トイツ)→ 3種8枚の受け入れ

223m + 33s(リャンメントイツ+トイツ)→ 4種12枚の受け入れ

2組のトイツに周辺牌を組み込んだ構造は、5枚組全体で受け入れを生み、雀頭+1メンツに収束する。これは「愚形ターツ解消コンボ」になり、好形テンパイに役立つ。(トイツともターツとも見える3枚組に、カンチャントイツ、ペンチャントイツ、リャンメントイツがあり、まとめて「複合ターツ」と言う)

話題を変えて、個々の有効牌について確かめよう。愚形テンパイの待ちは2種類から選べる。仮にドラが2mでなければ、カンチャン3m待ちがよいだろう。5巡目に打6mとしており、前ヒッカケになるからだ(リーチ宣言牌より前に切った牌のスジで待つことを前ヒッカケと言う)。

リーチ宣言牌のスジで待つ「モロヒッカケ」はしばしば生まれる待ちで、通常のスジよりも放銃率が高まる。そのためオリを知った相手はなかなか切らない。

一方で、前ヒッカケはモロヒッカケよりも出現しにくく、放銃率が特段高まるスジではない。そのため、出アガリを狙える。

今回はドラが2mなので、シャンポン22m+33s待ちにしたい。ドラをツモ切ることがなく、ドラを切っての放銃が起こり得ない。アガリは難しいが、リーチ・ドラ2はツモか裏1で満貫だ。放銃時失点が高まりにくい点では優れる。

さて、仮にツモ6p → 打4m、とするとどうか。

22m + 66m + 7m + 666p + 33s + 789s

22m + 667m + 33s、リャンメントイツ+トイツ+トイツが残った、余剰牌のないイーシャンテン形だ(テンパイに無関係な牌が存在しないイーシャンテン形)。やはり完全イーシャンテン形の弱化版になる。

ツモ → 打 → テンパイの待ち

2m → 6m → リャンメン58m

3s → 6m → リャンメン58m

6m → 7m → シャンポン22m+33s

5m → 6m → シャンポン22m+33s

8m → 6m → シャンポン22m+33s

有効牌は5種14枚。リャンメン×2のイーシャンテン形より2枚少ない。好形テンパイ:愚形テンパイ=2:5になる。シャンポン待ちテンパイが濃厚だ。

テンパイ確率とアガリ率の面で、どちらが優れるかは明らかだ。「門前の手牌で」イーシャンテンに進むときは、3トイツよりも2トイツ残しにして、好形テンパイの確率を高めたい。

<8巡目>

ツモ3m → 打2mリーチ → リャンメン58m待ち。

ドラを切ってのリーチでもったいないが、他家はリーチしていない。対面が中盤で1副露なので、テンパイかどうか判然としない。中盤でドラを切っての先制リーチでも、放銃しにくいだろう。

<10巡目>

対面が私に放銃、2,600点(子40符2翻)。

<20年前からある解説で学ぶ-門前3ヘッド◯◯理論は初心者脱出に必須の捌き>

麻雀講義や牌譜検討で有名なゆうせーさんが、今回と同様の事例を講義している。「門前の3トイツは、3ヘッド◯◯理論でバッチリ対応! “配牌からの”牌効率 第4回~リーチを目指せ!麻雀初心者向け講座!」に詳しい。

(ゆうせーさんは天鳳十段 5回(プレイヤー名: 天鼓、黒猫@ぺろぺろ☆)、雀魂四麻 魂天(プレイヤー名: 吉澤嘉代子推し))

麻雀プロが匿名で牌効率を解説する「発男道場」のチャンネルがある。今回と同様の事例が紹介されている。「【麻雀解説】3トイツ形をさばく牌効率の重要ポイント」の動画に詳しい(門前の手牌で3トイツを残したほうがいい、例外の事例も紹介している)。

「ウザク式麻雀学習 牌効率」(通称、ウザク本緑)でも同様だ。「3ヘッド最弱理論(1)(2)」(pp.34-37)で紹介している。「『3ヘッド最弱理論』は『打姫オバカミーコ』(片山まさゆき、竹書房)の中で提唱された理論です」(cf. p.35)

「スリーヘッドの秘密」(打姫オバカミーコ 11巻、第97話)で、ミーコが下位リーグの女子プロに理論を教えている。

作中の後半で麻雀を教えることになるミーコも、最初は未熟だった。「弱い部分」(打姫オバカミーコ 1巻、第3話)では、なりたてプロ雀士のミーコが、波溜晴(「風王位」のタイトル獲得もあるプロ)から「弱いところをフォローして、強いところはフォローいらず」を教わる。

「フォロー(受け入れの補強、愚形ターツ解消コンボ)」の技術は「3ヘッド最弱理論」と干渉する技術で、使い分けがなかなか難しい。(注、オバカミーコの「近代麻雀」での連載は2004年に始まった。登場から20年が経ち、戦術の中には古い部分が出てきた。作中の戦術が全て正しいとは限らないので注意)

動画や漫画を見れば手軽で「分かった」と感じる。しかしそれは「分かったつもり」だ。見るとやるとは大違い。実戦では本稿のような比較検討を反射的に行う必要がある。「読みにくい。分かりにくい」と感じるならば、それは自身が未熟な証拠だ。

玉の間で定着する打ち手(中級者)は、オバカミーコで20年前に解明されたこの捌きをマスターしている。彼らは打った後に牌譜を見返し、リャンメン×3のリャンシャンテンを迎える可能性を考えている。

(本稿終わり)


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