手のひらと、お腹の間。
麻衣のお腹に、手をのせる。その丸みは、僕に縄文土器の曲線を思い出させる。子宮は9ヶ月を迎え、100倍の大きさになったという。僕の手のひらは、しっとりとしたお腹の曲線にぴたりを吸い付く。
「寝ているみたいだね」
手のひらには、麻衣の呼吸の振動と鼓動の動きを感じる。
「今、おやすみ中みたい」
麻衣が応えると、その声の震えが伝ってくる。三人の体に、響き渡る。
少しばかりの間、そのままじっと、手のひらを当てたまま、麻衣とおしゃべりをする。
「明日は早起きして、焼きたてのクロワッサンだ!」
「コーヒーを入れて、早速動画を撮ってみよう」
そのうちに、ぽこぽこと、お腹の中の人が、動き出す。
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