我々は運命の奴隷にすぎないのか〜決定論についての考察〜

こんにちは！shintaroです！
今日は最近僕が気になっている、哲学の分野の「決定論」（運命予定説）についての解説とそれについて考えたこと、どうすればこの決定論を打ち破れるかについての考察をしていきたいと思います！　哲学に興味がある方、深くものを考えるのが好きな方はぜひぜひ読んでみてください！

その前に、、、

今回僕がこのテーマに疑問をもったきっかけは、僕が好きなアニメ「ジョジョの奇妙な冒険〜黄金の風〜」がこの「運命」をテーマの一つにして描かれた作品だったからです。ジョジョに関する考察として、↓の記事も投稿しているので、よかったら見てみてください。こっちの方では、また別の意味での「運命」・「眠れる奴隷」の意味について考察をしています！

決定論とは？

まず、決定論についての説明をしたいと思います。決定論にもいろいろ種類があって、解釈は異なるのですが、僕がここで扱いたい意味の決定論は、

「この世界で起こるすべての出来事は宇宙ができた瞬間から、あるいはそれよりも以前から全て正確に決定されている。私たちは自由に考え、自由に行動し、自由に未来を切り開いているように思えるが、実際はただ宇宙ができた際に決められたシナリオをただこなすだけの、運命の奴隷に過ぎないのだ。そんな私たちの人生に何の意味があるのだろうか、いやない（反語）」

という意味です。（少し悲観的なニュアンスを入れすぎましたが笑）この決定論では、私たちの自由意志を完全に否定します。どういうことなのかもう少しわかりやすく説明していきたいと思います。

今日はどんな１日だった？

軽く思考実験のようなものをしてみます。今日あなたがやったこと、あなたに今日起こった出来事をざっとでいいので思い出してください。（この記事を朝読んでいる人は昨日のことでもokです）
例に僕の１日をざっと話すと、（5/29)
「朝１０時起床、朝食は昨日の残りのチャーハンを食べた。その後、ゲーム（スマブラ）を１時間ほど楽しみ、自転車で大学に書類を提出しに行ったついでにジムに行き脚トレ。久しぶりのスクワットで追い込みすぎて、帰りの自転車がフラフラ。車からクラクションを鳴らされて少ししょげる。家に帰ってシャワーを浴び、ご飯を食べて、この記事を書いている。」というあまり充実していない休日でした笑

というどうでもいい僕の１日でしたが、ここから思考実験です。もし仮に世界から今日１日を消し去り、今日の出来事をすべてなかったことにしたとしたら、（時間を１日分巻き戻して、今日１日に関する記憶も全て消える）僕はどんな１日、どんな5/29を過ごすでしょうか？？
答えは、「朝１０時起床、朝食は昨日の残りのチャーハンを食べた。その後、ゲーム・・・食べて、この記事を書いている。」になるはずです。
なぜなら、僕の今日１日の出来事は全て、元をたどれば全て昨日までの過去が原因となって引き起こされた出来事だからです。（これから長々と説明していくのは、この、何度時間を巻き戻しても正確に全く同じ１日が繰り返されることの説明です！ざっくりとした正確ではなく、手の動きや身に起きること、考えることなど完全に正確だということです！）一つずつ説明すると、
・朝食はチャーハン←←昨日チャーハンを作って冷蔵庫に入れといたから
・ゲームした←←最近忙しくてやってなかった
・大学に書類を提出←←昨日までに出してなかった
・ジムで脚トレ←←先週立てた計画にのっとり、今日は脚の日だった
・車からクラクション鳴らされる←←自転車フラフラ←←ジムで脚トレ・・・

と言ったように、昨日までに起こっていた事柄を原因として今日の一日は成り立っていえます。
では突然頭の中に浮かんできた考えなどは昨日までの過去に関係ないのではないか、という意見にはどう対抗するのでしょうか。
ここで登場するのが物理学の考え方です。というより、もともと決定論は物理学の考え方から生まれてきた思想といえる部分もあります。

古典物理学の基本理念

物理学（古典物理学）の基本理念は、「この宇宙の物体の運動は全て、この世界に存在する法則にしたがって動く、素粒子の動きによって全て説明できる」というものです。ここから導かれることは、「ある時点・地点の素粒子の力学的情報（どんな動きでどの時刻にどの場所にいるか、みたいなもの）が完全に分かれば、その物体が今後どのように動くかを正確かつ一意的に予測できる」というものです。

木から落ちたリンゴが何秒後にどの程度の速度で地面に落下するか・プラスの電荷を持つ素粒子が電場から力を受けてどんな動きをするのか・太陽の周りをどれくらいの周期で惑星は回っているのか、などこの世界の物体はある時点の力学的情報がわかっていれば正確に理解できるということです。ここで大事なのは、予測した出来事は絶対（一意的）だということです。リンゴが木の枝を離れたら、絶対に地面に落ちます。例外はありません。同じ条件で何度リンゴが落ちても、絶対に同じ速度で地面に落ちます。これを発展させると、何度時間を巻き戻しても、僕の5/15は絶対に完全に同じ１日になります。僕の意思は脳みそを構成する素粒子によって決められていると考え、脳みそを脳細胞と電気信号からできた機械だと考えれば、僕が１日に行った行動の全ては、朝起きた瞬間の脳の素粒子の力学的情報によって全て決められていると考えられるはずです。そしてそれは例外はありません。何度同じ１日が来ても、自分が取る行動は一つです。（リンゴが木から落ちる速度が絶対に変わらないのと同じように）そう考えると、何度時間を巻き戻して記憶を消しても、全く同じ１日が繰り返されることが納得できますよね？

と、説明を長々としてきたわけですがこの、「何度時間を巻き戻しても正確に全く同じ１日が繰り返される」はわかりましたか？今日という一日は、昨日までの全ての過去によってあらかじめ決められたものである、ということを発展させ、昨日、一年前、十年前、、、と繰り返していくと、僕が人生の中で何を考え、何をしていくのかということは、僕が生まれた時の宇宙の素粒子の力学的状態が確定した瞬間に全てあらかじめ決まっていたということになります。僕が自分の意思でこの決められたシナリオを変えることはできません。僕は決められたシナリオをただこなすだけの奴隷と言ってもいいでしょう。シナリオを自分の自由な意思で変えられるということは、リンゴが木から離れると地上に落ちるのではなく、宙に浮いたままのこともあれば、そのまま空に飛んで行ったり、その場でリンゴジュースになったりするかもしれないと言っていることに等しいです。

運命の奴隷

以上が、僕が言いたい意味の決定論です。この宇宙ができた瞬間から、どういう生命が生まれ、どんな文明が盛え、どんな人物がどんなことをして、この宇宙が終わっていくのかはあらかじめ決められたシナリオなのです。そのシナリオに対して、僕たち人間が自由意志を持って何か変化を与えることはできません。定められた運命をただ遂行するだけの、運命の奴隷なのです。

と、決定論の説明をしたところで、どうやってこれに反論を付け加えるか、これが今回のメインテーマです！笑（ここまで長すぎ）

決定論によって無意味化された僕らの人生を再度意味づけるにはどうすべきか

決定論の立場からすると、私たちの人生はとても無意味のようなものに思えます。今回の目的は、無意味な人生をどうやって意味のあるものに変えるかです。
この記事ではその結論まではいきません。どういう方向性でこの無意味さを克服できるかについての考察まで記したいと思います。僕が思いついたのは、大きく３つです。

一つ目は、そもそも決定論自体を否定すること。これができれば人生の無意味さという話は根本から崩れ去ります。決定論は古典物理学から派生したものなので、現代物理学の話を持ち出せば、きっと決定論を打破できるはずです。ということで、次の記事までに、関係がありそうな↓↓の本を読んでお勉強します！笑
「神はサイコロを降らない」がどう崩れていくのでしょうか、、、

心は量子で語れるか　ロジャーペンローズ　著

「量子論」を楽しむ本　佐藤勝彦　著

「三体」　劉慈欣　著

予備校のノリで学ぶ「大学の物理・数学」　量子力学入門シリーズ

二つ目は、決定論を受け入れても僕たちの人生には意味があると述べることです。決定論のインパクトが強すぎるので、正直これは難しいかも、、、これに関しては、まえに大学の授業で教授が進めていた、見田宗介さんの「時間の比較社会学」や、Max Weberの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を読んでみようかなと思います。文化的な背景や、宗教的な観点から説明ができるかも、、、？？

時間の比較社会学　見田宗介　著

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神　Max Weber著

三つ目は、人間の意思は物理法則を超えた次元の場所にあると示すことです。決定論の議論では脳が極めて複雑な機械であると仮定していたので、この仮定を崩して、人間の意思がそのような自然法則に従わない部分があるということができれば、私たちは未来を変えられるかもしれません。人間の脳についてはまだわかっていないことだらけなので、ワンチャンあるかも🤔

こっちの議論でも、先ほどあげた「心は量子で語れるか」や、「運命と選択の科学」などを読んでみようかなと思います。

運命と選択の科学　ハナー・クリッチロウ　著

終わりに

以上が僕が今考えている「決定論」についての話です！夏までに↑の３つに対する自分なりの回答が出せればいいなと思っています！とても長い文章になってしまいましたが、最後までご精読ありがとうございました！
アリーヴェデルチ！！