DDTとワタシ⑤まっする1感想

まっする6開催3/29~31決定!!!!!!

やったーーーー!遂に詳細出ましたね!
北沢タウンホールで5ステってほぼ演劇でしょ!!
初日の昼に多分ある程度しっかりゲネもやられるだろうから実質3日間で6ステ...
若い劇団が小屋押さえた時にとりあえずめいっぱいステージ数詰め込んで後で後悔するやつ...
でも見る側としてはありがとうございますしかないやつです。日替わりネタとかも楽しみ!!
という訳で
まっする1からの感想を改めて
せっかくなので(?)役者目線で記していこうと思います。
①にも書いたまっする5のあと遡って配信で拝見したため
リアルタイムで観戦された方とは印象が違うかも知れません。
プロレス初心者の超個人的感想です。
DDT関係者並びにファンの皆さまを貶める意図は一切ありませんのでご容赦ください。

いつかコールと紙テープをあのひとに

2020年1月27日の興行なので
まだ選手への声援や突発的なコールが頻繁に巻き起こる。
コロナ以前の大会を見返すとお客さまの声がけが本当に楽しそうで気が利いていて
もっと会場に行っておけば良かったなと悔やまれる。
選手が投げ込まれた紙テープにまみれる光景なんてもう
あらかじめ失われた楽園のようになってしまったけれど
いつかこの手でテープを投げ、小洒落たコールを飛ばせる日まで
DDTを見続けていたい。

まずはおじさんたちの超絶技巧を味わうべし

冒頭V
マッスル坂井氏と今林氏演じる鶴見亜門が過去の栄光を肴にだらだら飲んでいる所へユウキザ・ロック氏が現れ
『あなたたちが喋っている台詞は自分が書いたもの、親会社からまっするの総合演出を任されてやって来た』と宣言。
雑談だと思ったら実は台本で
その台詞を演じていた当人であり、作演出家であるはずの坂井氏は
知らぬ間にその地位をそっくりユウキ氏に奪われていた
という、深く考えるとパラドックスがえらいことになりそうな入れ子構造を
ゆるい笑いと共に飲み込ませる導入がすでに凄い。
この『台詞はあるものの、役と本人の境界を極力曖昧にすることでメタ的なリアリティーと無茶な設定を両立させる』
という状況はまっするシリーズ通して頻発するが
フィクションとノンフィクションとメタフィクションの混沌こそがまっするの醍醐味なので覚えておいてほしい。

V明けからは宣言通りユウキ氏が独断で企画を進行していく。
すぐさまプロレスネタと話術で客席を味方につけ、機材トラブルもアドリブで繋ぐなど
百戦錬磨の小気味良い回しがお見事。
憎まれ役でも陰険になりすぎずドライに流して下さる案配がまた巧い。
坂井氏には
極力演じすぎずフラットに反応することで真の総合演出である立場を見る側に忘れさせるという奥ゆかしさとしたたかさがあり
これは役者にはないバランス感覚だなといつも唸らされるんだけど
今林氏はあくまで役者として『鶴見亜門』役をしっかり演じているのが対照的。
小劇場時代、あまりにも声と滑舌が良くて逆に胡散臭いともっぱらの評判だったのが
DDTの前説やMCで更に磨きがかけられ
口跡のきれいな舞台演技でありながら、楽屋落ちの生々しさつまりメタな部分を一手に引き受けてるのが本当に凄い!!
これを両立させられる役者は多くない。しかもきっちり笑いも取る。もはや特殊技能。
こういうタイプの違う技巧派のおじさんたちが屋台骨を支えている図がつくづく大好きだし勉強になるなあと純粋に思う。
第4の男みなみかわさんには
システマ1本で客席を沸かせる姿勢に芸人さんの生きざまを感じますね。

今となってはレアなチーム分け

本編の内容としては
ロック様ことドウェイン・ジョンソンのようにプロレスから芸能の仕事にシフトしたい若手レスラーを騙して集めて
まっするを旗揚げしようという名目で話が進んでいく。
とはいえ必殺技男子もまだ出てこないし全体的にトライアルな空気。
アイドル的活動を見越して
身長順にL、M、Sの3チームに分けられたり。
Sはかわいい見た目にバランスもよくて面白い組み合わせなんだけど
Lは竹下選手樋口選手が揃った時点で強すぎるのに、遠藤選手まで加わるためチートが過ぎるかなという感じ。
Mはストーリー上、平均的かつ個性がないという設定でユウキ氏は扱うんだけど
よりによって彰人選手、平田選手、渡瀬選手、上野選手と
屈指の個性派イケメン4人が揃ってしまいちょっと無理があるような。客席の反応も笑いながら若干戸惑いがあるし。

今見ると
このチーム分けが定着しなかったのがなんとなく解る笑。

メタフィクションの断頭台

まっするには『クライマックスになると突然辛辣なダメ出しが始まる』という恐ろしい掟がある。
そしてダメ出しをされた人間はその瞬間から興行の主役に躍り出るのだ。
今回のダメ出しターゲットは

芸人とレスラー二足のわらじを履く渡瀬瑞基選手。

それまでは虚実入り交じり趣向を凝らした対抗戦が繰り広げられ
チームMもお題に沿った大喜利のような試合を楽しく終えたところで
唐突に
ほんと唐突に
吉本の大先輩であるユウキ氏から渡瀬選手に
『芸人としてもレスラーとしても中途半端』というあまりに身も蓋もないガチダメ出しが突き付けられる。
もはや試合内容やチームがどうとか関係なく100%渡瀬本人の普段の態度や素行への断罪にまで発展し、笑いとどよめきと驚きでカオスの客席。
コメディリリーフとして活躍する平田選手からも『面白くない』と一刀両断され(これ地味に一番辛い)
彰人選手に至っては、まるでご本人の方が傷付いているような必死な語り口で
『DDTの選手は皆なにかしら掛け持ちして頑張ってる。僕も系列店の飲食業一生懸命やってる。でも君はレスリングもお笑いもしょっぱいままだろ?もっと上を目指せるはずなのに!!』なんて真摯に説得を始めて
ただただ彰人選手の株が暴上がりするばかりである。この店長の下で働きたいGP2020優勝である。
ちょっと渡瀬選手が気の毒になる四面楚歌の中
おもむろに
『うわー!さっきの試合で食らった毒が~!!』と倒れる平田選手。面白お兄さんが戻ってきてくれた!ありがとう!大好き!
彰人選手も説得のめちゃいいとこで『うわー毒がー』と苦しみだす。
DDTの選手はほんとにみんなこういう切り替えがお上手で感服しちゃう。
冒頭にユウキ氏が「笑いは緊張と緩和」と論じていたけど、まさに。
倒れた2人に駆け寄った上野選手も『息、してない...!』とかちゃんとお芝居してて
上手いやら面白いやらかわいいやらで気をとられる。そんなとこでまで輝かないでほしい。
結局、同僚を毒殺した罪により(???)
渡瀬選手と何故か上野選手も揃ってまっするを解雇されてしまう。

そして平田選手彰人選手の蘇生手術のため休憩へ(!?!?)

ここから始まった感のメイン戦

休憩明け
メイン戦はチームL対S
レスラーと素人のミックストマッチなんだけど、みなみかわさんはともかく
ここまで普通にレスラーとして参加していた趙雲子龍選手が
暗黙の了解とはいえ特に説明なくサラリーマン大吉(おおよし)という素人設定に変更されたり、痛みを呼吸で無効化するロシア格闘術システマが初登場したりと
また世界観が乱高化する中、バカバカしくも激しい闘いが繰り広げられる。
『呼吸!呼吸!』コールといい大吉さんへの応援といい、間が良すぎてもはやプロ観客の域だけど
それだけDDTとお客さんは面白を共有し続けてきたんだなあと新参者は眩しく思ったり。
サプライズで遠藤選手登場!!
華麗な技でピンチを救うのは不意突三への布石か。
でもカリスマ(佐々木選手)に逆らえない姿(かわいい)にこの頃はこういう関係性だったのか~と新鮮。

天然のチャームは舞台あらし

メインも終わり、〆かと思いきや
チームMを呼び込む今林氏。
蘇生に成功したらしき彰人選手と平田選手は包帯ぐるぐる巻きで松葉杖なんだけど
一体どういう種類の毒だったのか...。
今林氏から
渡瀬選手と上野選手の解雇を撤回しもう一度闘うチャンスを与えてほしいと
ユウキ氏に迫真の訴え。
散々めちゃめちゃなことやってつっこみどころ満載な中、この説得力出せる今林氏の豪腕よ。
ユウキ氏の真剣な受け答えもありなんか一気にいい話ぽくなったところで
伝家の宝刀
坂井氏のパワーポイントがついに火を吹く!!完璧なプレゼンにより、この争いの決着には漫才がふさわしいとの答えが導きだされ
真のメインイベントは
渡瀬・上野のプロテインタイガーvs
みなみかわ・竹下のデンター&システマの漫才対決に決定。

本職の芸人みなみかわ氏と渡瀬選手が台本とつっこみを担当し調整役に回ったとはいえ
門外漢であるはずの竹下選手、上野選手のボケが存在感を放ちすぎていて
笑いのセンスはもちろん
本能的に人を惹き付ける嗅覚と才能がものをいう現実を見せつけられた。
プロテインタイガーのネタは鍋の中の野菜が心情を語るという極めてファンシーなものなのに
狂気じみたエキセントリックさで野菜の声を代弁する上野選手にはやはり底知れない魅力を感じるし
元来お笑い好きの竹下選手はシュールなボケを間合い良く繰り出しつつ、フィジカルの強さまで笑いに変える手練れっぷり。あと表情が抜群。
こういう天然のチャームとセンスを持ったビギナーにプロが食われることはままあって
例えばもし演劇であったとしても全部持っていかれる可能性が高く絶対共演したくない。観たいけど。
芸の道は残酷だわ...。

観客の拍手投票により
プロテインタイガーが見事勝利し、渡瀬選手も無事名誉挽回、出来たかはちょっとだけ心配なエンディングだったけど
そこを変に持ち上げないところが
選手の生きざまをファイトに反映させるプロレスの志向を汲んでいるような気がして
創作のエンタメとは一線を画する面白さだなとしみじみしつつ
まっする2ではまた違った種類の渡瀬選手の魅力が発現するので


続きは次回の講釈にて。

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