DDTとワタシ⑥ まっする2感想

役者目線のまっする2所感


ちょっと間空いちゃってすみません。

前回に続き、まっする2の所感を書いていきます。
プロレス初心者の極私的感想です。
DDT関係者並びにファンの皆さまを貶める意図は一切ありません。

過渡期の危うさ

2020年3月26日の興行ということで
感染症対策についての認識も過渡期であったり
当時盛大な物議を醸した時事ネタに全力で便乗していたりと
今となってはちょっとセンシティブな内容でもあるため
前半について詳細なレポは控えます。

トピックだけ挙げておくと

・プロテインタイガーが前説に抜擢
上野選手がガスマスクを被ると妙に退廃的でドキドキする。取った後のピヨ毛もかわいい。
サイコボケに更に磨きがかかり、間と声のトーンも抜群です。
渡瀬選手は難しい空気を堅実にまとめ観客をうまく誘導してて成長を感じる。

・今成選手の天丼返し
諸事情でお休みのみなみかわ氏に代わり、ユウキザロック氏が付け焼き刃のシステマで闘う。
疲れ果て早いとこ試合を終わらせたいユウキ氏のフォールを何度も何度も返し
しまいには説教される今成選手がめちゃくちゃ面白いんだけど、このくだり是非最後まで覚えておいて下さい。

・村田さんと鈴木さんのゴールデンコンビ
前半の山場『ヘル イン ザ ブルーシート』ではお馴染み村田さんと鈴木さんの実況解説が冴え渡る。村田さんの某芸人ネタが秀逸。この方もほんとなんでも出来る!

…など色々あった末

序盤から閑職に追いやられてた今林氏が思わず吐露した
『選手のキャラを活かして面白い興行だけをやりたい』という演劇人らしい夢と
ササダンゴ氏の提示した
『飛ぶ鳥を落とす勢いの2.5次元ミュージカルにあやかって一発当てたい』という直裁すぎる野望が奇跡的にマッチした結果


遂に...

2.9次元ミュージカル
必殺技乱発

(にーてんくじげんみゅーじかる
ふぃにっしゅらんぱつ)


が誕生します...!!

新木場ユーズ・ユア・イリュージョン1

記念すべき必殺技乱発第一話

主人公は
地域密着型プロレス団体『新しい牙』でどこか味気ない日々を送る

ベテラン若手レスラー兼映像スタッフ
ドリームボーイ今成(いいリングネーム!)

道場でトレーニングする古参レスラー
ミニシアターヒサヤ(すごくいいリングネーム!!)
とのたわいもないシーンから物語は始まり

最近新しい牙を買収した新進気鋭のレスラー兼実業家
ビッグプリンス納谷(まんまのリングネーム)
が悪徳秘書ユウキを伴って現れ、今成たちに難癖をつけると
納谷vsヒサヤが勃発!しかしユウキの策略でヒサヤはあっさりプリンスラリアットに沈められ
しかも試合の衝撃で(?)ヒサヤの魂は感染症対策のマスクに乗り移ってしまうのであった...(????)。

ファンタスティックとして只今絶賛大ブレイク中の今成選手も
この時はまだ初々しく、全てのセリフをちょっとずつ間違えるおぼつかなさがご愛敬。
しかし、DDTのジョニー・デップと呼び声高いルックスや物怖じしない人懐っこさには魅力の片鱗が伺えます。

かくして

独り残されガックリと膝をつく今成に
ヒサヤ(マスクの姿)が
『自分に宿った必殺技を託すから、お前は新しい牙をあいつらから守ってくれ』と衝撃の無茶ぶりを言い渡し

まずはライバル勢力パイプ椅子男子のショータ・オカムラが見事な悪役芝居で観客を一気にファンタジーの世界に引き込んだら

いよいよ真打ち登場

"必殺技が擬人化した付喪神"必殺技男子が顕現!!

投げ技系必殺技の神・思切投太郎(おもいきりなげたろう)

飛び技系必殺技の神・高久辛飛光(たかくからとびみつ)

関節技系必殺技の神・膝十字欣也(ひざじゅうじきんや)

打撃系必殺技の神・野球棒振正(ばっとふりまさ)

丸め込み系必殺技の神・丸目込松(まるめこみまつ)

がそれぞれの技と名前を披露しながらパイプ椅子男子を撃退する定番のデモンストレーションが初披露され
決めポーズと『俺たちいつでもフィニッシュ乱発、必殺技男子』の口上で大いに盛り上がる客席。
リングコスチュームに色ちがいのバンダナをひとつ足すだけでヒーロー感チーム感を演出するの素晴らしいですね。
振正のベースボールシャツ、投太郎のロングタイツのレア感も嬉しい。

こういった、抽象セット(この場合リング)とシンプルなユニフォームで様々なシチュエーションや役柄を想像させる手法はかつて小劇場で一世を風靡したけれども
察しとノリのいいDDTのお客さまとは非常に相性のいい演出だし
作り込んだセットと衣装のワンシチュエーション演劇が主流の今
まさかプロレスの現場でまたお目にかかれるとは感慨深い。

役者じゃないスペシャリストの演技からしか摂取できない栄養素



恐らく数日で膨大な段取りとセリフを覚えこれだけのお芝居を成立させるのは役者でも難しいと思うし、心から尊敬するんだけど
とは言え演技のポテンシャルはそれぞれ。

上野選は余裕すら感じる巧さ!
「つ・く・も・が・み」の言い方が完璧すぎて爆笑を巻き起こした上、きっちり笑い待ちまで出来るという恐るべき芝居勘。
彰人選手はちょっとぎこちないながらもいい声で堅実にセリフを伝えようとされるのが好感度高い。あと何時なんどきも超絶顔がいい。
平田選手は感情表現の上手さと共感させる力が抜きん出ててさすがバラエティ班の地力を感じる。
勝俣選手はもうひたすらにかわいい。声の出し方から仕草からプロの業。あまりにかわいいため、ヒーローなのに必殺技が有刺鉄線バットというダーティさもまったく気にならない。

そして
あんなにもハンサムであんなにもマッチョで圧倒的強さと溢れる知性とメロウな激エモマイクを誇る完璧超人の竹下選手は
というと...なんというか...すごく、素朴でギャップ萌えが爆発してしまう。

でもそれでもちゃんと面白いしツボを心得てるのは、これ
ある分野のエキスパートが演技力でなく人間力で芝居に一種独特の説得力を付加するパターンなんですよ。
戦メリの坂本龍一さんとかトトロの糸井重里さんとか風立ちぬの庵野秀明さんとかと同じジャンル!

…そんな必殺技男子たちはドリームボーイ今成を新たな宿主と認め

RAM RIDERさんのオリジナル楽曲
『必殺技乱発!』をこれまた初披露。

見目麗しい人気レスラーさんが歌って踊って下さるだけでだいぶお値打ちだけど
何度も見返すと
実はちょっとダンス苦手?な飛光が顔の良さとお色気だけで乗りきってるのが微笑ましかったり
TOKYO GOとパラパラで鍛えた込松と欣也は表情や振りにちょっとおかずを足すぐらいこなれ感あったり
振付も担当してる振正は全方位にニコニコサービスでかわいいの権化だったり
投太郎は何ひとつ振りを間違えてないのに肉体が凄すぎるのと顔が常に虚無なのでトレーニングにしか見えなかったり
等、小さな発見が沢山あって

『このガム、ずっと味がする...!』という心持ちになる。

悪徳秘書ユウキから「納谷社長と無観客無配信試合で闘え」と怪しい指令(LINE)が届くも
必殺技男子の守護により気が大きくなっている今成はあっさり挑戦を受けてしまう。
また、無配信ということで煽りVを作らなくていい解放感からルンルンで筋トレに出かけるのであった(かわいい)。

実力派バイプレーヤーのありがたさ

ところ変わってビックプリンス納谷の体内。
納谷に取り憑いたパイプ椅子男子たちが作戦会議をしている様子。


パイプ椅子男子の面々はシンプルに芝居が上手い!!!


趙雲選手(イトーキ・オオヨシ)と翔太選手(ショータ・オカムラ)は
舞台とプロレスの複合エンタメ「魔界」に出演していて、まだお二人のことを知らない時「この役者さん上手いしアクションもすごい!」と思って見てた笑。
翔太選手には小劇場出身名バイプレーヤーのような安定感があるし
趙雲選手にはハリウッド映画に出てくるカンフーマスターのような剣呑さがある。いつだかの路上プロレスでずっと男塾の雷電を演じきっていたのも凄かった。
渡瀬選手(イームズ・ワタセ)は低音イケボでちょっと影のある演技が光るし
今回のボス吉村選手(エーケーレーシング・ヨシムラ)は好戦的なセリフ回しとふてぶてしい表情がたまらない。
パイプ椅子男子の屋台骨、我らが樋口選手(コクヨ・カズサダ)は
迫力の佇まい、ドスの利いた口上、そしてユーモアすら滲ませるケレン味と、任侠映画もかくやで
仁義なき戦いがお好きなのも頷ける。いつかプロレス界の大友勝利として羽ばたいてほしい。

悪徳秘書と結託し今成を亡き者にせんと企むパイプ椅子男子は
景気づけに(?)

こちらも新曲『パイプイス×バイブス』を歌い上げる。

歌もダンス(というかフォーメーション)もそつがない!!!

恐らくメインボーカルのオーヨシの声が良すぎるし
ヨシムラのラップもお見事。
それぞれのソロパートもカッコ良く
カズサダは低音の歌に、リズム感の良さに、見せ方の上手さと総合点がバリバリに高く
真の完璧超人ロードを予感させる。

誤解を恐れずに言うと

主役サイドはとにかく華やかさとフレッシュさ優先
敵方は芸達者で固め芝居のイニシアチブを取る(ショータのカチコミとか正に)

という配置は演劇的にもある種勝ち確コースで
マッスル坂井氏の采配に改めて唸らされる。

存在の耐えられないエモさ

物語はクライマックス。

ビッグプリンス納谷vsドリームボーイ今成は
それぞれの守護神
パイプ椅子男子vs必殺技男子の代理戦争へと移行していく。

カズサダ「いいクラッチだ...」

投太郎「おほめいただきこうえいです」

などの名シーンが産み出され
すわ必殺技男子優勢かと思いきや
新型パイプ椅子男子ヨシムラのパワーファイトで今成はあえなく3カウントを取られてしまう。

ヒサヤ(マスクの姿)曰く
『新型パイプ椅子男子が乗り移ったレスラーは7カウントまで取らないと勝てないらしい!』

今まで割愛してたけどヒサヤはたびたび現れては特殊設定を全部説明してくれていたのだった。
マスクに身をやつしてなお信頼の滑舌とアナウンス力で世界観を補強してくれる今林氏には感謝しかない。

さて、敗北に打ちのめされる今成にお約束のメタ説教が襲いかかる。

断罪人ユウキから
『お前のプロレスはこんなもんか』
『中止になる興行もあるのに、お前はそんなことでいいのか』
と何故かコロナ禍での興行のあり方、責任の取り方まで問い詰められ

プロレスラー今成夢人は涙ながらに

「プロレスがやりたいです」

と心情を絞り出す。

ドリームボーイのセリフはあんなにフワフワしてたのに
夢人の顔になってからはロマン溢れるパワーワードが次々飛び出し
名物煽りVを創り続けてきたアーティストの面目躍如である。

納谷選手との再戦が許されると
前半では面白ネタとして消化された今成選手の勝利への渇望、プロレスへの執着が
ままならない現実への情念として燃え上がり
その身を弾丸に変え、幾度も納谷選手に撃ち込んでいく。

心が折れそうになれば必殺技男子たちに拳で渇を入れてもらい

最後に投太郎からほとんど致命傷の勢いで強烈な頭突きと鼻血が出るほどの張り手を注入されると(どんな時でもフィジカルつよつよ...)

その勢いのまま納谷をフォールに持ち込み


1・2・3・4・5(こ)・6(ろ)・7(な)...!


見事7カウントを奪ったのであった。




以上、今回は演者さん個々の印象をメインに書いてみたので

細かいストーリーはぜひ本編で確かめて頂けたら幸いです!

(追記:エンディングで盟友今成選手の見せたパッションに感極まる翔太選手のスピーチがとてもグッとくる。技巧派の上に人情家ってズルいでしょ!)

続きは次回の講釈にて━━

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