音楽鑑賞日記 クロイツエルソナタ
ベートーヴェンのバイオリンソナタには印象に残るものが多い。
中でもクロイツエルソナタと呼ばれる
ヴァイオリンソナタ第9番 イ長調 作品47
は、聴くものを陶酔させる傑作だ。
だがこの曲の演奏を聴く中で、演奏者二人を殺害することを決意した男がいた。
男の名はポズドヌイシェフ。
バイオリニストはトルハチェフスキー。
ピアノはポズドヌイシェフの妻。
レフ・トルストイの『クロイツエルソナタ』の中の一場面である。
トルストイの悪魔的とも云える作品に接して以来、このソナタを聴くとあの悲惨な場面が浮かんでしまう。
このソナタとは関係ないはずなのに。
だがソナタから流れる音は、トルストイを無視してもソナタに潜む演奏者二人の熱い息吹を感じさせる。演奏者二人に強い愛情もしくは友情がなければこのソナタは味気ないもになるかもしれない。
トルストイも鑑賞しながら、そう思ったのでないか。その結果がポズドヌイシェフに妻の浮気を確信させ、殺人を芸術として描いたと観るのは穿ちすぎだろうか。
付記:
この曲の主役や当然バイオリンにある。だがピアニストがバイオリニストが演じる今を読み取れなけば、楽曲が生命を露わにすることはない。
直近で聴いたもので下記には、それを感じることができた。僕の気持がどこまで伝わるかは確信はない。
べートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第9番 「クロイツェル」 第1楽章
でもクロイツエルソナタの素晴らしさを味合ってもらいたい気持ちに変化はないことだけは強く言いたい。
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