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今月の社長コラム(2024年2月)

 昨年末から今年にかけて、何回となく長野の実家に帰りました。雪道の運転が怖くて冬期は避けていたのですが、やむを得ませんでした。しかし、雪をかぶった南アルプスや景色は素晴らしく、自然の良さを感じることができました。自分の卒業写真は、あまり見たいと思いませんが、子どもたちの写真は見ていて楽しいです。保育園や小学校の時は無邪気で微笑ましく、中学、高校となると自意識が出てきて、格好をつけたり、斜に構えたり、その時の心の様子が顔に現れます。それはそれで、成長の証ですから良いものです。映画の紹介のために見たローレルとハーディを演じた役者の顔は、本物の人間性がにじみ出ていました。卒業式のシーズンです。記念すべき一枚が撮れると良いですね。〈櫻井 晴信〉

オススメ《書籍紹介》
【たましいについて】

「朗らかに生きる」

 私は3年前から町田市倫理法人会に入って、週に1回、早朝セミナーで勉強をしています。経営のテクニックではなく、「心の経営」と言って、日頃の心がけが大事だと教えてくれます。特に
強調しているのが、先祖を大切にすることと、夫婦が仲良くすることです。そのように心が変わってくると、経営も良くなっていくのです。倫理法人会の本部の理事長は、創始者丸山敏雄の孫である丸山敏秋氏です。その方の新著を読んだのでご紹介します。
 毎月、機関誌に掲載しているコラムをまとめた本です。その中に「たましい」というテーマで綴った文章が10本収められています。そこに町田市在住の作家だった、遠藤周作が載っていました。代表作の「沈黙」や「侍」を読んだことがありますが、日本に根付いたキリスト教を日本人の視点で書いています。晩年は、3年半の間、がんとの厳しい闘いをし、この苦しみをなぜ神様は与えるのかと祈ったそうです。その時、遠藤は聖書のヨブ記を思い出しました。ヨブは神様の願いに叶う信仰者でした。そして、家族にも恵まれ、財も為しました。何一つ不自由のないヨブを見て、
サタンは神様に言いました。「ヨブは恵まれているから神様に従うのだ。もし、家族も富も健康もすべて失ったら、きっとあなたを恨むでしょう」と言いました。そこで神様は、ヨブに災難を与えて家族や財産を奪い、遂には不治の病まで与えました。それでもヨブは神様を恨まず「私は母の胎内から裸でこの世に出た。そして裸で彼の地に帰る。主のみ名は褒むべきかな」と讃えたのです。サタンは讒訴できずに引き下がり、神様は前にも増して多くの福を与えました。
 遠藤も困難を乗り越えるのは大変でしたが、看病し続けた妻も大変でした。
 最後の1年は、話もできず、ただ弱っていく夫を診続けました。そして臨終を迎え、最後に妻が遠藤の手を握った時、思いがけず握り返してきたのです。その時、「俺はおふくろにも兄にも会えた。もう光の中に入ったのだ。安心しろ」というメッセージが伝わってきました。
 通夜で、親交の深かったシスターが訪れた時、自宅は澄んださわやかな空気に包まれていたそうです。遠藤の顔も安らぎと清々しさに満ちていました。
 たましいは心と同じで、目には見えず、どこにあるかもわかりません。だからと言って、無いということを証明することもできません。目に見えることだけで推し量るには、人生はあまりにも大きいようです。