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今月の社長コラム(2023年10月)

 10月に入り、昼間の暑さはなくなりました。日が暮れるのも早くなり、家の灯りが恋しくなるこの頃です。大谷翔平選手がケガをして試合に出られなくなった時から、ホームラン王の行方がずっと気になっていました。1ヶ月休んでもホームラン王となった時は、本当に凄い選手だと改めて思いました。一流の選手は体力があるだけでなく、頭も良くないとなれないと言われます。計算が早いとか、記憶力が凄いとかではなく、問題解決能力が高いということです。どんな人でもそうですが、人生山あり谷ありです。そこをどう超えていくかは、経験と応用力です。AI の予想では90%負けるという局面を、「奇跡の一手」で覆す藤井八冠のように。〈櫻井〉

オススメ《書籍紹介》
「ハングリーであれ、愚かであれ」

「スピーチの教科書」

 最近、「パワーポイント」という文字や図形や写真を動かしたり、動画も組み込めるスライドを使って、お客様に説明する機会が増えてきました。大きなスクリーンに映し出した画像を見せながら、順番に説明していけば良いので、作るのは大変ですが、説明はとても楽になりました。しかし、これで良いのかという疑問は常にありました。
 そんな時、あるきっかけでスピーチ勉強会に参加することになりました。そこで「メラビアンの法則」を教わりました。人が情報を受け取る場合、言葉だけで伝わるのが7%、耳から入ってくるのが38%、目から入ってくるのが55%の割合だそうです。無表情で抑揚もなく話すと、7%ぐらいの印象しか残らず、笑顔で明るく情感を込めて話すと、10倍以上の印象が残るというのです。何を伝えるかより、どのように伝えるかが大事だと理解しました。
 ところがこの本の帯に「プレゼンテーションはスライドからスピーチへ」という文句が書かれていました。メラビアンとは違うことを言っているのかと思い、この本を読み始めました。
この本の多くのページを割いているのが、アップルの創業者スティーブ・ジョブスが、2005年6月にスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチです。ジョブスは6年後にがんで亡くなっているのですが、今でもその動画は何千万回と再生されている「伝説のスピーチ」です。ジョブズがアイフォンを発売した時、パワーポイントを駆使し、表情豊かにステージを動き回って話しました。あまりにも素晴らしいので「プレゼンの神様」「天才」と言われるようになりました。 しかし、「伝説のスピーチ」では、演台の前で微動だにせず、目はほとんど原稿を見つめ、時々しか聴衆を見ていません。手も動かさず、声も調子を抑えています。しかし、そのスピーチは3万人の聴衆の心を掴んだのです。
 演題の「ハングリーであれ、愚かであれ」という言葉は、ジョブズが若い頃、大学を中退して先が見えない時、とても影響を受けた「全地球カタログ」という本の背表紙に書かれていた言葉です。この言葉をジョブズは生涯の指針として定め、今の地位にたどり着いたのです。このメッセージを伝えるため、スピーチの黄金律に従い、全精力を傾けて書き上げたのが、伝説となった理由です。良きスピーチにはルールがあるというのがわかりました。