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今月の社長コラム(2023年8月)

 今年のお盆は台風7号の直撃を受け、大変でした。被害にあわれた方々にはお見舞い申し上げます。当初は関東を直撃する予報でしたので、お盆前に帰省しました。お墓参りもできて良かったです。日中の暑さは東京と変わらないのですが、朝晩は涼しくなり虫の声を聞きながらくつろぐことが出来ました。もちろんクーラーはかけずにぐっすり眠れます。といっても、そもそも実家にはエアコンがありません。標高の差は実に大きいです。お盆といえば我が家は必ず五平餅を作って、帰省してきた親族の方々に振舞っていまし
た。杉板の串につぶした米をわらじ型にくっ付けて、囲炉裏で焼き、ごまだれを付けて焼き上げます。囲炉裏がなくなってからは、近所のお土産屋さんから買ってきていました。最近はそこもつぶれてしまい、車で30分以上離れたところで売っているのを探して買ってきました。時代の移ろいを感じます。

オススメ《書籍紹介》「仕事とは何か!」


社長の仕事は社員を信じ切ること。それだけ。

 この本を読もうと思ったきっかけは、「こどもミュージアムプロジェクト」を取り上げたドキュメンタリー映画を観たことでした。宮田社長は雑誌にも掲載されていたので知ってはいましたが、映画会の時に来られ、直接話を伺って奥の深さを感じました。
 宮田社長は大阪の運輸会社の4代目として、今も現役で活躍しておられます。小さい頃からトラックが大好きで、しょっちゅう会社に出入りしていました。高校卒業と同時に入社し、やがて父の跡を継いで社長に就任します。業績も右肩上がりに伸びていました。そんなある日、社員が運転するトラックと、スクーターが接触し、スクーターを運転していた男性が亡くなってしまいます。一報を聞いた宮田社長はすぐに病院に駆け付けましたが、ご本人はすでに霊安室に移され、直接お詫びを言うことは出来ませんでした。その時、男性のお父さんから「どっちがいいとか悪いとかわからないけれども、たった今、自分の息子は命を落とした。この息子には小学校4年生の女の子がいる。そのことだけはわかっておいてくれよな」と諭されたそうです。
 自分が大好きなトラックが人を不幸にしてしまうという現実に、1年間悶々とします。そんな時、ある方から工場内の事故が減ったという会社を紹介されました。何をしたかというと、「ヘルメットをかぶりましょう」「一旦停止しましょう」などの安全標語を、従業員の子供さんたちに書いてもらって貼ってから、事故が減ったというのです。更に、宮田運輸の運転手がダッシュボードの上に、娘が書いてくれたトラックの絵を飾っていたのを思い出しました。その絵には、「お父さんありがとう」「あんぜんうんてんでがんばってね」と書かれていました。彼はその絵を見るたびに、「疲れていても、急いでいても、心が和んで安全運転で行こうと思える」と言っていました。
 そこで、運転手の子供たちに絵とメッセージを書いてもらい、それを運転手のトラックにラッピングすることにしたのです。すると、効果はすぐに現れました。まず、運転手たちが自分のトラックを常にきれいにするようになったのです。そして、そのトラックを見た後続のドライバーから好意的な反応が見えるようになり、あおり運転の被害にあわなくなりました。また、運転手も心に余裕が生まれ、それ以降事故が無くなったのです。人間の良心に働きかける素晴らしいプロジェクトです。このプロジェクトは日本はもちろん中国でも広がっています。NHK がこれを番組にして放映したところ、亡くなった男性のお母さんから、「やっと気持ちの整理がついた」と感謝の手紙が届いたそうです。