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「観てるだけじゃダメだよ、参加してみなくちゃ」 当事者にならないと分からない!?長野県天龍村の面白さ(信州つなぐラボ第2期 地域紹介)


コンビニも信号もない、主要な産業がない、若者がいない。こんな無いものばかりの田舎に、人が住み続ける理由とは何なのでしょうか。

人口が減り続ける中で、無くなっていくものもあれば、残る文化や集落が存在しています。そこに根付く暮らしや文化は、誰かが本気で「残したい」と思わない限り、残らない。

「信州つなぐラボ」の第二期の舞台は、そんな無いものばかりの「天龍村」が舞台です。高齢化率は、全国ワースト2位。人口が減り続ける中で、「これからの地域に残したいものは何か?」、そんな問いを突きつけられる村です。

天龍村には、いつ無くなってもおかしくない、豊富な地域資源や豊かな暮らしが存在します。特に、国の重要無形民俗文化財に指定された「霜月祭り」は、今の村のあり方を最も表現しているかもしれません。

今回は、そんな天龍村で長く受け継がれている「霜月祭り」の今、そしてこれからについて、今回のプログラムの舞台となる向方地区の住民の方にお話を聞きました。

(話し手:向方区長 恩澤利弘さん、向方お潔め祭り芸能部長/向方区里山整備利用推進協議会長 村松久一さん、聞き手:藤原 正賢<信州つなぐラボ事務局>)

数百年受け継がれているお祭りの裏側とは?

「これがねー、正確なことは分からないんだけど、600年くらい続いてるんだよ」

霜月祭りの1つである「お潔め祭り」は、人口53人の天龍村向方地区に伝わっています。600年程前の文献をもとに考えていることから、正確な誕生した年数だけでなく、正しい舞いも、儀式の流れも分からない。そんな中で、住民が中心となり、伝統を守り続けています。

「お祭りは、この地区で昔から色々やっていて。じつは、少し前までお盆の時期に先祖を迎える独特のお祭りがあったんだよ。伝統をずっと守って来たんだけど、ある年に、この地区の1人が『辞めないか』って言いはじめたら、すぐにお祭りが無くなったんだ

お潔め祭りも毎年11月頃に、「今年はやるかどうか」という議論から始まるそう。誰かが「面倒だからやめよう」といえば、終わってしまう可能性もあるとのこと。数百年受け継がれてきたものが、誰かの一言で終わる。そんな中で、受け継がれ続けているお祭りとは、一体どんなお祭りなんでしょうか?

つまらねえんだよ。自分も子供の頃に舞っている大人を観たときに、子供のころ、大人の人が一生懸命舞っているのをみて『どうして踊っているんだろう?』と思っていた

地域に根付く「お祭り」と聞くと、派手なものをイメージしてしまいがちですが、どうやらこの地区のお祭りは違うみたいです。

「お面も着けないし、着てる麻の服もボロボロなんだよ。もっと派手でもいいんじゃないかと思って、祭りの中でも一番盛り上がる演目で、お面をつくったんだよ。でも、いざその演目が始まると、誰一人として、お面を着けなかったんだ。自分でも不思議だよ(笑)」

同じ天龍村の中でも、他の地区はもっと派手なお祭りだそうです。ではなぜこの向方地区では、一見地味にみえるお祭りが、そんなに続いてるのでしょうか。

舞ってみないと分からない楽しさがある

自分が舞ってみるとやめられないんだよね。舞いは容易に覚えられるものではないんだけど、覚えていくのも楽しい。見学じゃ分からない、参加しないとダメなんだ

お祭りについて話を聞く中で、「参加しないとダメなんだ」という言葉が何度も出ていました。写真や言葉では伝わらない、一緒に舞うことによって分かる魅力があるのかもしれません。それが、きっとこの祭りを受け継ぐ理由なのです。

「昔は厳しすぎたんだよ。きっとこの地区や伝統を守る人を育てたいという思いがあって。女人禁制とか肉を食べちゃいけないとかがあった。でも、今は女性も踊るし、東京から毎年お祭りの時期にだけ、踊りに来る人もいるんだ

変えながら受け継ぎ、続けていく。そこに、このお祭りが続く理由が詰まっているように感じました。きっとこの言葉は「祭り」だけでなく、一見不便そうな、天龍村に愛着を持つ人がいる理由のように感じました。

「舞いを覚えるのはとっても大変。でも、今はスマホがあったりと、覚えやすくはなってきてるんだよ。もちろん、いろんなしきたりや、祭り全体の音頭を取る人を増やさなくちゃいけないという思いはあるけど、まずは舞う人を増やすってことが大事。みんなで、一緒に盛り上がらないと意味がないんだよね


さいごに


「舞ってみなきゃ、分からない」

きっと、この言葉に天龍村の魅力が詰まっているんだと思います。本当の天龍村の良さは観光客でも、住民の人との交流するだけでは分からない、「当事者」として村に関わることによって、みえてくるものがあるのではないでしょうか。

祭りだけでなく、茶畑、暮らし、そしてパワフルなじいちゃんばあちゃんなど、これからに受け継いでいきたいものが、天龍村には溢れています。そんな村に、信州つなぐラボを通して、「当事者」として関わってみませんか?

天龍村役場の内藤さん(写真下)はじめ、村の皆さんが皆さんの応募をお待ちしています。

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