心書 Vol. 163 「そもそもの形」
先週末、福岡へ一泊旅行をしてきた。そこで、二人の友人と会えた。一人はとあるセミナーで知り合ったマッサージなどをされているセラピストの女性。一度だけでしかもものの15分くらいしか話したことがないのに、今回お会いしてとても話が合うことが分かり、ずいぶん話し込んでしまった。もう一人は、5年くらい前まで大阪にいたそこそこ古い友人。ただし、大阪にいる時には大人数の集まりばかりじっくり話したことがなかった。今回じっくり話してみて、地元でしっかり根を張って暮らしている様子が垣間見えて、何だか少し羨ましかった。
ここ数年は、そんなつもりはなくても年に一度は九州に旅をしている。2年前には、四国の徳島と高知も旅をした。博多や高知市は都会だけど、とはいえ田舎との距離がとても近く、食べ物も美味しくて何度でも足を運びたいと毎度思う。東京や大阪の都心部と比べると、まだまだ人が暖かくて日本の古い風習が残っている様子もあり、みんながそれぞれの居場所がきちんとあるように感じた。土産物屋や飲食店の店員さんもポロッと方言が出たり、でも食事が美味しかったと伝えると破顔の笑顔で答えてくれたり。電車やバスに乗って行き先を尋ねても親切に教えてくれる。食べ物も、やれA5ランクのお肉だとか海外で流行の健康食だとかではなく、「今の旬はこれ!はいどうぞ!」という素朴で豊かな食の楽しみが実感できる。泊まったホテルのすぐ隣には神社があり、ちょうど七五三参りの家族が多くいたし、柳川の川下りではまもなく白無垢装束の花嫁さんの船が来ますとも言っていた。こんな光景を目にすると、嫁入り道具を積んだトラックが走る風景を思い出した。実際に住むとあれこれしがらみがあったりで面倒な部分もあるだろうけれど、それこそがそもそもの人間というコミュニティの在り方だといつも気付かされる。こうやって人を辿って行って、とてもいい旅になった。
すでに、ごぼう天うどんやごまサバ・ごまアジが恋しい。いつか車で九州一周をしたい。
ご馳走になったごまカンパチ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?