心書 Vol. 601「先回り」

先日、ある友人と話していて驚いた。
その友人のお母さんが先ごろ他界し、兄弟家族にお葬式の連絡をしたら、子供の予定があるため参加しないと言われたらしい。子供にとってはおばあちゃんで、もう二度とは会えないから何とかならないか?と友人は説いた。すると、兄弟からは無理強いするなと返ってきたらしい。

別の話になるが、ある飲食店で隣り合った家族は、20歳前くらいの息子が試してみたいと言う料理を、母親がそれは食べてはいけないと指示している。その子供の喋り方は、まるで小学生のようであった。

子供を危険から守りたい気持ちは分かる。
しかし、あまりにも先回りして危険を遠ざけてしまうと、いつまでも親がお世話をしなくてはならないし、親がいなくなって困るのは子供本人である。葬儀で人の死を見送るのも、料理の美味しい美味しくないの判断をするのも、人生にはいつか出会う経験になるはずだと思う。それを乗り切ることができると子供を信頼してあげたい。

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