異分野出身は賞に縁が薄い?

幸運なことに、私はいろんな学会やシンポジウムで講演させていただく機会を与えて頂ける。私の研究を面白がってくださる方がいてくれて、本当にありがたいことだと思う。ただ、私は学会からの賞に縁がない。これは仕方のない面がある。私は異分野出身だから。

学会奨励賞や学会賞は、当然ながら学会の重鎮の人たちに覚えていてもらう必要がある。その際、当然ながら自分の後輩や同窓の人の顔を思い浮かべ、「あいつ、業績があるのにまだ受賞していないな」と思い出すので、受賞者対象になりやすい。

ところが私はもともと、お酒の研究室出身で、博士号もそこで取っている。ところが今は土壌微生物や植物病理学、水耕栽培などを研究していて、畑違いもいいところ。学生の頃とは全然異分野の研究をしていて、所属する学会に先輩や同窓が一人もいない。

研究所の幹部の人に「え?篠原君、まだ学会から賞もらったことないの?」と驚かれる。ない。どうやら、私は方々で講演しているから賞くらいどこかでもらっているだろう、と思われている節がある。そのせいで受賞対象にする必要がないと思われている節もある。

今度、学会の総元締めみたいなところで講演させていただく機会を得た。もしかしたら、受賞歴のない人間なんて私だけでは・・・と思って調べてみたら、やっぱり私だけ!他の方皆さん、錚々たる受賞歴!私だけボウズ!

実は、まったく受賞していないわけでもない。日本農芸化学会でトピックス賞をもらったことがある。でもこれ、「面白い学会発表でしたで賞」なので、初めて学会発表の学生でももらえるもの。

もう一つは、農林水産省10大トピックス賞を受賞したことがある。これは農業関係の記者たちが、「この研究面白かったで賞」として選ぶもの。
なんだ結局、私の受賞したのは「面白かったで賞」の2つだけ。正当な学会奨励賞や学会賞は全くご縁がない。ご縁ができる気配もない。

結局、学会のシンポジウム講演に呼んでいただけるのも、話が面白いということらしい。しかし研究が面白くても、それだけでは学会奨励賞や学会賞をもらうことは難しい。「あいつまだ賞をもらったことがないよね」リストに入れるため、思い出してもらえる対象にならないとダメ。

もしかしたら、私と同様の人も多いかもしれない。出身研究室と縁もゆかりもない研究を始めたばかりに、学会での賞に無縁という方がいるかも。これは人間の特性だから仕方のない面があるんだけど、何か良い方法があればいいなあ。

ちなみに、私の教え子は学会から賞をもらっている者複数。私は学会の選考委員でも何でもないのに受賞している。うーん、ということはやはり、弟子が師匠より優れているということなんだろうな。受賞できないのは私の実力不足ということか。うん、これは仕方ない。

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