老眼考

老眼は近くのものが見えにくくなる遠視だと言われている。私も四十から始まり、今も進行中なのだが、単純ではない様子。私が思うに、老眼は「画像統合失調症」と呼んだ方が正確な気がする。

片目ずつ見ると、左目は青白く、字は大きめに見える。右目はオレンジがかった暖色で、字は小さく見える。若い頃にはなかった、左右での画像の見え方に大きな違いが出るようになってる。両目で見ると、見え方の違う画像を統合しようとして脳が苦労してるな、と思う。

老眼は遠視、というのも単純ではない。片目ずつなら今でも15センチ位のところで焦点が合う。
面白いことに、遠くから近くへ、見ているものを近づけるとぼやけて仕方ないのだが、目のすぐそばから遠ざけていく場合、早めに焦点が合う。何度か繰り返してると、結構近くのものも焦点が合うようになる。

で、両目とも15センチ位のものも十分焦点が合うようになるのだが、両目で見るとぼやける。右目だけで見るとくっきり見える。左目だけで見るとくっきり見える。両目を開けるとぼやける。なぜかな?と、両目を開けて手で片目を隠し、見る目をパッパと切り替えてみたら、「絞りの力加減失調症」のよう。

右目で近くのものに焦点合わせると、左目はレンズ絞り過ぎ(もっと近くで焦点合わせるモード)。左目で近くのものを見ると、右目は絞りが緩くなる(遠くに焦点合わせるモード)。どうやら、それぞれのレンズの硬さに違いが出て、絞りの筋肉の力の入れ具合が違ってしまっている様子。

そこで、両目は開いたまま、手で片目ずつ隠し、焦点が合ったら別の目で見る、ということを頻繁に繰り返す。そのつど、絞りの強度が変わるわけだけど、頻繁に片目ずつ焦点合わす作業を繰り返すうち、脳が絞りの力を調整し始めるらしく、焦点が合うまでの時間が短くなる。その時両目で見ると、焦点合う。

あと、不思議なことに太陽光だと焦点がものすごく合う。直射日光でなくても、窓辺で本を読むと、今でも難なく本が読め、近くのものがくっきり見える。ところが蛍光灯やLEDなど人工光だと、焦点合いづらい。光の強度が同じくらいでもうまくいかない。どうやら焦点合わせやすい光の質がある。波長?

スマホやパソコンの液晶画面を見た後に本を読もうとするとひどくぼやける。両目の絞りがバラバラになって、画像統合がうまくいかないのがよくわかる。液晶はバックライトで自ら光るもので、焦点の絞り方が紙の本などを見るときと全然違うらしいし、何よりサボるらしい。で、液晶から離れるとぼやける。

以上のように、老眼は「画像統合失調症」「両目の絞りの力加減失調症」なのではないかと考えている。この統合がうまくいかないために、片目ずつ悪化が加速し、ついに老眼鏡なしには見えなくなるのかな、と。
私は脳に学習させることでなるべく老眼鏡かけなきゃいけないのを先延ばししようとしてる。

近くから始めて遠ざけていく方法で、片目ずつ、焦点を近くに合わせられるようにする。
手で片目ずつ隠し、絞りの力加減が異なるのを、頻繁に見る目を切り替えるうち、焦点が合うまでの時間が短くなってきたら、絞り加減を脳が学習した証拠なので、その時両目で見る、ということを繰り返している。

幸い、右目1.5左目1.0で、昨年は両目とも1.5で悪くはない。左目鍛えるのを少しさぼってたので、意識的に鍛えるつもり。たぶん左目も1.5にすぐ戻ると思う。
それでも劣化は避けられない。ただ、老眼という現象を観察し、楽しんでいこうと思う。

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