後回りする「驚き役」

子どもの興味関心を広げるコツ。決して先回りしないこと。子どものやること、特に工夫や発見に驚くこと。
子どもには一流のこと、知的なことに興味関心を持ってもらおうと、「これ、面白いでしょ」「これはね、こうするの」と先回りするほど、子どもの関心は消えてしまう。

「面白いでしょ」と、感じ方を先回りされると、「お前の感情なんかお見通しなのだよ」と言われたような気がしてシャクに触る。「こうやって遊ぶんだよ」と言われると、それ自分で発見したかったのに、と面白くない。何より、親がそれを先に知ってることを察知して、「驚かない」ことに気づく。

親が驚かない、それどころか親がドヤ顔してる。そうした場合、子どもは興味が急速に失せる。親が必死に興味を引きつけようとすればするほど、親の支配下(親の方がよく知ってる世界)から遠ざかろうとする。その分野には、子どもは興味をしばらく持たなくなってしまう。

親は「後回り」するくらいがちょうどよいらしい。子どもがどんなものに、どんな点に興味関心を持つかは、流れに任せる。「え?そんなとこ?」ということがほとんどだけど、それで構わない。そして子どもが興味関心を示し、発見し、工夫してる様子に親が驚くと、子どもはますます熱中。

熱中すると、次々に新しいことに関心が広がる。親はただ驚いているだけで、興味関心がどんどん広がっていくのにまた驚かされる。
親は、子どもが何に興味関心を持つかはコントロールできないが、「後回り」し、「驚く」と、深く、広く、興味関心が湧く。

なぜ親は先回りしたくなるのか?たぶん、親が自分の承認欲求を抑えがたいから。子どもを喜ばせようとした自分の存在価値を、子どもの喜びで確認したい。だから「面白いでしょ」と先走ってしまう。面白いこと親が知ってるでしょ、とドヤ顔したくなる。

なぜ親は先回りして教えたくなるのか?親はこんなことも知ってるんだぞ、スゴいだろ、と、子どもに認めてもらおうという承認欲求があるように思う。
しかし、子どもは、自分が親の承認欲求を満たす役割を押しつけられることに、次第に嫌気が差してくる。子どもは自分の承認欲求を満たしてほしい。

親は、自分の承認欲求を抑える必要がある。自分の子供時代は大人に承認欲求を満たしてもらい、社会人になってからは上司や同僚に承認欲求を満たしてもらってきた。そのために努力もしてきた。
ところが親になると、逆方向の努力工夫が必要になる。自分ではなく、子どもの承認欲求を満たす努力。

子どもに「親スゲー」と思ってもらおうとするのではなく、「子どもスゲー」と親が驚くように。それにはどうしたらよいか、考える。子どもが今までやらなかった工夫、発見に「へえ!」と驚いていれば、子どもは果敢に挑戦し、冒険する。大人は「驚き役」に徹すればよいのだと思う。

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