品詞分解のコツ

せっかくだから、品詞分解のコツをここでまとめてみる。もう35年前のこと(中学三年で国語の先生に仕込まれた)なのでさびついていると思うが、まあ、やってみる。

動詞の活用って、5種類しかない。
五段活用、上一段活用、下一段活用、サ行変格活用、カ行変格活用。

たとえば「書く」は、どの活用かお分かりになるだろうか?どうやって活用を見破ればよいだろうか?
それは、「ない、ます、。、とき、ば、!」の語尾をこの順番でつけること。

やってみると、
「書か・ない、書き・ます、書く。、書く・とき、書け・ば、書け!(、書こ・う」
か・き・く・く・け・け・こ、に変化している。そう、「書く」はカ行五段活用。

では、「着る」は?

「着・ない、着・ます、着る。、着る・とき、着れ・ば、着よ(着ろ)!」
き・き・きる・きる・きれ・きろ(きよ)と変化する。
カ行の二番目(上一段)の「き」が変化してるので、カ行上一段活用。

では、「寝る」は?

「寝・ない、寝・ます、寝る。、寝る・とき、寝れ・ば、寝ろ!(寝よ!)」
ね・ね・ねる・ねる・ねれ・ねろ(ねよ)と変化。
ナ行の四番目(下一段)の「ね」が変化するものなので、ナ行下一段活用。

多くの動詞が、五段活用、上一段活用、下一段活用のどれか。これにあと2つ、変てこなのが加わる。

「来る」と「する」。
「来・ない、来・ます、来る。、来る・とき、来れ・ば、来い!」
き・き・くる・くる・くれ・こい、と変化。変化が不規則で、これをカ行変格活用、という。

「し・ない、し・ます、する。する・とき、すれ・ば、しろ!」
し・し・する・する・すれ・しろ。これはサ行変格活用。

それぞれの活用のパターンを語呂合わせで覚えちまえば簡単。
カ行五段なら「か・き・く・く・け・け(・こ)」、サ行五段なら「さ・し・す・す・せ・せ(・そ)」となる。
タ行上一段なら「ち・ち・ちる・ちる・ちれ・ちろ(・ちよ)」
ハ行下一段なら「へ・へ・へる・へる・へれ・へろ(・へよ)」

なお、活用形は。
「ない」が語尾につくのが未然形、「ます」が連用形、「。」が終止形、「とき」が連体形、「ば」が仮定形、「!」が命令形。
未然・連用・終止・連体・仮定・命令、の語呂合わせで覚えてしまうとよい。

動詞は以上。他の形はない。この中から選ぶだけ。日本語って、意外にシンプル。
豆知識を一つだけ。連体形の連体とは、名詞(体言)に連なる、という意味。名詞と言ったり体言と言ったり、同じものに二つも呼称があるのはやめてけれ!と思うけど。

「思う・とき」のときの代わりに、様々な名詞に置き換えられる。
人、もの、こと、など、様々な名詞(体言)。
連用形と連体形は紛らわしい名前だけど、「体言(名詞)に連なる」のが連体形、って豆知識をしっておくと、迷いにくいかもしれない。

動詞の他に、語尾が変化する品詞が二つある。形容詞と形容動詞。
たとえば「美しい」は形容詞?形容動詞?
「美しかろ・う、美しかっ・た、美しく・て、美しい。、美しい・とき、美しけれ・ば」
かろ・かっ・く・い・い・けれ、と変化。この語尾変化は、形容詞。

では、「きれいだ」は?
「きれいだろ・う、きれいだっ・た、きれいで・ある、きれいに・する、きれいだ。、きれいな・もの、きれいなら・ば」
だろ・だっ・で・に・だ・な・なら、と変化するのが、形容動詞。

形容詞や形容動詞は、動詞の時の「ない、ます、。、とき、ば、!」がうまく接続しない。

なので、未然形は「う」をつけ、連用形は「た、て、ある、する」、連体形は「もの」に置き換えてある。

まあでもそこはどうでもよい。「かろ・かっ・く・い・い・けれ」の語尾変化は形容詞、「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」なら形容動詞。

語尾が変化する自立語(文節の頭に来る言葉)は、動詞、形容詞、形容動詞の3つだけ。語尾をつけて変化するなら、それはこの3つのどれかだと思えばよい。
さて、次は名詞に行ってみようかな。

名詞の種類は、ええと、今思い浮かぶだけで四つかな。普通名詞、固有名詞、代名詞、数名詞。普通名詞はおいといて、まずは固有名詞。
固有名詞は、まあ、人の名前だと思ったらよい。私の名前「篠原信」や、芸能人の「ビートたけし」も固有名詞。他に指し示すものがない、固有の名詞。

では、「あなた・私・彼・彼女・君・あいつ・おれ」などの、人を指す言葉だけど、場面によって誰のことを指すのかは入れ替わる言葉は?これらは、代名詞の中でも、人称代名詞という。
代名詞にはもう一つある。「これ・それ・あれ・どれ・ここ・そこ・あそこ・どこ」。これは指示代名詞。


こと・もの・ところ、などの、よく使うけど具体的なものを指さないのは、形式名詞。

一つ、10個、二羽、などの数を表す名詞は、数名詞。
そして、それ以外の名詞は、とりあえず全部、普通名詞。だから、固有名詞でも代名詞(人称代名詞、指示代名詞)でも数名詞でもなけりゃ、普通名詞にしときゃいい。

名詞は以上。四種類のどれかと思えば、そんなに難しくない。

名詞の次は何にするかな。やっぱり、連体詞かな。
「この・その・あの・どの」って、指示代名詞の「これ・それ・あれ・どれ」によく似てるけど、後ろに持ってこれる言葉が限られてる、という変な特徴がある。名詞しか来ないこと。

この・人、その・時、あの・こと、どの・建物、というように、後ろに名詞しか持ってこれない。これを連体詞という。なんで「連体」って言うかというと、名詞は別名「体言」と言って、「体言にしか連ならない言葉」ということで、連体詞と呼ばれている。

「もっと」「ずっと」「ますます」など、程度を表す言葉は、副詞。

「しかし」「だが」「そして」など、文章をつなげる役割を果たすのが、接続詞。「けれど」「しかし」のように、さっきの文章とは逆のことをこれから語るよ!と予告するものは、逆接の接続詞。

「わあ!」「へえ!」「なんと!」「はい」など、感情を表す言葉は感動詞。

以上、動詞、形容詞、形容動詞、名詞、連体詞、副詞、接続詞、感動詞。自立語は、これらの品詞のうちのどれか。その他はないので安心してよい。

次は、付属語を構成する、助詞、助動詞の二つ。

助詞はまず、格助詞をゴロで全部覚えちまう。「をにとへでからよりやのが」。はい、もう一度。「をにとへでからよりやのが」。まずは格助詞に当てはまるかどうかチェックしてから、他の助詞の可能性を探る。
では、「夏が来る」の「が」は?

そう、格助詞で正解。

「は」の他、「も」「まで」「だけ」など、程度を表すのは、副助詞。なんだか、「は」だけ変な感じするので、覚えちゃったらよいかも。
「動いて」の「て」の他、「悲しいけれど」の「けれど」や「きれいだが」の「が」のように、butの意味が出てくるのは接続助詞。

「かわいいですか?」の最後の「か」とか、「止まるな」の「な」のように、言葉の最後の最後に来るしかない(後ろに「、」や「。」や「?」、「!」などしかもってこれない)のは、終助詞。

ふう、やれやれ。助詞、終わり。格助詞、副助詞、接続助詞、終助詞。この四つの分類覚えときゃいい。

最後は助動詞。助動詞は、語尾が変化する点で、助詞と違う。
「それはイスだ。」の「だ」は、断定の助動詞の終止形。断定の助動詞は、形容動詞と活用形がよく似ていて、紛らわしい。形容動詞だと、連用形に「で」「に」があるけど、イスで、イスに、の「で」「に」は、どちらも格助詞になってしまう。

「です」は断定の助動詞。「ます」は丁寧の助動詞。その他、推定の助動詞「らしい」とか。

ふう、以上で品詞の解説終わり。国語辞典で品詞を調べることはできるけど、品詞分解は、国語の先生など、慣れてる人に添削してもらった方が早い。学校や塾の先生に添削してもらおう。

品詞分解さえできたら、中学国語は、乱暴に言えば、あとは「部」と「語」をやるだけ。
主部・述部・修飾部や、主語・述語・修飾語・接続語。
中学国語では品詞分解より先に習うけど、これ、逆にした方がよいと思う。私は品詞分解するまで、部・語はさっぱり分からなかった。

本(少し文字の多い漫画)を読んで文章例を頭にたくさん入れること。
「訊く」ことで、なるべく二語以上の言葉の連なりで話すよう、アウトプットを促すこと。
品詞分解を毎日2、3行。

これらを地道に続けることで、国語力はかなり上がる。

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