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相談件数 1か月前に比べ4倍近くに増える 葛飾区地域保健課の橋口昌明課長は検査までにかかっている時間について、「検査態勢がじわじわとひっ迫してきています。

翌日にお願いしたいということで専門の外来で検体をとってもらっていたのが今ではおよそ4日かかっています。ここ2、3週間でじわじわと検査待ちの日数が延びていて、自然に渋滞が起きてしまっている状況です」と話しました。 また、その理由については「保健所への相談件数が1か月前に比べて4倍近くに増えています。しかし、検査ができる外来は限られています。あちらこちらで検査が受けられる状況にはなっていません。私たちの肌感覚では処理能力を超えてしまっていると思います」と話しました。 検査の待ち時間 短縮の取り組み広がる PCR検査の態勢がひっ迫する中、東京23区の自治体の間ではPCR検査が必要だと判断された人の検体を採取する施設を独自に増設するなど、検査の待ち時間を短縮する取り組みも広がっています。 このうち葛飾区は独自の取り組みとして区内のスポーツ施設の敷地内にPCR検査の検体を採取する専用のテントを設置して17日から運用を始めました。 テントはウイルスが外に拡散しないよう内部の気圧を低くできる「陰圧式」で、区の医師会に所属する開業医などが交代で検体の採取に当たります。 葛飾区は、ここで1時間に10人の検体採取ができるとしていて、まずは17日と19日、20日の3日間運用し、60人分の検体採取を目指したいとしています。 また、墨田区でも、先週から区の施設の敷地内にPCR検査の検体を採取する専用の仮設テントを設置するなど複数の区で、検査の迅速化に向けた取り組みが始まっています。 一方、近く新たに検体を採取する施設を設けることを決めた自治体もあります。 このうち、千代田区では、区役所近くの広場にPCR検査の検体を採取する仮設テントを新たに設置し、来週24日から、当面は週3回、1日2時間程度運用することにしています。 また新宿区では、区内にある国際医療研究センターの敷地内に検体を採取する「検査スポット」を設置し、近く運用を始めることにしています。 このほか、豊島区、練馬区、板橋区、渋谷区江戸川区などでも、検査体制の強化に向けて、対策の検討を進めているということです。 東京都の検査の実情は 新型コロナウイルスに感染したかどうかを確認するPCR検査について、国は拡充する方針を示していますが、検査が行われている現場では要員の確保などが難しく検査できる件数が限界に近い状態になっています。 東京都内では、17日までに2796人の陽性者が確認され、全国で最も多くなっています。 都のPCR検査は新宿区にある「東京都健康安全研究センター」で行われています。 今回、実際に検査が行われている現場にNHKのカメラが初めて入りました。 センターによりますと、検体は都内各地から持ち込まれ、土日も含めて毎日、検査をおこなっているということです。本来、1日に可能な検査は240件だということですが、今月に入ってからは作業時間を延長して1日平均で270件余りとなっていて、今月3日にはこれまでで最も多い557件の検査をおこなったということです。 その結果、ことし1月25日から今月16日までに8850件の検査が行われました。 センターでは、検査依頼の増加にともなって今月に入ってから検査にあたる検査員を10人から32人と、それまでの3倍以上に増やしたということです。 さらに、検査員のシフトを工夫したり、検査で使う機器を新たに5台増やしたりしてできるだけ多くの検査を実施しています。 また、正確な検査をするためには専門的な知識や技術が必要で、1人前の検査員になるには2年から3年の経験が求められるということです。 一方、検査の結果が出るまでにおよそ6時間かかるため、基本的に検査結果は検体が持ち込まれた翌日以降に保健所を通して検査を依頼した医療機関に通知されるということです。 東京都健康安全研究センターの貞升健志・微生物部長は新型コロナウイルス感染症は国の指定感染症であり、陽性反応が出たら入院勧告を行うこともあるとしたうえで、「検査員は決して結果を間違えることがないようにかなり神経を使っている」としたうえで、「すぐに検査員を増員するのは難しく、現状では検査件数を増やすのはなかなか難しい。現在の検査態勢を維持しながら引き続きやっていくことが使命だと思っている」と話していました。 PCR検査 今の流れと新たな取り組み 新型コロナウイルスに感染したか確認するPCR検査は患者が希望するだけでは受けられません。 〈1 現在のしくみ〉 ウイルスに感染したかもしれないという人はまず保健所などに設けられた「帰国者・接触者相談センター」にみずから連絡します。 かかりつけ医などから連絡してもらうこともあります。 「相談センター」で必要と判断されたら、一般公開されていない専用の外来「帰国者・接触者外来」を受診して検体を採取してもらえます。 厚生労働省によりますと、4月6日現在で「帰国者・接触者外来」などは全国で合わせて1136か所あります。 ここで採取された検体が自治体の研究所や民間の検査会社などに送られ、PCR検査が行われます。 ところが感染の拡大に体制が追いつかず、かかりつけ医や患者が「検査を受けさせてほしい」と「相談センター」に依頼しても検査までたどりつけないケースが出てきています。 〈2 厚労省が促す新スキーム〉 そこで厚生労働省は検査体制を強化しようと、現在の「帰国者・接触者外来」に加えて新たな専門外来「地域外来・検査センター」を設置する枠組みを示しています。 これは必要に応じて地域の医師会などに委託して設置してもらう専門外来で、厚生労働省は15日、全国の自治体にこのしくみを周知しました。 新たに設置される「地域外来・検査センター」はかかりつけ医の紹介で受診することができます。この「地域外来・検査センター」で採取された検体が、民間の検査会社に送られてPCR検査が行われます。 これまでと異なり、かかりつけ医が必要だと判断したら保健所などの「相談センター」を介さずにPCR検査を受けられるようになるということです。 厚生労働省は地域の実情に応じて自治体と医師会で協議して導入を進めてほしいとしています。

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