#みの編マフィア小説 【第13夜】珍客
「お客様?飲み物のお代わりはいかがですか?」
カウンター越しに女が3人に話しかけてきた。
「「「じゃあ、ハイボールを。」」」
3人の返答は淀みない。
ーーー
「お待たせしました。ハイボールです。」
「あぁ、ありがとう。」
財前が礼を言って受け取ろうとすると、
「お客様、コースターが大変濡れやすくなっておりますので、くれぐれもお気をつけくださいね。」
女は謎の一言と共にグラスを置いて身を引く。
…コースター…?
…!!!
財前は目を見開き、すぐさまスマートフォンを手に取る。
いくつかの単語を打ち込み、ポケットへ。
「礼を言おう。ここは君の管轄だったのか…ジュンコ」
女は意地悪そうにウィンクをひとつ返す。
「これで貸一つよ、財前さん? それから私のことは『じゅんちゃん』って呼んでっていつも言ってるじゃない。」
置かれたコースターの裏側には見慣れた〇と×のマークと、ひと言
「人耳アリ」
「私も熱くなっていたようだな…ネズミの盗み聞きを許すとは。」
バタンッ!
後ろのテーブルから、店を飛び出す音が聞こえた。
「財前さん…?」
リリーが不安げに顔を伺う。
「安心しろ、骨すら残さん。」
闇夜に白銀の髪が揺らめき、消えた。
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