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読んだ本 頭木弘樹『口の立つやつが勝つってことでいいのか』20240423

頭木弘樹さんの新刊がとても面白い。

エッセイなのだが、どの節を読んでも不思議な感覚がある。この人は何か自分の感覚を本当に大切に生きているのだなと感じる。付箋もすごい量になったが、今日は一分だけ紹介したい。

ありきたりな表現をしてしまうと、自分の過去までありきたりになってしまう。そうならないよう、どう表現するかじっくり時間をかけて悩んでほしい。安易に書いてしまうのがいちばんよくない。自分の体験を大切にしてほしい。

頭木弘樹『口の立つやつが勝つってことでいいのか』p59

☞本当にこれに尽きるように思う。自分が経験したことは自分独自のことなのに、それに近い知っていることに当てはめてしまう。
そしてカテゴライズすることに満足してしまって、自分が経験したものはありきたりなものである、つまらないものであると変換してしまう。
ここに大きな問題があるのではないか。
私たちがしたかったのは、自分の経験を、だれががした経験、世の中にすでにある経験にカテゴライズすることなんかではなかったはずだ。頭木さんは「自分のことだから簡単に書けると思ってしまうところに落とし穴がある」と言われているが、本当にその通りだなと思う。自分のことだから、難しいんだ。自分がした経験を、もっと自分固有の言葉に落とし込まないといけない。自分が感じたことは絶対誰かと同じではない。誰かと同じ経験をしたのでもないはずである。

自分固有の経験を通して書き、読むこと。

そういうことを思った。

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