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「報・連・相」を止めて「蓄積・開示・分析・統合」にしようの話1

リバネスの篠澤です。

研究の世界では、実験をしある程度データを出したら(あるいは出なかったら)、先輩とディスカッションして、次の方向性を模索するということが日常的に行われているかと思います。リバネスでは、これを「報連相」に変わるマネジメントだと位置づけて、「蓄積・開示・分析・統合」と呼んでおり、ビジネスでも重要だと考えています。

報連相には「命令・解説・援助」がセット

リバネスは、元が学生ベンチャーであるからか、ビジネス界の常識に染まる前に研究の世界の常識に鍛えられた人が多いです。ラボらしい考え、つまり、少人数組織で自律性が高い動きに適した考え方をします。報連相とは相性が悪かったのです。

というのも、一般的な"職場におけるコミュニケーション"には「報連相を徹底しよう」ということがよく言われています。そもそも報連相の概念の出どころは軍事です。上官は指示を出し、部下は実行し、経過を報連相するというのが念頭にあるそうです。その場合、上司はさらに「命令、解説、援助」するのがセットとなった考えだそうです。

完璧な上官を期待するのは無理です

この「上の人が全部わかっていて部下に解説する、命令する」という点が合いません。サイエンスもビジネスも広がりすぎて、創業者や先輩も全てがわかるわけではない。というのもお題が例えば、、

・新しくバイオ系のインキュベーション施設を立ち上げる。最新の機器も導入可能な予算がある。では、バイオベンチャーが共用しても良く、しかし、独自で買うにはハードルの高い機器はなにか?どこから購入するか?そして、バイオ業界のトレンドから向こう何年かその機器が使われ続けるか?使ったところでバイオベンチャーの競争優位性に貢献するか?
・コロナで来場型イベントには制限がかかった。現地参加とオンライン視聴のハイブリッド形態にしたときに、現地参加枠とオンライン視聴枠の案内をどれくらいの配分で行うとよいか。開催中の対応スタッフは現地/オンラインのお客様にそれぞれどれくらい注意力を振り向けたらよいか

といった内容について、ディスカッションするからです。ドンピシャの経験者なんているのでしょうか?

いろんなレベル感の視点が入り乱れる必要があります。現場でやってみた奴は見えてるものが多い傾向にあります。しかし、現場をやった人には、例えばクライアントを獲得してきた営業の経緯が十分にわかってないかもしれません。あるいはITツール、顧客データベース等の具合を理解しておらず、ITチームに無駄な負荷をかける可能性については検討できていないかもしれません。これを統合して、右だ左だという結論を出すのが、リバネスでの仕事の進め方になります。

このように社長、部長、プロジェクトリーダー、実際の作業者の間で、持っている情報量が非対称になりがちで、「上官からの命令」に一本化して意思決定を済ませると弊害しかなさそうな状況がおわかりいただけたでしょうか。

こういった考えをもとに「報連相をやめて蓄積開示分析統合にしよう」となりました。

なんだったら出来るのか?

現場の人と、先輩のコラボレーションでこういったフローが行われることを想定しています。

1. 今どこでなにがおこっているか、蓄積する
2. 自分も含めて、社内の誰もが、任意のタイミングでその生データを参照できるよう、開示する
3. データや、現場の勘も踏まえて、分析する
4. 分析した人どうしで集まり、何かを加え、論点を整理し直して結論を出す。(統合)

もうちょっと会話っぽくすると

「先輩、データとれました」
「見せてみろ」
「こうでした」
「どう考えてる」
「はい、つまりAとB群に差があるということです」「面白い!この結果が真なら、要素Xの影響を考慮した実験Yが考えうる。それに詳しい文献Zにはあたったか?」
「いえ、その視点はありませんでした。みてみます!」

みたいな流れが理想です。ラボ運営の理想をイメージしました

人事評価編

実際にリバネスでは、データ蓄積とその分析をもとに半期ごとに人事評価面談をしています。

- 自分が何にどういうスタンスで携わってきたかを記録します。週報や、プロジェクトのエフォート集計が蓄積されています。Slack上の発言ログなんかももしかしたら参考にできるかもしれません。(蓄積)
- こうしたデータはSalesforce上で開示されており、個々人の半期面談資料にはレポートとしてログが呼び出されます。(開示)
- 半年間の面談では、それらを眺めて「半期の振り返り」「次の半期の行動計画」を立てます。(自分の蓄積開示を振り返る分析)
- 実際に、半期面談ではその分析について議論を行います。
- 面談結果は、役員会でも議論され、昇級対象、異動対象や会社への要望についての議論が行われます(統合)

現実では、蓄積や開示の上手い下手があって、その後の議論の質がだいぶ左右されます。人をみて判断する領域です

ここもっと書いたほうがいいなと思いますが、長くなったのでこの辺で。



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