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イベルメクチンの新型コロナウイルスに対する治療効果を検討した(査読前)論文


概要:国際的多施設の症例対照研究。2020年1月1日から3月31日にPCRで陽性となったCOVID-19入院患者。イベルメクチン(平均150μg/kg)の1回投与群と、イベルメクチンが投与されていない群の死亡率を比較。
結果:
 3カ国169病院から、イベルメクチンが投与された704人のCOVID-19患者と、投与されていない704人の対照患者を比較。対照群は、68230人のイベルメクチン非投与のCOVID-19患者の中から、年齢、性別、人種、COPDや喫煙、高血圧、糖尿病などの合併症、重症度(qSOFA)、クロロキンやステロイドなどの薬物使用状況をpropensity-scoreを用いてマッチさせた704人を抽出。
 人工呼吸を必要とした患者での死亡率は、イベルメクチン投与群が非投与群より低く(7.3% vs 21.3%)、全体的な死亡率もイベルメクチン投与群が有意に低かった(1.4% vs 8.5%)。
Amit Patel, et al. Usefulness of Ivermectin in COVID-19 illness(April 19, 2020)
ここからは個人の感想です。
 イベルメクチンあんまり馴染みなかったのですが、ノーベル賞を受賞した大村先生が40年以上前に発見したマクロライド系(!?)の抗寄生虫薬です。オンコセルカ症やフィラリア症などで、毎年2億人以上に投与されています。日本でも疥癬の薬として約200μg/kg単回投与で使用されていて、今回の論文とほぼ同じ使い方ですね。経口単回投与で、大規模な対照研究で、こんなに大きな差がでるのは驚きです。今後アフリカでのコロナの感染拡大が懸念されてる中、アフリカでの実績が大きい薬という所も期待大ですね。日本では北里大学で治験が始まるようですが参加出来ないかなぁ。
 マクロライド系で抗ウイルス効果というのもピンとこなかったのですが、別の論文でイベルメクチンは実験室でSARS-CoV-2ウイルスのRNA複製を減少させる可能性が指摘されていました。Importin (IMP) α/β1 30を不安定化させ、ウイルスの核内侵入を阻害する機序が示唆されているようです。この辺りのことは全然詳しくないですが、きれいな図だったので。
The FDA-approved drug ivermectin inhibits the replication of SARS-CoV-2 in vitro, Antiviral Research 178 (2020)
せっかく皆さんが自粛で作ってくれた貴重な時間。第二波の衝撃をできるだけ抑えられるように、できることやっていきたいです。

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