20160903(編集済)
ある時期から、歌を歌うことが本当に嫌になった。
ライブの日は気分が落ちる。
ライブが終わる度に事務所の誰かしらに「今日は歌が良くなかったね」と言われる。
ツイッターなどのSNSや、その他インターネット上にも「歌が下手」と書かれる。
「良い」と言ってくれる人が居たところで、すべて否定の言葉に打ち消されていった。
やればやるほど自分の歌がマイナス評価の対象になることに、また気も滅入っていく。
「表に立ちたくない」と素直に思った。
表に立ちたくないという気持ちでやっているから、歌は更に良くなくなっていった。
それでもライブがどんどん決まる。
悪循環から抜け出す方法が見つけられなかった。
失踪しようと何度も思った。
連絡もせずにスタジオに行かないこともあった。
スタジオ中に目眩を起こして倒れたこともあった。
そもそも、音楽は僕にとってはストレス発散のツールだった。
他人には話せないようなことをオブラートに包んで発信できるツール。
苛立ちや不満も音楽にのせれば、気づかずに飲み込ませることができるかもしれない。
それが僕のストレスを発散する方法だった。
いつのまに、その音楽自体がストレスの元凶になった。
最初は自分のために曲を作り歌っていたはずなのに、
気づけば他者のために曲を作り歌わなければいけなくなってしまった。
そうして、僕の音楽は死んでしまっていたのだ。
そんな音楽は僕じゃなくて他の誰かがやればいい。
そんな音楽を無理して続ける意味なんてあっただろうか。
「自分のために」
最近はまたそう思えるようになってきた。
僕は表現者の癖に、自分勝手にやる勇気もない臆病者だったのだ。
2016/09/03
良ければサポートをお願いします。良くなかったら大丈夫です。