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続「写真集」のツクリカタ(当社比)。

篠山の自己流「写真集」の作り方に関しては、少し前に「写真集」のツクリカタ(当社比)。で書きました💡

前記事では特に撮影を行った後の工程に重点を置いて書きましたが、今回は逆に撮影前と撮影中に自分がやっていることにフォーカスして書いてみたいと思います。

サンプルにするのは、直近で制作した『decisions.』(佐野小波さん)です💡
ストーリー性のある写真集という前提での話となります。

制作のきっかけは、篠山がTwitter上で行った写真集制作向けのモデルさん募集に彼女が手を挙げてくださったことでした。

彼女のモデル力をもってすれば、きっと良い写真集を作ることはできる。
そう確信することはすぐにできましたが、少し考えました。

まず篠山は、自分の持っている撮影イメージ(写真集イメージ)に、モデルさんを単純に当てはめるようなことはしません。
逆に言えば、あるモデルさんにおいてイメージが難しい内容で撮影を行うことは絶対にありません。

たまに、自分の好みのモデルさんと自分の撮りたいイメージを単純に掛け合わせた結果、しっくり来ない写真になってしまっているケースを見掛けます💦
もっとも、力のあるモデルさんであれば、どんなイメージでもそれなりに適応して下さるとは思いますが…

考えているうちに、ぼんやりと自分の中にあった構想が形を成してきました💭

それは、5年前に制作した『ジブンサガシ。』という写真集の続編。

『ジブンサガシ。』は、ある歌が好きな少女(❓←)が夢を追いかけて上京するという内容のもので、東京(実際には横浜)に到着したところでストーリーは終わっています。
その続きのストーリーを描けるのではないか❓

篠山が持っている佐野小波さんのイメージは、「可愛らしい」とか「美しい」とかいうものではなく💦、「格好良い」とか「クリエイティブ」といったものでした。
(お持ちのイメージと違っていたらごめんなさい💧)
なるほど、続編イメージに合いそうだ💡

そして、確認すると、彼女はギターの経験もあり、『ジブンサガシ。』の舞台である静岡県浜松市付近に所縁(❓)もあるとのこと。
これは、、イケる👍

かくして、
「撮影のために3日もらえたら、写真集いけます」
とお話をして、この企画がスタートしたのでした🤝

さて、それではどのように撮影を行うか。
まずは、どのような設定でどのようなストーリーを描いていたのか、を書いてみます✍🏻

ネタばれにならない程度にざっくり書くと…
・主人公の小波(特に役名無し💦)は、5年前に音楽の道に進むために上京した
・バイトをしながら音楽を続けた
・ある時、音楽つながりである男性と出会った
・その男性とは半同棲している
・川の近くの古い一軒家を借りて住んでいる
・川ではボートに乗ることができる
・東京で過ごしているうちに悩みも積み重なった
・自分の将来や地元にいる両親のことも頭をよぎった
・地元に帰ることを決断した
・地元は静岡県浜松市付近である
・地元には、上京する際に自分を後押ししてくれた(と思っている)自然があり、帰ってきた自分を支えてくれる存在にもなった
・地元には温かい人たちがいる
です。

そして、そんなストーリーを撮影するために、3日間をどう使うかです🧠

もちろん、自由に日程を組めるなら、ゆったりとした予定にするでしょう。
でも彼女も私も時間がありません。
3日間で撮り切らないといけないのです💦

ということで、大きく以下のようにスケジュールしました: 
[1日目]
・カフェシーン
・バイトシーン(花屋)
・演奏シーン(ライブ会場風)
・夕暮れの街シーン
[2日目]
・河川敷シーン
・家&周辺シーン
・夕暮れの街シーン
[3日目]
・東京出発シーン
・浜松到着シーン
・海シーン
・風車シーン
・公園シーン

それぞれの日にどのような撮影を行うかは、もちろん事前にお知らせします。
そして、それぞれの日、それぞれのシーンについて以下のような項目を共有します: 
・ロケーション
・衣装
・メイク/髪型
・シーン設定
・感情
・アイテム

メイクや髪型は私の場合あまり細かい指定はせず、ざっくりです💦

シーン設定、というのは、時間軸でどの辺りのどのような状況でのシーンなのか、何人称のシーンなのか、等です。

時間軸は、同じ撮影日の中でも前後しますし、撮影日をまたいで前後する可能性もあります。
今回は、1日目と2日目は前後する可能性があります、3日目は確実に時間軸的に後ろです、と最初にお知らせしていました💡
何が問題になるかというと、主には髪の長さ、髪色、髪型、です。
今回彼女は2日目と3日目の間にばっさり髪を切られましたが、それは全く問題ありませんでしたし、ストーリー上もむしろ好ましいものでした。GJ👍

複数日に分けてストーリー性のあるものを撮影するとなると、そういったある意味「役作り」的な要素が生まれることになるのです💡

何人称か、というのは、そのシーンは誰の視点で描くものなのか、です。

自明ですが、その場に他に誰もいないシーン設定で目線ありの写真を使うのはおかしいですし、その場に一緒にいる設定の人間の言葉で物語を綴っているシーンなのに目線がひとつも無いというのは不自然です。

そのように、誰の視点で描くシーンなのか、誰の言葉で綴るシーンなのか、が決まっていなければ、そもそも写真など撮れるはずがないのです👀

衣装に関しては、今回は大体、シーンのイメージだけお伝えして彼女に用意して頂きました。

ただ、花屋のシーンだけは、篠山の中で小波さんが花屋でバイトしていたらコレ、というイメージがありましたので、具体的にお願いし、こちらでも用意をしていきました。

それが、パーカー & デニム に黒エプロン、です💡
(もう少し暖かければ、白シャツに黒エプロン💛←)

もし同じシーンでポートレート写真を撮るとすると、多くの人がちょっとフリフリな感じの衣装を指定するのではないかと思います🌸
あ、偏見ですか。すいません💧

シーン設定と感情に関していうと、同じロケーション、同じ物理的シーンでも、状況や感情が異なるシーンを撮る場合があります💡

その場合は衣装も違ったりします。
ですので、時間帯も気にしつつ、できるだけ衣装の切り替えが発生しないよう撮影順を組み立てることをしています🤔

また、シーンと光に関して、シーン設定と天気や時間帯の関係というのは重要視しています。
今回は幸いなことに、天気には非常に恵まれましたし、期待以上の事象も発生しました💡

ですので、普段もほぼ使わないのですが、今回は自然光/地明かり以外のライティング、レフ/ディフューザーの類はほぼ使用しませんでした。
唯一、ライブ会場風のシーンでは、それっぽくするためにストロボを使用しました💡

ストーリー性のある写真群に人工的な光の要素を混ぜるのは最低限にしたいと考えています。

1日目の夕暮れの街シーンでは、どうしても夕陽が欲しくて、でもライブ会場風シーンを撮り終えた時点で夕方で、しかも都心でビルだらけで陽が見えない…💦

急いで車で西に走って代々木付近に着き、偶然見つけた小田急線の陸橋の上で、ビルの隙間に落ちる夕陽を得られたのでした🌞

2日目の一軒家では、晴れたり雨が降ったり(天気雨)という異常な天気の中での撮影となりました💡

ちょうどこのロケーションでは 楽しい感じのシーンと悲しい感じのシーンの両方を撮りたかったので、うまく天気に合わせて振り分けることができました👍

3日目の東京出発シーンは、2日目の河川敷と同じ小田急線 和泉多摩川駅です🚃
思えば 2日目に一緒に撮っていれば時短になったのですが…💦
実はその時点ではもっと大きなターミナル駅(横浜とか)をイメージしており、3日目に回したのでした💧

桜の開花が予想よりも遅れ、和泉多摩川でも浜松でも、ばっちり満開状態で撮ることができました🌸
結果オーライです👍

そして浜松でも良い天気で、イメージ通りの海(砂丘)での夕陽を撮ることができました🙌

とにかく、今回は天気に恵まれました。

さて、和泉多摩川といえば、『ソラニン』の舞台として有名です、、

…と後から知りました💦

音楽をやっている女子が彼氏と和泉多摩川に住んでいて、たまにボートで遊んだりして、花屋でバイトをしていて…

などというイメージをしていたら、まんま『ソラニン』の設定と同じだったという、、💧

ま、まあ、音楽やっていて花屋でバイトとかありがちですし💦💦

都内で川でボートに乗れるなんて和泉多摩川くらいですし💦💦

そのボートも残念ながら廃業されたということで、今回の写真は乗り場(❓)でご厚意で撮らせて頂いたのでした💡

浜松では、実際に現地のローカル線に乗車して撮影を(サクッと)行いました🚃

その際、主人公が眺めている想定で、窓から外の風景を撮っていました💡

そのように、主人公、ないしはそのシーンの綴り手が見ている想定の光景、あるいは単純にそのシーンを説明するための光景、といったものを撮っておくことは重要です。

全く関係のないタイミングやロケーションで撮った写真を挿し込むのとは意味が違います。

ということで、後半はだらだらと書いてしまいましたが、私がやっているのはこのような事です。

何か1mmでも参考になれば幸いです。

モデル: 佐野小波(@sano0801konami)
写真集『decisions.』より

ちなみに、ここに並べた写真は、全て写真集ではボツにしたものです💡


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