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長編連載小説「クラリセージの調べ」

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「澪標」鈴木澪の妊活編です。
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#ゲイ

連載小説「クラリセージの調べ」3-10

 雲間から覗く午後の陽は、午前の疲労を吸収したように濁っている 。濃度を増した沈黙を破る…

may_citrus
4か月前
66

連載小説「クラリセージの調べ」4-3

 スクリーンのなかで、上品な身なりの英国人の男女が、モーツァルトの音楽に合わせて優雅に踊…

may_citrus
4か月前
83

連載小説「クラリセージの調べ」4-6

 私を心配した瑠璃子とすずくんが、美味しいものを食べようと誘ってくれたが、気が進まないま…

may_citrus
3か月前
73

連載小説「クラリセージの調べ」4-7

「どういうこと……?」  例え話なのか、事実なのかわからないまま、瑠璃子の赤らんだ瞳を凝…

may_citrus
3か月前
82

連載小説「クラリセージの調べ」4-10

 帰ると言い張る私を心配し、すずくんがケーキショップに併設するカフェに連れてきてくれた。…

may_citrus
3か月前
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連載小説「クラリセージの調べ」5-7

 残暑が落ちつき、風が爽やかになると、私は年末に迫る看護学校の入試への焦りから、母屋の手…

may_citrus
2か月前
73

連載小説「クラリセージの調べ」5-8

 おじいちゃんは無事に解熱し、嚥下訓練と食事指導を受けて二週間後に退院した。だが、肺炎で体力を消耗したのか、前にも増して寝ている時間が増えた。自力で行けたトイレも難しくなり、夜だけ使用していたポータブルトイレを常時使用するようになった。今まで以上に、誤嚥に注意が必要なため、食べられるものも限られてくる。それに伴い、以前は見られた食への執着が失われていった。すずくんの訪問診療は、引き続き、週一回受けることになった。  絹さん親子は、おじいちゃんが静かな環境で療養できるように、予

連載小説「クラリセージの調べ」5-12 最終話

 房総の海は、初春の陽を照り返して輝いている。規則正しく打ち寄せる波の音、頭上を旋回する…

may_citrus
1か月前
63