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長編連載小説「クラリセージの調べ」

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「澪標」鈴木澪の妊活編です。
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#元彼女

連載小説「クラリセージの調べ」3-7

「何で瑠璃子が知ってるの……?」  瑠璃子の端正なマスクは、能面のように表情を失くしてい…

may_citrus
5か月前
68

連載小説「クラリセージの調べ」4-8

 料亭での食事会から、夫への気持ちは振り子のように揺れ動いている。  結婚以来、夫への…

may_citrus
3か月前
79

連載小説「クラリセージの調べ」4-10

 帰ると言い張る私を心配し、すずくんがケーキショップに併設するカフェに連れてきてくれた。…

may_citrus
3か月前
71

連載小説「クラリセージの調べ」5-2

 日が長くなると、庭仕事が進む。若々しい雑草を引き抜きながら、亡き飼い犬ナナと散歩した少…

may_citrus
2か月前
75

連載小説「クラリセージの調べ」5-3

※ 採卵手術シーンは一例で、実在する医療機関とは一切関係ありません。治療については、専門…

may_citrus
2か月前
59

連載小説「クラリセージの調べ」5-4

 ベランダに下げた風鈴の音が夜風に流れる。涼やかな音を聞くと、夫に裕美の言動を報告しよう…

may_citrus
2か月前
66

連載小説「クラリセージの調べ」5-8

 おじいちゃんは無事に解熱し、嚥下訓練と食事指導を受けて二週間後に退院した。だが、肺炎で体力を消耗したのか、前にも増して寝ている時間が増えた。自力で行けたトイレも難しくなり、夜だけ使用していたポータブルトイレを常時使用するようになった。今まで以上に、誤嚥に注意が必要なため、食べられるものも限られてくる。それに伴い、以前は見られた食への執着が失われていった。すずくんの訪問診療は、引き続き、週一回受けることになった。  絹さん親子は、おじいちゃんが静かな環境で療養できるように、予