連載小説「クラリセージの調べ」4-6
私を心配した瑠璃子とすずくんが、美味しいものを食べようと誘ってくれたが、気が進まないまま時間が経ってしまった。外に出ると、幸せそうな親子が目に入ってしまうのが辛く、プチ引きこもり状態になっていた。
二人に会う気持ちになったのは、無事に次の生理が来て、三度目の人工授精を終えてからだった。
すずくんが予約してくれた料亭は、完全個室の店だった。廊下には、水仙や桜が飾られていて心が和む。お座敷に落ち着くと、高級旅館の夕食を待つように贅沢な気分になる。障子を通して注ぐ陽が明る