連載小説「クラリセージの調べ」5-8
おじいちゃんは無事に解熱し、嚥下訓練と食事指導を受けて二週間後に退院した。だが、肺炎で体力を消耗したのか、前にも増して寝ている時間が増えた。自力で行けたトイレも難しくなり、夜だけ使用していたポータブルトイレを常時使用するようになった。今まで以上に、誤嚥に注意が必要なため、食べられるものも限られてくる。それに伴い、以前は見られた食への執着が失われていった。すずくんの訪問診療は、引き続き、週一回受けることになった。
絹さん親子は、おじいちゃんが静かな環境で療養できるように、予