コーポレートフィットはマネージャーの仕事(Innovation Trigger #01参加報告)
しのジャッキーです。久しぶりにオフラインのイベントに参加してきました。あまりに久しぶりすぎて、名刺は3枚しかないわ、財布不携帯で飲み代立て替えてもらうわで、ダメダメでしたが、学びをレポートしたいと思います。
今回参加したのは、以下のイベント
新規事業交流会「Innovation Trigger #01」新規事業に必要なサーバント・リーダーシップ 〜新規事業開発に必要な組織・環境・人材とは
登壇者は以下で、メインスピーカーは笹原さん、藤村さん、波木井さんの3名で、中村さん、ピンキーさん、足立さんが随時質問や進行をしながら、新規事業と組織・環境・人材について濃密な対話が繰り広げられました。
登壇者情報
笹原 優子氏
株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役社長
藤村 昌平氏
ライオン株式会社
ビジネスインキュベーション部長
波木井 卓氏
コニカミノルタ株式会社 ビジネスイノベーションセンター(BIC)推進部長 兼 ビジネスイノベーションセンタージャパン(BIC Japan)所長
WeWork Japan合同会社
Vice President -Regional General Counsel
足立佳丈
荒井 宏之
キュレーションズ株式会社 Innovation Process Design / Principal
IntraStar 主催
中村 亜由子
AYUKO NAKAMURA
eiicon company 代表/founder
会場:WeWork 渋谷スクランブルスクエアの素敵空間
笹原さんはZoomでご参加
新規事業に必要な組織とは、環境とは?
ここからは、個人的にシビレタ名言をピックアップしてセミナーの様子をお届けします。
世界5か所、新規事業組織同時立ち上げ
Q.新規事業組織はどう立ち上げた?
海外売上8割の会社。顧客起点で顧客課題を解決する。BICという部門は海外5ヵ所ある。同時に立ち上げて全て同じように社外から新規事業ができる人材を1年かけて10人ずつ集めた。同時タイミングで作った。
みんな外から来た人なので、コニカミノルタの技術は知らなかったのでオープンイノベーションするしかなかった。
by. コニカミノルタ 波木井氏
「え!」と思いました。世界5か所同時立ち上げって。ウルトラC。。。しかも、社外からピュアに人を集める。これはかなりの劇薬だな、と思いました。2014年に立ち上げたということなので、もう7年。よく、つぶれずこの組織が続いているのは、並々ならぬ努力があってのことだと思います。
以下、参考記事。
組織継続のミソは巻き込み力
Q. 組織的な新規事業開発の維持の秘訣は?
言われてもいないのに、経営企画とか人事とかだったり、色々なところに、こういうことをやったらこういうことが分かったとか、報告しに行って仲間になってもらったり、人事と共催でイベントやるとか。前向きな巻き込みが継続させる上で重要。
by. 笹原氏(ドコモベンチャーズ)
R&Dの中からボトムアップで立ち上げ、最初は小さく、小さく、リーンにやってて、それがうまく回り出したが、R&Dのメンバーだけでやっているとアイデア枯渇。次は、ビジネスコンテストを始めた。そしたら人材を育てないと、となってアカデミーを始めた。というように事業開発組織自体もリーンに育てていったというのも印象的でした。
自分自身、2015年に、自社の新規事業開発組織に異動した際に、そもそもまだまだ自部門の社内認知度も低かったので、いろいろなところにいっては、言われてもいないのに「うちの部門では、リーンスタートアップやビジネスモデルジェネレーションなど、新規事業開発のベストプラクティスを実践しています。うんたらかんたら」とインターナルマーケティングをしてたことを思い出しました。
以下、参考記事
おっちゃんばっかでも多様性はつくれる
Q. 新規事業に必要な人材像は?
重視していたのはプロマネ力。進捗管理やディレクションできる力。次に多様性。最初は40代、男性、日本人。おっちゃんばっかだった。しかし、ブレストやると結構、面白いアイデアが出た。なんでだろうかな、と思ったら、経験の多様性があった。
by. コニカミノルタ 波木井氏
これは、「世界標準の経営理論」の第20章「認知バイアスの理論」のところに書かれているのですが、多様性(ダイバーシティー)にはタスク型とデモグラフィー型があり、イノベーションという観点で重要なのは実は「知見、能力、経験、価値観」などの多様性であるタスク型のダイバーシティーだ、という話ですね。
出典:世界標準の経営理論をもとに篠崎作成
まず転職サイトに登録させる
Q. 新規事業にトライした人を屍にしないためには?
うちの部門に来るときは、まず転職サイトに登録してもらうようにしている。そうしてオファーが変わる。成長実感を感じてもらう。屍にならない。テーマは死んでも、人の屍は作らない。自分で考えて、自分で動ける人は、社内でも希望はだいたい通る。やりたいことをやらしてあげられる
ライオン 藤村氏
これは、別の場でも聞いたことがありますが、しびれます。新規事業開発部門に異動してきた人たちをまずは、転職サイトに登録させる。そして、新規事業開発の経験をすると、オファーが変わる。自分という人材の市場価値が変わるのを体感してもらう。こんなことするとこある!?
そして、会場では、その場で転職サイトに登録している方もいらっしゃいました。さすが、新規事業界隈の皆さんは行動が早い。
以下、参考記事
それ、やっちゃいけないやつじゃないやつ
Q. 新規事業に必要な人材像は?
いい意味で空気読めない人いいな、と思う。それ、やっちゃいけないやつじゃないな、みたいなのをいえちゃう人。自分なりに見えてる景色を作って進める人。一方で、自分の軸を持ちつつも、人の話していることをちゃんと聞ける人。
by. 笹原氏(ドコモベンチャーズ)
新規事業部門に異動する前、「それ、やっちゃいけないやつじゃないやつ」の感覚がなんか合わない居心地の悪さがどこかにあった気がしました。逆に、新規事業部門に異動したら、「やっちゃいけないやつじゃない」の基準が大幅に変わりました。むしろ、「自分の発想の飛び方って全然足りんかった!」と、当時の上司の人のぶっ飛んだ発想を、行動に移す際にメンタルブロックを突破しながら成長できた気がします。
最近は、相手のお話も聞きながら、相手の方の発想をぶっ飛ばすお手伝いもできるようになって、、、、来たかな。
コーポレートフィットはマネジメントの仕事
Q. 新規事業開発の環境において大切なことは?
自分でコントールできることをピュアに100%持たせられるか。うまくいかなかったとして、それは自分の責任だ、と思えるように。うまくいったらそれは100%自分の成果だと思えるように。そういう状態の人を作れると、ライオンのAさんじゃなくなる。その時にその熱量を発揮する場所がライオンであるようにするのは、コーポレートフィットを考えるのはマネジメントの仕事。なんかコーポレートフィットを考えるのがプロジェクト側になっている暗黙の了解は違うと思う。それはマネジメント側の仕事だと思う
ライオン 藤村氏
これは、この日、一番シビレタ言葉でした。
「コーポレートフィットを考えるのはマネジメントの仕事」
もうちょっというと、たぶん中間管理職の仕事なのだと思いました。事業開発の担当者には、社会における価値を最大化することに全エネルギーが注げるようにする、課題の検証、ソリューションの検証、そこにフォーカスしてもらう。藤村さんはそういう考え方なのだと思います。
以前に、オムロンの竹林一さん(し~さん)のイノベーションの起承転結人材という話を聞いて。イノベーションを起こす人材は、「起」の人材、こういう人はレアキャラ。会社からは遊び人、どっかほっつき歩いている人、と見られる。ロジカルに戦略を立てたり・要件定義をしたり(「転」の人材)やそれを詳細設計に落とし込んだり、確実に運用する(「結」の人材)人たちからは、「起」の人たちが外部から仕入れてきたりした「おもろい話」が何を言っているのかわからない。
ここに必要なのが、「承」の人材。ものごとを抽象化したり、アナロジーで結び付けたり、ストーリー化したりできる人材。「承」の人材が「起」の人の妄想を面白がって会社の事業や技術などと結び付ける。そういう人材がいてイノベーションは日の目を見るのだといいます。
新事業開発における中間管理職とは、「承」の人材たるべきなのだろうな、と強く思った瞬間でした。
ちなみに、「世界標準の経営理論」によるとリーダーシップ理論およびモチベーションの理論と、藤村さんのいていること、し~さんの言っていることは、すごい整合しているな、と思いました。
出典:世界標準の経営理論をもとに篠崎作成
以下、参考記事
世界を変えるイノベーションを日本の大企業から生み出す!
今のポジションにおける夢は?
大手企業の人たち、チャレンジしない。優秀な人がいるのに勿体無い。そこに情報を持っているだけで何億もかすめ取っていくコンサルを撲滅したい。大企業から世界を変えるイノベーションを日本の大企業から生み出したい。
by. IntraStar 荒井ピンキー氏
さて最後は、本イベントの主催者の一人でもある企業内新規事業担当者のコミュニティー「IntraStar(イントラスター)」のピンキーさんの一言。Clubhouseが日本で急に盛り上がったときに、90日毎日夜な夜な新規事業界隈の人間が日々の生々しい情報交換をするトークルームから生まれたコミュニティーです。私自身、初期から参加させていただいて、ものすごーーーーく、元気をもらい続けています。この日は、そんな日々、話をしていた人たちとも「初めまして」ができて、とての楽しい一日です。
ピンキーさん、いつもありがとうございます!!!
IntraStarには以下、Facebookからグループに入ることができます。
あと、多様性は、デモグラじゃなくて、タスク型だ、といいつつ、新規事業開発、女性の事業開発者がまだまだ少ない。ということで、女性新規事業開発者「イントレプレーヌ」および彼女たちを応援したい人たちのコミュニティーもできています。
イントレプレーヌの自薦・他薦・サポーター募集中ということなので、コンタクトとりたい!という方は、私のTwitterにDMいただいてもいいですし、以下のページのMembersのところにのっている伊能(いよく)さん、椿さん、酒井さんのFacebookやTwitterでご連絡してみてください。
ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。
ちなみに、昨晩は、2021/1/17からつづいていた毎日note更新が、本イベントの興奮の余波で途絶えてしまったのは秘密です。
しのジャッキーでした。
Twitter: shinojackie
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