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ドコモ×メドレー×ミナカラ連携の舞台裏 (Innovation Trigger #02参加報告)

しのジャッキーです。2021/11/9に参加したイベント(参加報告は以下)の第二回に参加してきましたので、学びをレポートしたいと思います。

第二回のタイトルとイベントページは以下です。

新規事業交流会「Innovation Trigger #02」企業連携を通じた市場の変え方
〜メディカル業界における連携とは~

登壇者情報

株式会社NTTドコモ 
ビジネスクリエーション部 ヘルスケアビジネス推進室長
出井 京子 氏 

株式会社ミナカラ 創業者 取締役 薬剤師
喜納 信也

株式会社メドレー 執行役員
中村 隆之

WeWork Japan合同会社
Vice President -Regional General Counsel
足立佳丈 氏 

キュレーションズ株式会社 Innovation Process Design / Principal
IntraStar 主催
荒井 宏之 氏 

eiicon company 代表/founder
中村 亜由子 氏

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会場:WeWork 渋谷スクランブルスクエアの素敵空間

ようはどういう話だった?

今回の第2回のテーマは「大企業とベンチャーの連携のケーススタディ」です。ことの発端は以下の2021年10月22日のプレスリリースの内容となります。これはコンシューマー向けのオンライン薬局サービスを運営するミナカラ社の株式をドコモ社とメドレー社(医療従事者向けの人材プラットフォームなどB2Bオンラインサービスを提供)の2社が合同で全株式を取得しました。

大規模な事業運営のノウハウ・豊富なエンドユーザー会員基盤等を持つドコモ、医療関連サービスの開発運営力・豊富な医療ヘルスケア顧客基盤を持つメドレーと協業することで、患者の医療活用を支援するサービス展開の早期開始を目指します。

この合同株式取得の舞台裏を、まさにその当事者である3社から3名を招いて聞いちゃおう!というものでした。

そもそもドコモ×メドレーの提携

前提知識として、そもそもドコモ社とメドレー社は、2021年4月30日に以下のように資本業務提携を結んでいます。この資本業務提携の目的は以下と書かれています。

(ⅰ)オンライン診療の発展に向けた協業(CLINICSアプリの共同運営を含む)
(ⅱ)付加価値の高い医療ヘルスケアサービスの提供

印象に残ったキーワード

今回、舞台裏の話を聞きながら印象に残ったキーワードは以下です。

瀧口さん、名前を変える、社内ロビー、パートナリングも手段、国際結婚、水先案内人、自社でやれ、気を使わせない力、

瀧口さん

ミナカラ喜納さんのメドレー社長の瀧口さんへの信頼がすごかったです。合同株式取得という話のきっかけも、瀧口さんと喜納さんで話をしている中から生まれたとのことでした。やっぱりこういう企業間の連携って、「人と人」なんだなぁ、と思いました。

喜納さんの発言で特に印象的だったのは「メドレーほどドコモをぶんまわしていけるか、不安がある。ドコモとメドレーの関係がすごい。」かな。

自社でやれ、水先案内人、社内ロビー

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ドコモ出井さんの発言は、いわゆる大企業に勤める自分自身としてはとても学びと共感が多かったです。例えば「自社でやれ」。これは、社内からの「なんでスタートアップと業務提携するのか?自社でやれないのか?」という声。大企業は、資本も、人も、技術もあったりするので、こういう発想になりがちです。

そこに対して、出井さんは「医療は規制産業だし、専門性も非常に高い、水先案内人が必要、ということを丁寧に説明した。数か月にわたって、社内ロビーをしまくった」とおっしゃっていたのが印象的でした。

パートナリングも手段

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メドレー中村さんの「最良のパートナーを探す第一歩は?」というモデレーターからの質問への回答も印象的でした。それは「そもそもパートナリングも手段。何を得たいのか?何を補完したいのか?を明確にすることが大事」という内容でした。

これは、会社という存在が「何を成し遂げたいのか」が先にあって、その実現のために、パートナリングが有効か?なぜ有効か?という順番で考えるということで、こう書くと非常にあたり前のように感じますが、手段と目的があべこべになることって、本当によくありますよね(自戒)。

ミナカラをドコモと合同で株式取得するのではなく、メドレーだけで買うという選択肢はなかったのか?という質問には、「選択肢もあっただろう。ただ、toBむけSaaSをやっていた会社がtoCやるって結構きつい、Cはお金もかかる。リターンを明確に訴えることが難しい。また規制産業なので、ドコモのようなビッグプレーヤーと動かすほうが規制緩和の働きかけなども含めて合理的」といったことをおっしゃっていました。

名前を変える

ドコモ出井さんの話で、「あ!そうか」と思ったことがあります。それは考えてみれば当たり前のことなのですが、「ヘルスケア推進室という名前にしてもらった」という発言がありました。

ようするに、社内にいろいろな部門がある中で、情報が自分のところに集まってくるようにするには、「ヘルスケア」についてはあそこに聞けばいいんだな、ということを明確に社内に意思表示をすること、だと思います。

これは、一方で覚悟も必要なことなのだと思います。会場から「提携までもっていって、やり切った感で力尽きたりしないのか?」といった質問がありましたが、出井さんの回答はこうでした。

「この提携に向けて、いろんなところを巻き込み、多くの約束をしてきたので責任感の塊になっている。そういったことを成功させたい

出井さんはとても真面目で責任感のある方なんだろうなぁ、と思いました。

国際結婚、気を使わせない力

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出井さんは、この連携を国際結婚みたい、とよく言っているとおっしゃっていました。考え方も文化も全然違う中で、メドレー社には悪いと思いながらも、社内のいろいろな人に会ってもらって、何度も同じ話をしてもらったといいます。

それに対して、メドレーの中村さんは、「大きな会社なので、数字やロジックだけでは動かないとは思う。それくらいしてでもドコモというリソースを使い倒したいと思った」といった感じて、セミナーを通して、お三方ともに、くだけた雰囲気でした。

そして、スタートアップから見て、出井さんはどんな存在だったか?という質問に対してメドレー中村さんは「気を使わせない力がすごい。正直ベースで話しやすい。”ドコモとしては”というところが良くも悪くもない。そういうところがやり易さにつながっている」

「あ、我々はある意味で、新婚さんののろけ話を聞いてるんだな」と思った瞬間でもありましたw

私の個人的気づき

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私自身、2015年から、いろいろな新事業開発にチャレンジしてきました。その中で、スタートアップとの連携というのを考える機会は少なかったということが、今回のセミナーを聞いての一番の気づきとしてありました。

それはリーンスタートアップのような新規事業開発のベストプラクティスのプロセスをもとに、いかに「自力で」課題仮説を構築し、仮説検証を通して、プロブレム・ソリューション・フィットを見出していくか、その時に「なぜ当社がこのビジネスをやるべきなのか?」と考えたときに、技術が立脚点にあるべきだ、という暗黙の了解があったように思います。

最近は、部門が変わって、個別の新規事業開発というよりも、全社戦略のレイヤーを考えることが求められるようになりました。自分の視座を高める筋トレに「世界標準の経営理論」を精読したり、なるべく経営のレイヤーというを意識するようにしています。そうこうしているうちに、少しずつですが自分の中に新しいレンズができてきたのかなぁ、と思えた一夜でした。

今回のセミナーの主催の一人であるピンキーさんのIntraStarに出会たことが非常にステキな機会だったな、と思います。IntraStarがなければ、今回のセミナーに参加することもなかったと思います。

IntraStarはClubhouseが日本で急に盛り上がったときに、90日毎日夜な夜な新規事業界隈の人間が日々の生々しい情報交換をするトークルームから生まれたコミュニティーです。私自身、初期から参加させていただいて、ものすごーーーーく、元気をもらい続けています。

IntraStarには以下、Facebookからグループに入ることができます。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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