Incubate噺の会4 リレー創作企画

「まずはお歌のお時間です。みんなお姉さんと一緒に歌ってね~!さんはい、きりんさんきりんさんどうして~おくびがなが~いの~、あっちのお山もみた~いし~こっちのお山もみた~いし~、だから~だから~、おくびがなが~いの~。・・・は~いみんなよく静かに聞けました~。お姉さんによるキリンさんの独唱でした。今お姉さんと一緒にって聞こえてたかな。あっ、もしかしてお姉さんが誰のことかわからなかった?お姉さんは誰がなんと言おうとお姉さんのことです。申し遅れました、わたしの名前はさっちゃんです。幸せな子と書いてさっちゃん。今のところそんなに幸せではありませんけれども、以後お見知りおきのほどよろしくお願いしま~す。パチパチパチ。呼んでみてくださ~い。うん。さっちゃー?違う、それは鉄の女。え?サッチー?違う、それはミッチーの敵。なになに?サッチモ?違うそれはワラワンダフォーワールド。え?ちょっと古すぎてよくわからない?そっか~めんごめんご、だってさっちゃんはこう見えても昭和50年代生まれなのだ。『こう見えても』に対して異論があるみんなはお口にチャックお願いしま~す♪
 
さて、今日はパパと子供のキャンプに来てくれてありがとうね~。子供たちありがとう~。パパたちもぉありがとうございますっ!いつもぉ、パパはみんなのために一生懸命会社で頑張ってお仕事してくれてます。だからあんまり子供たちと一緒に過ごす時間がないんだ、ママと比べると子供たちとの間に距離があるんだ、という声を受けて、このたび組合でさっちゃんが中心になってほぼ一手にこのキャンプを企画しました。パチパチパチ~。
 
この間にママたちにはお買い物行ってもらったり、エステ行ってもらったり、ママ友ディナー行ってもらったり、男とホテル行ってもらったり、自由な時間を過ごしてもらって、その上でこの場ではさっちゃんが紅一点、ただ一人の大人の女性になってしまおうという、そんな一石三鳥の企画です。今日の日をさっちゃんもきりんさんとおんなじように首を長くして待ってました~。何か質問とかある人いますか?はーい、じゃあそっちの高そうなシャツを着てる男の子。お父さんの役職と自分のお名前言ってから質問してください」
「営業本部長やってる井上やすおの子供のふみまさです」
「わぁー、井上本部長の御子息!道理でかしこそうなお顔だと思いました。はい、ふみまさくん、質問は何ですか?」
「さっちゃんが好きな動物は何ですか?」
「わー、可愛い質問~。ちなみにふみまさくんが好きな動物は何ですか?」
「僕はね、ハシビロコウです」
「すごい~、ハシビロコウ!六文字、よくそんな長い名前覚えられたね、賢いと思いました~。さっちゃんが好きな動物はハイエナです。理由は特にありません。他に質問は~?はい、じゃあそっちのおっきなトラの顔が書いてあるTシャツを着てる女の子。自己紹介お願いします」
「経理部長の田中洋二郎の娘の田中きよのいいます」
「すごい~。やっぱり関西人~。子供のころからDNAがトラを求めるんだね~。きよのちゃんの質問は何ですか?」
「さっちゃんの好きな歌は何ですか?」
「さっちゃんの好きな歌。いい質問ですね~。きよのちゃんの好きな歌は何ですか?」
「わたしの好きな歌は浪花恋しぐれ」
「そうじゃないかな~と思いました。さっちゃんが好きな歌はテレサテンのつぐないです。知ってるかな?愛を~つぐな~えば~、別れ~にな~るけど~、こんな~女~でも~忘れないでね~、って歌です。まだきよのちゃんには早いかな?次に好きな歌はテレサテンの愛人です。基本的にカラオケ行ってもテレサテンしか歌いません。理由は割愛させていただきます。他には~?はい、じゃあそっちの宇宙戦艦って書いてあるTシャツ着てる男の子。どなたですか?」
「総務部の課長補佐やってる斉藤健一の子供のやまとです」
「やまとくん、だからそのTシャツのチョイスだったのね~。質問はなんですか?」
「あの、さっちゃんは結婚してますか?」
「はーい、いきなりデリカシーのない質問ありがとうございます。さっちゃんは結婚してますか?じゃあみんなに聞いてみようかな。さっちゃんが結婚してると思う人、手を上げてください~。はーい、全員正解。さっちゃんは結婚してません!でもさっちゃんはごくごく近い将来、運命の人と出会う予定なんで全然気にしてません。じゃあちなみに、みんなの中でさっちゃんと結婚したいって人はいますか~?みんな照れないでいいよ~。ここに横断歩道があると思ってはーいって挙手~!あれ~?横断歩道があるのに手を上げないと、みんな怒られちゃうぞ!あっ一人手を上げてくれた目の肥えた男の子のお名前はなんと、井上ふみまさくん!ありがとうね~。さっちゃんは、ふみまさくんのことを贔屓にしようと思いますっ。因みにふみまさくんはおいくつですか?五つ?すごいね~、ふみまさくんは五つにしてレディーを見る目があるからそのまんま真っすぐ育ってくださいね~。
 
さて、そうこうしているうちに、ただいまこのバスはキャンプ場に到着しました~。運転手さんに拍手~、お疲れ様でした~。それでは、ここでバスから降りたら、まずはパパたちにはテントの仕度をしてもらいます。みんなでパパ頑張って~って言えるかな、せえの、パパ頑張って~。あ、言えたね~、こういうのはちゃんと言えるんだね。パパたちが行ったところで、これからは子供たちとさっちゃんの秘密のクイズ大会の時間です。この秘密のクイズに対するみんなの答えによって、このキャンプのさっちゃんの裏テーマ『略奪愛』のターゲットが決まってきます。
 
それでは第一問です。お父さんとお母さんが仲よしだよ~ってひと~。手ぇ上げてください。はーい。はい、その人たちには興味ないです。そのまま温かい家庭を築いていってくださいね。では、お父さんとお母さんがよく喧嘩してるよ~ってひと~。うんうんうん、へーえ、なんでだろ~、さっちゃん興味津々。では、今手を上げてる人の中で、お父さんとお母さんが違うお部屋で寝てるひと~。はい。その中で、ここ一年以上家族旅行にも行ってないひと~。はーい、色んなことがわかってきました。今手を上げているのは一人だけ、ふみまさくんでした~!というわけで、さっちゃんはターゲットをふみまさくんパパ、井上営業本部長に決めることにしました!いいかな?さっちゃんをタモさんだと思って一緒にいくよ、せえの、いいとも~。そうだった、みんな笑っていいとも知らない世代だったね、じゃあここでもう一つ、ふみまさくんに聞きたいことがあります。ふみまさくんは、新しいお母さん欲しいですか?」
「うーんとね、わかんない」
「わかんない?でもふみまさくんはさっき五つだって言ってたよね。五つは他の言い方をすると五歳。新しいお母さんも後妻。ピッタリだね。ターゲット、ロック完了しました~!昔から日本にはこんなことわざがあります。将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。わかるかな?」
「幸子。・・・幸子」
「えっ、誰?」
「幸子、それでお前は幸せなのか?」
「ねえ誰なの?あたしの頭の中に直接語りかけるようなこの声」
「私が誰なのかということは重要なことではない。重要なのは、こんなことをしてお前が本当に幸せなのかということだ。どうなんだ?幸子」
「なれるわよ。なれるに決まってるじゃない。今度こそは絶対に幸せをこの手でつかんで離さない。だってあたし悪いことしてないもの。略奪愛はする方だけが悪いんじゃないの、される方だって同じくらい悪いんだから」
「ふふふ。幸子。いつかお前も気づく日が来るだろう。ではな、幸子」

続き後半はナツノカモが創作。
10月27日の公開収録会にて発表。

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