素晴らしき日々~さすらい出張シェフドキュメント~
第一皿
・小さなランプ
キッチンの床はどこを踏んでもミシミシと軋む。
薄暗い台所のとなりには洗濯機が置いてあり、その奥の壁1枚隔てた部屋で本日の依頼者は既に食事を始めていた。
郊外の公営団地の一室は陽の光も入らず昼間でも暗くそのせいかジメジメする。
「遺品整理とかあんた出来ないだろうから・・」
「仲良くしてくれる友達は大事にしてね。」
「プレゼントも形が遺るものは処分しなきゃいけないからもう要らないわ・・」
本日のお客様は癌を患ってらっしゃる奥様45歳と一人息子20歳。