シるとスるとはおおちがい

若いひとに海外に興味のない理由をたずねると、
「日本がいちばんだから」満ち足りていて、海外に出ることの意味がみいだせないというのが理由の上位をしめるときいたことがある。

「日本にいても、いろんな情報が手に入るから、行く必要はない」
と、一度も海外に行ったことのないオニイサンが言っておりましたが
その場所にいくからこそあじわえる雰囲気、空気、色、味があるのにねえ。
現地のひととの行き交いも、貴重な体験。

「知識を得た=じぶんはそれに習熟した、スムーズにできる」
と勘違いしてるひとは多い。

実際やってみたら簡単にできないのに、できる気になって
他人のすることにあれこれ偉そうに言うひとも多い。

でも現実には、いろんなことは、地道な目に見えないあれこれの積み重ねよ。

経験してよかったなあと思うことは多々あるけれど
なぜかさいきん、ちょこちょこ思い出すのは、タイでのシンポジウム運営。

経験がないところへ、海外の土地勘のないところで準備を進めていくというのは、なかなかに大変でした。

会場選びでは、大手旅行会社さんが

・タイでは会場のランクでシンポジウムのランクが判断される

ということで、それなりのホテルのリストと立地や施設などの情報をまとめた資料をくださいました。

値段と施設とランクであれこれ相談して…
資料をまとめて上のほうへお伺いをたて…
いろいろ「手順」が決まった組織で、お堅い上の方がいるものだから
ひとつひとつを進めるのに、時間と手間がかかってストレスフル。

どの旅行会社にするか、ということでもスッタモンダして
いろんな事情から、研究者と事務のスタッフでは別の旅行会社を利用することになったりもした。

当日配布する概要は、日本で印刷して送ると高くなるしややこしいとのことで
情報収集したところ、日本の印刷会社の支社が現地にあるとのことでそこに依頼。
そこはきちんとしたお仕事してくれたのに
前日荷物を受け取ったはずの、会場であるホテルのスタッフが
「ない」
の一点張り。
「何度も、隅から隅まで探してみたが、ない」

当日は印刷会社は休日で、担当者に連絡もつかず
怒られるのはわたしら実働隊。
もう受付開始というところで、「見つかった」とホテルのスタッフがニコニコ持ってきてくれた。
どんな広い倉庫やねん。

その他、格式が高いホテルとはいえ
スタッフの対応に日本のような正確さを求めることができず
やっぱり上から怒られるのはわたしたち実働隊なわけで…

そのシンポジウムでは超こわい上司と、その上司が恐れる上司が一緒で
生きて帰れるか心配だったけど、なんとか無事帰ってこれました。

ほかにもこまごま、大きいことからちいさなことまで解決すべきことがあり、たいへんだった。

準備にしんどすぎて、そのシンポジウムの1か月前に
上司の上司(コワいけど、わたしには親切だった人)に「退職したい」と相談したほどだった。

それでも、いま思えば経験しといてよかったなーと思います。


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