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はっけんたのし

昨年夏に当時勤めていた会社の社長が逮捕され
それから大バタバタで片付けに追われたわけだけれど

そのなかで、「大変だったけど、いい経験になったなあ」というのが
社長が経営していたバーの片付け。

超できない君が店長だったんだけど
店閉めることにしてそいつクビにして
不動産会社に解約通知書送ってわたしが3か月で退去の準備した。

飲食店のことなんて全く知らないのに
おまけにアホ店長がゴミ山ほど残していきやがったんで
知り合いの飲食店経営者に店内の物品備品の片付け方教えてもらったり
業者紹介してもらったりして進めながら、掃除に通った。

業者からレンタルしていたものは連絡して回収してもらい、ガス台、洗い場一式、冷蔵庫、棚、椅子等は買取業者に引き取ってもらった。大量のゴミと、ガレージセールしてみたけれどほぼ売れ残った皿、グラスの類も同じ業者に任せた。「別の廃棄業者に任せたほうが、1万ほど安くなりますよ」と言われたけれど、手配やらを考えると1業者に任せたほうがラクなのでそうした。高級シャンパン類は買取業者に持ち込んで買い取ってもらい、開封済みの酒は一本一本、中味を捨ててゴミ袋に放り込んで業者に引き取ってもらった。未開封の酒は、仲良しのマスターに引き取ってもらった。

社長が逮捕されるつい数週間前に、社長の知り合いのアーティストっつう子にバーの店内に壁画描いてもらっていて、原状復帰で返さなければならないから、壁画は消してくださいという。

頼っていた飲食店経営者に相談したら、
壁を塗るのは内装業者に頼まなければならないが、内装業者はいまとても忙しい。壁2面の半日の半端仕事はどこもやりたがらないだろう。
「壁の写真を、飲食業何店舗も経営していて実家が内装業のひとに見せたら、絵さえ見えないようになったら不動産会社も大家もなんも言わないやろうとのこと。さいわい黒い壁だから自分で塗ったらどうですか」
と言われ、ひえ~んと泣きそうになりながらしかし昨今の情報はなんでもネットで見つけられる社会に感謝、ネットで素人向け壁塗り情報ゲットして必要な道具そろえ、自分で塗りましたよ。

そんなわけで、ずいぶんストレスを感じながらもバーの片付けを終えてみると、とくに壁塗りをやり遂げたことは「意外と自分でもできるやん」と大きな自信になっていた。

以来、じわじわとそれまでは「プロの仕事」「他人の仕事」と思っていたことに手を付けるようになった。

手始めはお気に入りの旅行用ボストンバッグの持ち手の付け替え。
いまは手芸店でたいていのものが手に入るようになった便利な時代だなと感心しながら色味、サイズの似た交換用持ち手を買い求め、持ち手を外してちくちく縫い付けた。

その他細々したものも自分でできることは自分でするようになった。

そして今回は、ウォーキングシューズのインソール。
「そんなの、当たり前じゃん」
と言うひともいるだろうけれど、自分で付け替えるなんて、こないだまで思いつきもしなかったのだ。

先週、夫と奈良の「山野辺の道」を4時間くらいかけて歩いていたら、右足裏に違和感。小石がはいっているのかと思ったら、インソールが破損していた。しかしお気に入りの靴だし、インソール以外状態はよろしい。しかし修理は買った以上の値段がかかるらしい。

「もしかして、インソールを交換できるのでは?」
とググったり、店に見に行ったりして方法を会得して替えインソールを購入、さきほど交換完了。

さいきん、「じぶんでいろいろする」ことがますますたのしい。

そして、見回してみると考えを放棄してできないと思っていたけれど、実は意外と簡単に理解できる、自分でできることがたくさんあるんだなあとビックリしている。

「どーしていままで気づかなかったんだろう、出来ないと思い込んでいたんだろう!」
脳はついついサボりがちで、新奇なことを気づかないふりして昔から「習い覚えた」ことだけに固執するクセがあるという。

出来る、出来ないだけでなく、いつも行く近所のスーパーでも、目的のものしか見ておらず、よくよく見るといままで気づいていなかった、注意を払っていなかったものことを発見する。

「もちろん目的のものことに集中するときも大事だけれど、余裕のあるときは周囲を見渡してあたらしい発見をたのしむべし、だなあ」

と、調子のいいときは思えるのである。

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