食べなくていいよ

お昼ご飯を用意しているわたしの手元をのぞきこんで夫が言った。

「イカ？」
「そうだよ」

２，３日前にイタリアンのテイクアウトで買ったイカの炭煮、
一口食べてみたら、それだけでは寂しかったので
在宅勤務日にあたる水・金、自宅ちかくのカフェ軒下で売ってる無農薬野菜
きょう買ったうちの新玉ねぎ、アスパラ。スナップエンドウ、プチトマトにエビも加えてイカスミパスタを作ってた。

「イカは僕あんまり好きじゃないんだよねえ」と夫。

「じゃ、食べなくていいよ！」
わたしは挑戦的に言った。

ネットで妻の料理にケチつけてる夫ちょこちょこ見かけるけどさあ、
そら愛する夫のために健康や味を考えて作ってますけど
一年３６５日毎日たのしくつくってるなんて思ったら大間違い！
気分のらない日もあれば、元気ない日だってあるんだ。

なのでひとの料理にケチつけるなら、じぶんで作れ！と思う。

あらかじめ調理されてるイカスミソースだったから薄墨色で
あまり見栄えはよくなかったけれど、美味しくできた。

しばらくして、時間差で昼食をとる夫が
「じゃ、お昼ご飯たべる」
と言うので
「残り物の焼肉食べたら」
と声をかけると

「僕の好みが変わったかもしれないし、マリちゃんはさいきん美味しいものしか作らないから、パスタ食べる」
と言って食べてみて、
「おいしい！僕の好みが変わったのかな、それともこれがおいしいのかな」
「両方じゃない」

そうやって、わたしはいつものように懐柔されるのでした。