恋は大人のしごと


加藤幹郎先生の訃報を先日、目にしました。

わたしは京大周辺に働いていた時期があり、
当時は京大のあちこちで行われる
無料のセミナーや講義、講演会などにせっせと通ってたのしい思いをしていました。

そのうちのひとつが、大学院人間・環境学研究科の「語れる図書館」
環ONで行われていた不定期の映画鑑賞会で、たしか加藤幹郎先生が主宰だったと思います。

京大や教員に限らず、リレー式で知人にたすきを渡していく。
和洋東西時代を問わず、紹介者が思い入れのある、紹介したい映画をまず軽くレクチャー、
それから映画を観て参加者が感想を言い合い、その後希望者は懇親会、
興が乗ったら参加している教員の研究室に場所を移して飲みながら語りつづけるという、たのしい会でした。

「砂の女」「ジーザスクライスト・スーパースター」「灰とダイヤモンド」などなど、紹介者の個性とその映画への思い入れや背景解説もおもしろく、とても貴重な経験でした。
そのなかで、友人である「おーらいレコード」代表の清水紹音さんが「緋牡丹博徒 お竜参上」を紹介したときに、お話のなかで「きょうはね、『恋は大人のしごと』という話をしにきました」というようなことをいう。若いひとは仕事とかほかのこといっしょけんめしとけばいい、恋は大人がたのしめばいい、というような内容だったような気がしますが、その言葉が「いいなあ」と印象に残っていたのだけれど、何年かたって紹音さんにその話をすると
「そんなこと言ったっけ」
でした。

そうやって、ことばはひとの手から離れ、いろんなところをほっつき歩く…。

そうして、あちこちで「恋は大人のしごと」であることを表現する映画が撮られている。

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