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高齢者の関節機能評価について【股関節編】

セラピストやっていると、

臨床現場で高齢者を診たことがない人の方が少ないんじゃないでしょうか?

理学療法士じゃなくても、治療院で働いている柔道整復師や鍼灸師など他職種の方も同様に高齢者を臨床現場で診る機会は多いと思います。

ということで、

今回は【高齢者の関節機能評価〜股関節編〜】ということをテーマでコラムを書きました。

股関節の機能解剖学を知っておくのは大切ですが、年齢によって現れる股関節の特徴を理解しておくだけでも評価・治療を進めやすくなるので今回の記事を参考にして臨床に役立ちそうな部分が1つでもあれば使ってみて下さい。


一般的な股関節の特徴について

股関節は、基本動作を行う上ではどの基本動作を挙げても間違いなくキーになる関節は股関節です。

ジョイント・バイ・ジョイント理論では、股関節は可動性が必要な関節でありますが、ただ可動性があればいいという問題ではなく、可動性が広い分、それを制御する能力も必要になってくるのが股関節の特徴です。

つまり、安定性と柔軟性の両方の役割があるのが股関節。


股関節の評価ポイントについて

そして、股関節は誰もが知っている通り、寛骨臼と大腿骨頭によって成される関節が股関節であり、骨でいえば、「大腿骨」「骨盤」です。


股関節の評価を行う上では大腿骨と骨盤の動きを追った評価が必要。


例えばですが…

立位姿勢で腰椎伸展・骨盤前傾アライメントの人がいたとします。

体幹前傾を行い、バックラインの柔軟性を評価した際に、立位では比較的ハムストリングスの柔軟性は保たれていたと判断したとします。

でも、臥位になった状態であれば、SLRの挙上角度がpassiveで評価した際にも角度が少ない。

こういう人いた時にどういう仮説を立てますか??


一度Line@の方でも質問でも頂いたことがありますが…

荷重した状態と荷重してない状態であっても環境は違うし、体幹前傾とSLRの制限因子は全然違います。


下記に制限因子や構成運動の要素を載せています↓↓

体幹前屈運動の構成運動要素

SLRの制限因子について


体幹前屈運動を寝た状態で行うのがSLRだと思っている方もいますが、全然条件も全く違うことを知っておいて下さい。

そして、今回は股関節のコラムなので、体幹前屈運動とSLRの股関節部分だけピックアップして評価を考えてみましょう。


体幹前傾運動とSLRの股関節運動の違い


上記でもお伝えした様に、股関節は大腿骨と骨盤を成す関節が股関節です。


体幹前傾運動の際の股関節を考えると、立位保持の状態で体幹を前傾していくため、大腿骨がある程度固定した状態で、大腿骨の上を骨盤が被さる様に骨盤が前傾運動をして股関節が屈曲します。
それに対して、SLRの場合は、骨盤がある程度固定された状態で、下肢の挙上に伴って、大腿骨が屈曲することで股関節が屈曲します。

この違いがポイントになってきます。

体幹前屈動作もSLRも同じ股関節屈曲運動が生じます。

ただ、、

・体幹前傾運動に関しては、大腿骨に対する骨盤前傾運動による股関節屈曲。

・SLRに関しては、骨盤に対する大腿骨の屈曲による股関節屈曲。


この関節の作用1つでも、構成している骨のどちらが動いてどちらかが固定されている状態があることで評価・アプローチも変わってくるわけです。

他の関節でも同様であって…

・膝関節→脛骨と大腿骨
・足関節→脛骨と距骨
・肩関節→肩甲骨と上腕骨

こんな感じで同じ屈曲・伸展運動でもどちらが動いてどちらが固定されているかによっても変わってきます。


だから、スポーツ選手でも高齢者でも股関節を評価する際には、大腿骨と骨盤の関係を考えて評価することが大切であり、

・骨盤が動いている時に大腿骨がどんな動きをするか?
・大腿骨が動いている時に骨盤はどんな動きをするか?

単純ですが、こういうことを意識して身体評価の際に確認してみて下さい。


高齢者の股関節の特徴について

上記に高齢者に多い股関節の運動パターンを載せています。

関節を安定させるシステムとして…

一次性安定性と二次性安定性に分けられます。

本来は、筋肉や関節包・靭帯による制御も必要ですが、大腿骨と骨盤の位置関係によって、骨での体重支持が重要です。

ですが、、

高齢者の場合は靭帯が年齢と共に弛緩した状態になりやすく、筋肉の骨盤前傾・後傾に作用する筋肉のバランス不良が生じやすく、骨盤後傾位など股関節の位置関係の不良が生じてきます。

この様になってきます。


そのため、股関節疾患のリハビリを行なっていく際でも、常に骨盤後傾位しか取れない状態のままだと四六時中、動作をする時には股関節周囲筋を過剰に使うしかない状況になってきます。

筋肉は収縮することも大切ですが、弛緩するから収縮します。
だから、弛緩しないと収縮できない。
常に力が入りっぱなしだと収縮不全が生じてきます。

だから、骨盤を前傾位で使える様にはアプローチすることが多くの方に必要になってくることになってきます。

高齢者の股関節疾患の治療アプローチポイント

上記の機能を獲得できる様にアプローチすることが必要になってくることが多く感じています。

もちろんゴールや身体レベルによっても変わってくるので、一概に言い切れないですがポイントとして知っておいてもらえればと思います。

骨盤のコントロールに関しては、骨盤が常に後傾位でしか使えなくなっている人が多いので、前傾位の作り方や感覚が分からない人が多いです。
骨盤後傾が悪いのではなく、前傾にも後傾にもコントロールでき、自分の骨盤がどの様になっているかを自分の感覚の中で掴むことが大切。
そして、股関節の可動時には、隣接関節も連鎖して可動します。
特に、腰椎骨盤リズム・骨盤大腿リズムといって、「腰椎」「骨盤」「大腿骨」の3つのポイントが可動する割合・比率がポイント。


股関節の臨床的な考え方について

この考え方を臨床では大切にしていて…

例えば、、

もし、股関節屈曲筋群のMMTが2レベルだとしたら、多くの人は「腸腰筋の筋力低下」って考えるし、評価結果からもその事実が分かります。

でも、だからといって、腸腰筋の筋トレをすればいいとなるのではなく、「何で腸腰筋の筋力がMMT2レベルになったのか?」

という視点で考えることが必要です。

そしたら、拮抗筋や共同筋の状態はどうなっているのかという視点にもなってくるし、考えも膨らませることができます。

どの関節でも共通したことが言えますが、

主動作筋だけでなく、その特定の筋肉と関連性がある筋肉をセットで考えるということもポイントの1つだと思っています。

股関節後方組織のアプローチ方法を3つ紹介




高齢者で上記のリアスクワットが出来ない方も多いと思うので、その場合は志々岐底面を広げた四つ這い姿勢や徒手的に後方組織に対するリリースやストレッチを加えることで股関節後方組織の硬さ改善に繋げることが出来ます。


ライタープロフィール

薬師寺 偲

・理学療法士
・PHIピラティスインストラクター
・愛媛リハビリ道場運営
・西日本セラピストsalon運営
・Physio365ライター


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