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【臨床報告】座位姿勢の股関節痛介入

今回は…

実際の機能解剖学や技術・知識系の話ではなくて、実際に自分自身が臨床で診ているクライアントさんのリアルな報告をしようと思います。


理学療法士も、勉強として前提に運動学や解剖学などの基本的な知識は必要ですが、その知っていることをどの様に臨床に繋げていけば良いのかをイメージしやすくなるかなと思います。


アプローチも正解はないと思いますが…

自分自身ならどうするかなどの当事者目線で読んでもらえるとより勉強になるかと思います。


症例についての情報

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50歳女性。

普段は専門学校の非常勤職員。


現病歴:

1ヶ月前から右股関節側面〜後面の痛み

マッサージ屋に行ってマッサージしてもらう

マッサージ屋の人に骨盤がおかしいから医療機関受診するように言われる

医療機関受診


こんな感じの現病歴。

主訴としては、「歩く時や立っている時には、股関節痛くないけど、座っている時に股関節の側面〜後面が痛い。」という訴え。


運動習慣は全くなし。

デスクワークがほとんど。


理学所見

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細かい理学所見を記載したい所ですが…

股関節の全可動域において、可動域制限。


特に、、

「股関節伸展制限」は著明にみられていました。


関節可動域の制限因子に関しても…

・筋肉の短縮によるもの
・筋肉の過剰な使用によるタイトネス


こういった制限がほとんど。


<姿勢・動作の評価>

まず座ってる時が痛いということだったので…

座位評価をしました。


本人の中では真っ直ぐ座っているつもりですが…

・骨盤後傾している
・座圧が左右均等ではない
・胸郭の位置の左右差
・脊柱のマルアライメント

座位姿勢の分析においても、上記の様な特徴がみられました。

そもそも座れてるつもりでも座れてないって状態。


姿勢が痛みと直結しているとは言い切れませんが、骨盤がコントロールできなかったり、座圧に左右差があることは変えられない事実として証明できます。


関節の可動域や筋力や痛みの出るタイミングなどの機能面と実際の行っている動作を組み合わせて評価することで、、

関連性がある情報が絞れてくるので、痛みの原因やどういったストレスが股関節に生じているのかを考えやすくなります。


評価結果からの考察

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問診をした時からの情報としても…

「日常のだいたいの時間が椅子に座っている。」


この座っている状態がおおもとにあって、生じてきた股関節の関節可動域制限だと仮設しました。


そして、、

骨盤アライメントの評価も背臥位・座位・立位で行いましたが、骨盤の前傾と後傾のアライメントが明らかに左右差が違う状態。

人間だれでも左右対称な人はいないわけえなので、左右差を重要視し過ぎるのも良くないケースがありますし、何度以上とか何度未満ズレてたら許容範囲内とかもないですが…


明らかな「左右の骨盤アライメント異常」と「股関節の左右可動域」にも差がありました。

アライメントだけで判断するのは良くないといいましたが、

少なからずアライメントは日常の生活の癖やパターンが見えてきます。


今回の症例さんも…

・骨盤のアライメントの左右差
・股関節の可動域制限の左右差
・胸郭の回旋可動域の左右差
・胸郭のアライメントの左右差

この辺の明らかな左右差があり、、

確実にこういう座位姿勢とってるだろうなって確信がありました。


この方であれば…

右脚を組む癖があったため、骨盤の前後傾のアライメントや胸郭が左シフトした状態にあり、座圧の左右の比率も7:3くらいの比率で左殿部で支えてる状態でした。


これが全てなんですが…

この様な評価結果から今回伝えたいこととして…


「根本原因になってる動作や習慣を探し出す方が、可動域訓練や筋トレをするよりも大事だよ」って話です。


根本原因を見つけ出すコツ

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アスリートでも、一般の方でも共通して、、

何がどうなっているから症状が出ているのかを理解してもらうことが介入を継続したりアプローチをしていく上では重要になってきます。


もちろん、、

目に見えている「痛み」「可動域制限」「筋力低下」に目を向けていくことも必要ですが、、


そもそもの可動域制限にしろ、筋力低下にしろ、可動域制限になる原因があり、筋力が低下する理由があります。

何も理由なしに可動域制限や筋力低下は起きません。


この何でそういう状態になっているかの部分に目を向けて考えてクライアントさん本人に症状の原因を理解してもらうことが重要。


そして、慢性疾患のほとんどは日常生活にしている姿勢や動き方の癖が原因となっていることが多いです。


付け加えると…

なんでそういう癖や動き方になるのかって部分を環境などの面も考えていけるとより根本解決になりますよね。


機能面ばかり診てても治らない

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股関節の〇〇筋が癒着してて、、

歩行分析で立脚中期が〇〇で、、

可動域制限の制限因子が〇〇で、、


もちろん大事だし、、

機能面を診ないと解決に繋がらないことも多いですが、、


機能面だけ診てても、「ほぼほぼ症状は戻ります。」

この症状のもどりに関しては自分が嫌ほど経験してきました。


その時は良くなるけど、、

1週間後に来院した時には症状が戻っている。


その場でよく出来るテクニックを使ってドヤ顔をしても、その人は家に帰って生活をするわけなのでその部分を変えないと解決してないんですね。


Twitterで機能面ばかり情報発信している薬師寺が言うなよって思われている方もいるかも知れませんが。笑


機能面ばかり診たり、手技で良くすることばかり考えてもいけない理由が新人PTのときよりは分かってきた気がするようなしないような。


結果的に、、

この症例さんも1回で全て改善とはなりませんでしたが、数回来院して頂いただけでほとんど症状は無くなる状態まで改善して、症状の戻りもないです。


セラピストの役割も…

可動域制限を改善することや運動療法をすることだけじゃなくもっと大事なこともあるかもよって話しでした。


少しでも参考になる部分があれば、

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ライタープロフィール

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薬師寺 偲(Physio365水曜日専属ライター)


・理学療法士
・PilatesInstructor




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