spp20220409
『飛べ』
草の先っぽにジリジリと進んでいったテントウムシがくるっと九十度旋回して、ハネを広げて震わせている。
「飛べ」
心の中で呟いてみる。静かな空気の方がいいだろう、こういうシーンでは。草の発射台から静かに飛び立つのを息をのんで見守る。僕も周りの景色も、みんな止まって、テントウムシだけが赤い残像だけ置いて、いつしかどこかへ飛び去って行った。
そして急に思い出したように、時間は流れ出す。
(20220407/私之若夜=しのわかや)
『夢を気球に乗せて』
夢を見ていた、あの頃に比べて今は夢と呼ぶことができる希望も目標もなくなってしまったかな。それでも小さな望みや、手の届きそうな簡単な目標は、いつでも持つようにしているんだよ。不思議とそれで満足している自分がそれ程、嫌いではない。
大きな夢を追い続けるのも、小さな夢を手に入れ続けるのも、実はそんなに変わらないんじゃないのかな。
遠くに見える気球を見ながら、確かな一歩を重ねて進んでいくこと。
何に向かうか意識しないまま、くねくねと、そこへ近づいていくこと。
どちらも同じ自分なら、たどり着くのは多分同じ場所。そんなふうに最近思うんだ。
(20220408/私之若夜=しのわかや)
以上アメブロに投稿した記事の再掲です。
一部、修正加筆等、改編してあるものもあります(笑)
URL:https://ameblo.jp/shino-waka/
※画像は Canva より頂いています。