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ミケ【詩】

僕がまだ十代の若い頃
実家ではミケという三毛猫を飼っていた

どこかから貰われてやってきた その猫は
暫くは なつかずに
箪笥やら本棚の上などに いたけれど

何日か経ってから 下りてきて餌を食べ
居間の床…母のそば…
僕の横…座布団で

気が付くと 丸くなり 目をつむり 眠ってた

それからは 昔からこの家にいたように
のんびりと穏やかな顔をして過ごしてた
いなくなる あの日まで

その後で 外にある農機具を置く小屋の隅っこで見つかった
その時は もう既に永久に目を覚ますことは無く
三毛猫は 冷たくて固まった亡骸になっていた
冬の日の 朝だった

・・・・・

それなのに その辺に今もいて
「ミケ…ミケ…」と呼んだなら
ひょっこりと出てきそう

そんな気が してしまう


(20211101/私之若夜=しのわかや)
※これは1年前に投稿した記事の再掲です。
 写真はcanvaからいただきました。